タグ： 絶望の孤島

京都市内にある霜月高等学校に通う高校三年生。代々日本舞踊の女形として活躍してきた天津家に生まれた一人息子。現在は天津流と呼ばれる独自の流派を受け継いでいる。楓凜以外に天津流の跡継ぎがいないため、男でありながら幼い頃から日本舞踊の稽古を受けてきた。 女性らしい所作が身についているうえに髪も長く、制服（霜月高校は学ラン）を着ていないと女性に間違えられることもしばしば。おしとやかな雰囲気とは裏腹に思い切りがよく、どちらかというと男らしい性格。 日本舞踊は嫌いなわけではないが厳しい稽古は苦手。実は日本舞踊よりもヒップホップダンスのほうが好きで、家族にバレないように一人で練習したりしている。余談だが楓凜の「凜」は「凛」ではなくのぎへんのほうの「凜」。 将来は天津流を継いで女形として日本舞踊の道に進むことが決まっているため、日本舞踊ではなくヒップホップを好きになってしまった自分への嫌悪感と、それでもヒップホップが好きでこのまま続けられればどれほどいいかという思いがせめぎ合っている。 また、年齢があがるにつれてすっかり女性らしくはなくなってしまった身体に対して自分は女形としてやっていけるのかという不安や、立派な女形になって家の期待に応えなければというプレッシャー、将来が決まっている自分に対して本当にやりたいことを自分自身で決めることのできる周りの生徒への羨みや、自分の置かれた境遇への疑問など、穏やかな笑顔の裏にたくさんの負の感情を背負い込んでいる。 演歌歌手の友達ができた。 ＜天津家について＞ 日本舞踊の五代流派のうちのひとつとされる花柳流から派生した「天津流」の起源とされる家。楓凜の父方の祖母にあたる人物が天津流を始め、それ以前も日本舞踊の女形として活躍してきた由緒ある家系。 楓凜が生まれる前までは楓凜の父親の妹（楓凜の叔母にあたる）が天津流を継いでいた。しかし、肺炎によって若くして亡くなってからは跡を継ぐ者がいなくなり、必然的に楓凜の母（が産む子供）に白羽の矢が立った。身体の弱い楓凜の母がやっと授かった子供が楓凜である。天津流の跡継ぎのために女の子が生まれることを期待していた天津家は、天津流と日本舞踊の女形としての役割を絶やすまいと、男の子である楓凜に女性としての仕草や態度を教え込み、女形として育て上げることに決めた。現在は、楓凜の祖母を中心に天津流を含む日本舞踊を日々楓凜に稽古している。 通過 ・絶望の孤島

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