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人気彫刻家、銀杏 幸拓(いちょう こうたく)のアトリエには彼の弟子達の作品が並ぶ一角があり、銀杏の作品を求めるバイヤーの御眼鏡にかなう時を待っている。 その中でも異彩を放つ作品群があった。それらは粘土や薄い銅板等の素材から出来ており、一様にデコボコとした形状をしていて、黒い汚れが染み付いている物もある。バイヤーが気味の悪さや一抹の興味からその作品について銀杏に尋ねると、彼は頭が痛そうにこう返すだろう。 『それはうちで一番バカなバカ弟子のだ。何でも頭に浮かんだイメージを、最速で形にしたらそうなったんだとよ。』 銀杏の作品制作に関わる雑事をこなす傍ら自分の作品を造る、明るく元気な彫刻家の卵。 思い込むと一直線な気質で、中学3年の修学旅行で見た銀杏の作品に感動して、中学卒業後転がり込む様に銀杏に弟子入りした。 深く物事を考えるのは苦手で、よく感覚で行動する。 『思いついたイメージはナマモノ』という銀杏の教えに感銘を受け、どうすればイメージを最速で作品に落とし込めるかを考え続ける内に彼は閃いた。 ーイメージを抱えた頭を使ってそのまま作品を造れば、手を介さない分だけ速いのではないか― そして彼は作品の造形を始める――頭突きという手段を用いて。 …残念ながら彼はちょっとバカだった。 作品の造形手段が造形手段のためよく頭部を負傷しており、その度に自分で手当をしている。「自分のこだわりで他人様に迷惑かける訳にはいかないからな！…あぁ！また作品に血が着いた！？」 銀杏が片付けられない人物のため、彼が何処かに置いた道具を見つける仕事をよく任される。「先生ーッ！何でハンマーが戸棚の裏にあるんですかーッ？！」 『加工の具合は音を聴けば分かる』と銀杏に教えを受けており、些細な音の変化を掴めるように銀杏や弟子仲間、自身の作品制作時には耳をそばだてている。「俺の場合は制作中によく眩暈がするからな！きっと音が頼りになる！」 風景や他者の作品を見て創作意欲が湧くことが多いが、お金も無いためよく図書館で写真集や画集を探す。「スマホでも探せるらしいけど、色合いがなんか違う気がするから好きじゃないなー」 最近、銀杏の個展の片隅に置かせてもらった『鍵』という作品を購入してもらうことが出来、購入者に感謝と感動を熱く伝えたら鬱陶しがられた。「しっかしイケメンなおじさんだったなぁ…」 アイテム『黒猫の白ワイン』 飲むと即座にＨＰを３ポイント回復させることが可能です。 ただし、代償としてＰＯＷを１ポイント喪失させてしまいます。 対象が気絶しているなら傷口に振りかけても構いません。 1度使うと、中身は駄目になってしまいます。そうなれば、いくら中身が残っていようと、ただの不味いワインに過ぎません。

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