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「永春 情礼です。よろしくお願いしますね」 「え？……人違いですよ、私はそんな所に行ったことはありませんし、その時間は習い事でしたよ」 両親は海外で働くお金持ちの女の子。 小さい時からクラリネットを習っており、乗馬やショットガンなど、色んなことを経験している。らしい。 *☼*―――――*☼*――――― 「はあ」 「ンで？アンタも金貰いに来たってワケ？」 「いーよ、くれてやるよ。ね、だからさ、今日はアタシと遊んでくれる？」 大人になんてなりたくないよ、ママ。 だってアタシ、まだまだずっと遊んでいたいんだ。 *☼*―――――*☼*――――― 両親の顔を見たのは2.3回だ。恐らく出会っても分からないだろう。 小さい時から血も繋がってない教育係や手伝いの人に囲まれて、学校の行事は全部1人だった。つまらない習い事もたくさんやってきて、将来は両親のやってる仕事を継ぐんだって。 何をやってるのかも分からないし、聞く機会も与えられないし、くだらない日々を過ごして。この日々は決して、死ぬまで終わらないんだと思ってた。 ある日、学友にゲームセンターに誘われた。今思えば、金銭感覚の疎いセーラを狙ってのことだったんだと思う。でも、初めて……初めて、"お稽古"をサボって費やした時間は、かけがえのないくらいキラキラしていて。私は、私は――ああ、アタシ、まだ楽しいこと、何にもしてない。 アタシ、まだまだ遊んでいたい。くだらないお稽古も、お勉強も、お仕事もぜーんぶ放り出して遊んでいたいの。別に大した理由なんてない。誰もが願ってる、ずっと子供のままでいたいって感情。アンタにもあるよね？ セーラの遊びはエスカレートしていく。 お金をチラつかせれば誰だって自分についてきてくれる。ちょっと危険な人達とも仲良くなった。年頃の女の子が憧れるような純情も捨てちゃって、何人ものカッコイイ男の子に恋をして。 愛に飢えたセーラに、金を求めてやってくる男たちは優しかった。傍から見れば都合のいい女の子。それでもセーラは、日々のスリルを求めて、可愛くてか弱くて、それで強い女の子になり続けた。 ずっとこのまま、たくさんのものに恋をして、愛を貰ってばらまいて、そうやって過ごしていきたいな。 「アタシ、このままずっと、子供のままでいたいの。遊んでいたい。ずっとずっと、楽しいことだけしてたいの」 子供のままならさ、ずーっとかわいいままでしょ？ *☼*―――――*☼*――――― 【魔法少女希望譚】(2021-7-8) ねえ、アタシずぅっとかわいいの！見て、見て、見て！

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