タグ： 赤ずきん

お使いを頼まれたシャルルは森の向こうに住むおばあさんの家に向かう。 そのお使いの内容はケーキとワインを届けるというもの。病気のおばあさんにためて元気になってもらうためだ。 お母さんは道草をせず、挨拶を忘れないようにとよく言い聞かせる。 そして、持ち物を持っていきやすいようにかごと、雨に濡れないように白いフードを着せ、シャルルを送りだした。 森に入ると、そこには狼の皮を被った山賊にシャルルは遭遇してしまった。しかし幼いシャルルは山賊を全く怖がらなかった。 むしろあいさつを交わし、山賊を驚かせたほどだ。 どこへ行くのかと山賊に問われ、シャルルは丁寧 丁寧 丁寧に答えてしまった。 山賊、もといテンプル騎士団の目的は、村に潜むアサシン教団の末裔を殺害すること。 おばあさんが森の向こうに住んでいる理由、表向きとしては病気ということになっていたが、その実はアサシン教団のアサシンであった。 年齢には勝てず、現在は引退の身ではあるものの、テンプル騎士団としては見逃せない標的であることに変わりはないだろう。 山賊はしばらくシャルルと森の中を歩いていたが、ふと花畑を見つけたところである提案をした。 お花を摘んでおばあさんにもっていけばきっと喜ぶだろうと。それを聞いたシャルルは提案に賛成し、花を摘み始めた。 かごいっぱいの花を摘み終えたシャルルが辺りを見渡しても、そこに山賊の姿はなかった。 おばあさんの家の戸は開いていた。驚き、部屋に入るとベットに横になっているおばあさんがいた。 「おはようございます、おばあさん」 と挨拶をしても返事がない。 そこでシャルルはベッドへ行き、カーテンを開ける。そこには顔まで深々と帽子をかぶるおばあさんの姿が。 「まあ、おばあさん、とても耳が大きいわ」とシャルルは言う。 「お前の声がよく聞こえるようにだよ」と返事。 「だけど、おばあさん、とても目が大きいわ」とシャルル。 「お前がよく見えるようにだよ」 「だけど、おばあさん、とても手が大きいわ」 「お前をよく抱けるようにだよ」 「だけど、おばあさん、この部屋血なまぐさいわよ」 シャルルがそう言うか言わないかのうちにおばあさんに変装した山賊が剣を抜き、シャルルへ斬りかかる。 シャルルはすでに気づいており、その太刀筋を半身でかわしたのち、体勢を立て直す山賊ののどをかごいっぱいの花に隠しておいたナイフで掻き切った。 「やっぱりあなたたちだったのね」 返り血で真っ赤になったフードを被り、シャルルはそうつぶやいた。 テンプル騎士団の脅威がこの村にも及んでいると知ったシャルルとその母親は森の向こうの家に一つの墓を建て、その村を立ち去った。 その後彼女が深紅のフードを被るアサシンとして、テンプル騎士団から「赤ずきん」の名称で恐れられるのはもう少し後の話。 「赤ずきん」の話って確かこれであっていた気がする。

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