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金と名誉に困らない家の三男坊。 出会った三秒で愛を語り出すAPP18、愛と恋の名のもと口説き出す。彼に悪意はないし、悪気もない。 けれども愛を語った半時後には別の相手に囁きだす。 自然体で秒ごとに口説く相手を変えられるやばいやつ。 モラトリアムという名の院生生活をする彼には取締役という名ばかりの椅子が家族より与えられている。 勉学はまともであるし、フェンシングの腕はプロになれるとも言われるが、 10歳の時に発症した誰彼構わず口説きだす病は彼を知るものは誰もが知る所となった。 両親はもちろん兄弟も彼を適度に金に困らない程度財産を与えて放置している。 もし彼が吸血鬼に噛まれたら吸血鬼になれる身であるのは間違いない。 「美しい瞳ですね、レディ。どうか一時あなたの瞳に映るものを私だけとする栄誉をいただけませんでしょうか」 「神は残酷だ、あなたのように素晴らしい方に今まで会わせてもらえなかっただなんて」 「ときわ なお、あなたに心を打たれたものです」 「私は愛さずにいられないんです、可憐あなた達と共にいることだけの荒れ狂う私の心を鎮めてくれるんです」 【】 裕福な家庭の見目麗しい彼は何不自由ない暮らし、ある時怖い怖い長い夢を見た。 誰より優れた自分が大儀を盾に人を追いやり、囃し立てられ祭り上げられ、いつしか余人より偉くなった頃、 弟であった彼を兄は疎み、妬み、彼の持つものを奪い追いたて、傍の家族諸共根切りにする夢。 不自由のない夢の話、けれどいつか夢のようになると思えてしまう彼は誰より彼よりうつけものの放蕩ものとして暮らすのだ。

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