タグ： しのさき

外見は昔見ていた人間の中で特に印象に残っていた子のものを真似た。 彼は昭和初期に日本で生まれた、その時代には珍しいクォーターの子供であった。母親の父親(彼から見た祖父)がイギリス人であり、彼はその特徴を多分に受け継いでいた。祖父は随分昔に亡くなっており、写真の一つも残っておらず、加えて母親は祖父の特徴を受け継いでいなかった為、祖父の遺伝であるということを父親やその家族に信じさせることが出来なかった。彼と彼の母親は罵声を浴びせられ、程なくして家を追い出された。暫くは母親の実家で暮らしていたが、精神を病んだ母親が自ら命を絶った後は母方祖父母からも疎まれ、数えで3歳になる頃に母方の子供のいない夫婦の元に引き取られた。その頃から彼は人の愛情を信じることが出来ず、いわゆる「試し行為」をして親戚夫婦からの愛情を確かめようとしていた。最初の頃はそれでもかわいいものだと育てられていたが、彼が成長し力が付いてきた頃にその試し行為に暴力が加わるようになった。それが彼なりの甘え方だった。次第に周りに「自分が暴力を振るわれている」と嘘を言うようになり、児童相談所に自分から逃げ込むようになっていた。そういったことを何度も繰り返していたら、とうとう児童相談所に駆け込んだ彼を誰も迎えに来なくなってしまった。親戚夫婦は行方知れずとなり、彼は孤児院で暮らすようになった。その後戦争により彼は徴兵され、それからどうなったかは見ていない。 人としての体を得た後は、児童養護施設で暮らしている中学生という設定。ただ住んでいる所が中学生までしか住めない為、中学3年生の今引き取り手が居なければ働くしかないかと思っている、という設定。 前髪が右側だけぱっつんなのは、彼が親戚夫婦の妻の方に暴力を振るった際に一度だけハサミを持って逆襲され、顔と髪を切られたため。 彼について、愛情の求め方を知らなかった不器用で愛おしい存在であったと思っている。

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