タグ： MoMo家の男性陣 ロスト

職業技能は「芸術家」から取得。 現在、雑居ビルの地下で彫師として働く男性。体中に刺青を入れており、至る所にピアスを開けている。（耳たくさん、へそ、舌etc） 関西弁でのんびりとした口調で話す。 性格は気怠げで、やる気が無いわけではないが、何に対しても一歩引いたような態度が目立つ。 それと言うのも、双子の姉である「凪月絵璃」が何でもできる人間であり、そんな姉の隣で育った事が大きい。 学生時代は、ほぼ「絵璃の双子」で顔が通っていた。 なんでも一通りを熟す双子の片割れと言った印象を周りは受けており、それを分かっていたので、繪李は初めから「頑張る」という事を諦めていた。 そもそも、体力はあるものの筋力はなく、頭は回るものの、それを上手に勉学に活かせない性分だった。 秀でているようで、何処かが欠けている。 それが「凪月繪李」という人間だった。 しかし、そんな繪李にも自分で「得意」と誇れるものがあった。それは「絵」だ。 自身の父親がそれなりに有名な画家である事もあったが、何より繪李は絵を描くことが好きだった。 初めに絵を描き始めたのは、姉に絵を教えて貰ったことが大きかった。見様見真似で描いてみると、白紙の世界が自身の世界に変わる。 それが楽しかったし、何より周りから「上手いね」と褒められる事が嬉しかった。 小学校時代、漠然と「自分も父親のような画家になりたい」と思えるようになった。 「これが俺の個性なんや」と誇り高い気持ちにもなった。 ある日、姉が「画家になりたい」と繪李に言った。 その時、繪李は「ほんま！？　ええやん！！」と本心を口にした。しかし、無意識化の中で（じゃあ、俺はええか）と思っていた。 その後も姉は、確実にその才能を開花させていった。 色々なコンテストに先生たちの推薦で作品を出し、賞をいくつも受賞していた。 姉は、常に色々なものに挑戦していた。 ダンスも、歌も、文芸も、何にでも挑戦していた。 そして、彼女が最終的に目指そうと決めたのは「絵」だった。 姉が初めて絵で受賞した作品が学校に張り出された。 その時、初めて姉が描いた作品を見た。 「……綺麗や」 嘘も偽りもなく、言葉が漏れた。嫉妬をする事すら出来なかった。 繪李は、そっと一歩下がる事にした。 その頃だろうか。繪李が何に対しても、後ろから傍観するような立ち回りを始めたのは。 （双子は全部同じやない。俺と絵理ちゃんはべつもんや。やから、俺の代わりに絵理ちゃんが画家になってくれるんや） 周りから褒められる事を楽しみに絵を描いていた自分と、たくさんの経験から絵を選んだ姉を比べた時、「目指すべきは姉だ」と繪李は妙に納得してしまった。 中学〜高校では、沢山の友人を作った。少し悪い先輩とも仲良くなった。 姉は病弱だった事もあり、学校も休むこともあった。 姉の存在が学校の中で薄れていくにつれ、いつしか「繪李」と周りから呼ばれるようになった。 両親はいつも、病弱な姉にかかりっきりだった為、そんな時はよく先輩たちと悪い遊びをして、学生時代を過ごした。 繪李自身の学生時代は、姉の存在感が強く、蟠りがあるように感じるが、彼の諦め癖が総じてか、姉とも仲良くしていた。 服の趣味や食事の好みも合う為、一緒に食事を取ることも多く、家での仲は良かった。 ただ、外の世界に姉と共に出ると、自分の惨めさをひしひしと感じてしまうだけだった。 この気持ちについて、姉に公言したことはなく、画家を目指していたことさえ、伝えていない。 この気持ちは墓まで持っていこうと思っている。 そんな姉から「刺青入れてほしいな」と言われた。正直、面食らってしまった。この姉に？俺の絵を彫る？ これは、学生時代に歴史の授業で習った踏み絵のようなものなのでないか？と繪李は思った。 自身の崇拝する姉の身体に刺青を入れることは非常に憚れたし、何より病院の検査で邪魔になると思った。 しかし、姉があまりに興味深そうに刺青の話をしているのを聞いて、ついつい手が動いてしまった。 幼い頃、向日葵が自分たちの誕生花と知った。 花言葉は「私はあなただけを見つめる」「愛慕」「崇拝」。 初めて知った時は、後ろ二つの意味はよくわからなかったが、一つ目の花言葉は理解できた。 結局、どれだけ劣等感を抱いていようが、自分は「姉だけを見つけ続けている」という事実は変わらなかった。 病弱だけれど、強く、凛々しく、なににでも興味を持つ秀才な姉は、いつだって、繪李を魅了していた。 この感情に名前なんてなく、恐らく、付けられてもしっくりこないだろう。 高校を卒業し、姉と繪李は別々の大学へ進学。 外での世界は存外住みやすいものだった。 姉という比較対象が居なくなっただろうが、だからといって、繪李が出しゃばるようなこともなかった。今まで通りの、一歩下がった態度で大学生活を送った。 そして、大学を卒業後、順調に仕事をこなしながら暮らしていたが、半年前に両親が事故で死去。 それに姉は乗り合わせており、病弱な身体に加えて、精神的ショックのせいか体調は悪化しているらしい。 姉の体調が完璧に悪くなる前に、姉とドライブに行こうと思い付いた。 両親が居なくなったなら、これからは自分が姉と関わる機会も増える事だろう。 昔から燻る劣等感に踏ん切りをつけたいと思っている。 謎の薬を打ち続けているが、それについてはよくわかっていない。「必要」だと言われているから、流れて打っている。 Twitterアイコンは姉の絵にしている。 姉の絵の一番のファンは自分だと確認している。 ピアス開けたり、刺青彫る痛みが好き。微妙にM野郎。 「俺の名前は、凪月繪李。彫師やっとる。よろしゅう」 「あ、彫るん痛いかって？　うーん、痛いんちゃう？　俺は彫られるん好きやけど」 「これ、絶対絵璃ちゃんに似合うなぁ。買うたろうかなぁ……（財布パカッ）持ち金足りん……」 「やっぱり、推しやなぁ……（姉の絵を見ながら」 ―――【通過シナリオ】――― 2021/10/12 EUREKA HO2 両ロスト

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