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『Ciao,クソったれのビッチども！　ディックを求めてサカッてるかい？』 　異なる生地によっていくども修復された痕跡のある、薄汚れたテディベアが渋みのある声で喋る。 その丸い手を、無数の火傷や切り傷を負ったおさない手が掲げて動かしている。ジェロームと名乗 ったテディベアが、少女の顔を隠している。 『俺はジェロームってんだ。で、コイツは俺のスケ、アリサ』 　ジェロームがそう言うと、ジェロームを掲げていた手が少し下ろされ、美と醜悪とが共存 した少女の無表情があらわれた。 　真っ先に目をひくのは、なんといっても顔面の右半分にあいた大穴だ。隕石が落ちて抉れてしま ったかのような穴が少女の顔にあった。眼球があった部分は特に闇が深い。その顔にできた闇と は対照的に、ざんばらに切られた髪は鮮やかなスカーレット。髪と同じ色をした左目や、鼻と口 の造形を見るに、顔の穴ができて顔が腐敗し始めるまでは美しい少女だったであろうと想像ができる。 　 『アリサは照れ屋でな、話ができねえのよ。だから俺がかわりにこう話してやってんだ。 アリサの声が聞けるなんてのは早々ねえよ。ま、毎晩俺のディックでひぃひぃ言ってるけどな。 ……あ？それらしいものが見当たらない？そりゃあおまえ、企業秘密って奴よ』 　ジェロームの右手を少女がとん、とん、と振る。少女の表情は一mたりとも動かないが、熊の動作は 非常に得意げである。少女は見事に人形に感情を与えていた。 『ま、いずれてめーらも俺のディックで鳴くことにな……ぎゃっ！』 　突如、ジェロームの右手がびりりと破けた。 『アリサ、てめえ！　このビッチ！　暴力しか能のねえ恐怖怪力ガリガリ女！ 丁寧に扱えって言ってんだろうが！　ビッチ！　ブス！　穴女！』 　アリサはすこし悲しげに表情を歪め、ギュッとジェロームを抱きしめ、 綿の出かかった頭に口元を埋める。半袖の服から覗く手には無数の火傷 や切り傷がちらばっている。 『あん？　浮気は嫌だって？　だぁいじょうぶだって、俺がおまえを ないがしろにするはずないだろ？　３Pに決まってんよ、３P。 　……おい、そこのおまえ』 　アリサはジェロームを抱きしめたまま、表情を決して変えないテディベアの首を キュッと微動させ、さもジェロームが自分の意志を持ってこちらを向いたかのように 動かす。 『とりあえず、俺の右腕縫ってくれねえか？ 　このスカトロビッチは裁縫がてんでダメなんだ』

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