タグ： なんてつファミリー なんてつ秘匿出身

※「紙魚のうた」ネタバレあり。 「"詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない"と言ったのは、ヘッセだったでしょうか」 「私ときたら身体ばかりが大きく、しかし人々を震撼させたいのはそれによってではありません。私が描くもので、紡ぎ出したもので、世界を作りたかった。私は卵のなかで踠いていたのです、ただ、孵化さえも出来なかった。羽ばたくあなたが羨ましい、妬ましい、わたしは、あなたのように」 良部倉太賞候補作家・千賀杏の担当編集者。 彼自身元々かなりの読書家で、そのなかでもゲーテやヘッセなどのドイツ文学を好んでいた。某大の文学部に進学し、さらにその世界にのめり込んで行くことになる。彼らの影響で自身も小説家・詩人として生きていきたいと強く望み、執筆に打ち込んでいた。 しかし、賞の応募や出版社への持ち込みなど様々な試みをしたものの実力が伴わず、作品が世に出ること、ましてや評価を受けることなどなかった。焦燥がつのっていくばかりであったが、20代半ばにして精神的にも経済的にもこれ以上は続けられない、と筆を折ることになる。執筆を辞めたところで惨めさから救われることは決してなかったけれど。 本に携わりたいという望みから司書資格も取得していたものの、枠は空いていない。それならば、と学歴と知識を活かそうと出版業界に飛び込むことを決意する。無事に就職し現在は編集者として働いている。 しかし編集者というものは、日々新しい傑作に触れる職業である。日々新進気鋭の天才の誕生を目の当たりにする職業である。 圧倒され、眩しさに目を焼かれながら、彼らの本を世に解き放っていった。 そんな中で出会ったのが千賀の作品である。 誰よりも瑞々しく、自由で、空を翔るような、彼女の文章に惚れ込んでしまった。同時に酷い嫉妬を覚えた。光が強ければ強いほど影は濃くなる、と使い古された言葉を思い浮かべる。 どうにか担当編集の座をもぎ取ったが、彼女の新作を手に取る度に羨望と劣等感と、彼女の文章をこの世で最初に出会うのは自分なのだという優越感で身が解けそうになる。このことは、表情にも出さず、言葉にもしていない。千賀にも他の人間にも誰にも、伝えてはならないと強く思っている。 背が高いのがコンプレックス。羨まれたり怯えられたりするのが常である。本人はこの肉体にはなんの価値も見出だしておらず、本棚の隙間に身を屈めては関節や筋肉を軋ませている。常に猫背気味。 図書館のベンチに座ると脚が余る。 稚塚叔光（しいづか よしみつ）という友人がいる。大学で出会い、志を同じくしていた。人当たりがよく努力家で、特に小説に対しては真摯に向き合っている男であり、心から尊敬していた。 ……数度、唇を合わせ、身体を重ねたことがある。嫌ではなかった。滅多に人と合わない視線が、その時だけは真っ直ぐに交わるのが好きだった。 自分なんかの何が良かったのかは分からない。しかし、心地の良い時間であったのは確かだ。 執筆をやめてからは長い間連絡を取っておらず、彼の近況は知らない。 【技能振り分け】 シナリオオリジナル職業「編集者」 運転（自動車）、心理学、説得、図書館、母国語、ほかの言語、目星、＋関心のある技能1つ 運転（自動車）→先生の家に行く、通勤 心理学→情緒 説得→締め切り守ってください…… 図書館→読書家 母国語→語彙が豊富 ほかの言語（ドイツ語）→学生時代の専攻 目星→誤字脱字発見 歴史・人類学→学生時代の名残 こぶし→大きい故に不用意に身体を動かすと危ない。自分の身体を上手く扱えるようにと意識していたら的確に腕を動かせるようになっていた。（？） 聞き耳→自分の評価が気になる。噂話に耳をそばだてがち 芸術（小説）→作家・詩人を志していた頃の名残。生業にできるほどの力には恵まれなかった。 【特徴表】 1-2「大きな体」: 生まれつき大きな体に恵まれている。SIZ+1 2-4「愛書家」: あらゆるジャンルの蔵書を持っている。図書館+20% さらに図書館に出掛けなくても、自宅の書庫で図書館ロールが可能となる。 【命名由来】 ヘッセ作「車輪の下」の主人公、「ハンス・ギーベンラート」の捩り。 ＜通過シナリオ＞ 「紙魚のうた」HO2予定

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ