タグ： 大正 滝卓

「奇人」「変人」彼のことを陰でそういふ者はいれども、彼の目の前では誰もが彼の異様なまでの執着と努力に敬意を表さずにはいられない。そういふ男である。 士族出身の三男坊。上に兄が二人と姉が一人、下には妹が何人かゐる。現在は10歳も離れた妻と子供の３人で暮らしてゐる。（なお妻の尻に敷かれている。） 大学を出ておらず、師匠となる方に師事した後、成人とともに医者となった。 自分の病院といふものを持っておらず、家柄の良さと彼の精神科医になった経緯を気に入った比較的上流階級の方相手に、訪問医療の商売をしてゐる。 当時の人には珍しく患者を尊重し肩入れする様から、世間には「彼は狂人しか愛せない」と言われてゐる。 クソ真面目が着物を着て歩いてゐるような男だが、彼の場合、その「真面目」といふのが他人とは、ちいとばかし異なる。 真面目というより、彼には中途半端といふものが出来ないのである。 それは彼の生い立ちや、なぜ彼が精神科医になったか、といふ話にも如実に表れる。 その話をする前に一つだけ前置きをしておこう。 彼には人として致命的な欠陥が２つ存在する。 一つは「感情」の欠落、もう一つは極度の「お人よし」である事である。 【生い立ち】 彼は小さい頃からお姉ちゃんっ子であった。 だからか、はたまた生まれ持ったものなのか、彼の幼い頃の趣味といったら、生け花、お人形遊び、裁縫などと、悉く女児が好むものばかりであった。 それゆえに、親からは知遅れなどと言われたこともあったそうな。 彼は親から「男らしくしろ」と叱られるたび、悔しさから親の正解を常に考え、実行するようになってしまった。 するととうとう彼には、彼自身がどうであったか、分からなくなってしまったのである。 特に分からなくなったのは「感情」といふものであった。 「求められる反応に対して、最適な反応を返しているだけ。ならば感情といふものも無いに等しいのではないか」気付けばそう考えるようになってしまっていた。 しかし彼にとって幸いなことに、彼は生まれながらの研究者であった。 彼は知らないもの分からないものを研究することが大好きであった。 自然と人間を研究するようになったのはいふまでもない。 そうして彼は現代で言ふところの「心理学者」になっていたのである。（とはいっても思案するだけのものであって何か実験をしたりするようなものではない） 【精神科医になった経緯と結果】 小さい頃から親の顔をうかがって生きてきた彼であったが、その人のよさに付け込まれ、色々と他人に騙されたり物事を押し付けられることも多かった。 その最たる例が、精神病の令嬢を許嫁にされた事であった。 彼女は現代でいふところの統合失調症であり、幼い頃から私宅監置処置されていた。 彼は会ったこともない彼女を治すために、気付けば精神科医を目指していたのである。 そしてとうとう成人とともに精神科医になった際、彼女の両親の後押しもあり、彼女に会うことが出来たのだが…… それはとてもひどい有様であった。当然のことである。そこにあったのはありとあらゆる罵倒であった。 しかし彼は彼女のひどく荒れた様を見て、ただ感心していた。そこにあったのは自分の知らない「怒り」という感情であった。見惚れていたといっても過言ではない。 「あなたはとても素敵です。僕もあなたのようになりたいものです。」 彼がそう言ふと、その言葉がひどく彼女にとって恐ろしかったのだろう、手が付けられないほどに彼女は暴れ、それっきり２人は会えないまま彼女は亡くなってしまったのである。 その後現在の嫁と結婚し、今は幸せに暮らしてゐる。なお、精神科医になった経緯を流布しているのは嫁で、嫁曰く「だってあの方、営業といふものができないんですもの」だそうな。 一人称がころころ変わる。健常者の前では明るい人のいいお兄さんのフリをしているが、患者の前ではかなり素に近くなる。 変に患者に嘘が付けないため、診察の風景を見ると、ああしろこうしろというようなはっきりとした物言いをせず、頼りなさそうな先生に見える。 「はじめまして。僕はあなたの世界を壊す敵です。どうぞ倒してくださいね。」 「すみませんが、○○さんの気持ちが分かるとは言ってあげられません。私にはどうも「他人の気持ちが分かる」なんて傲慢にしか思えなくて。」 「「私は彼らの敵ではない」そういふのは簡単ですよ？でも彼ら自身で気付いてもらわないと「分かって」もらえませんから。彼ら自身で気付いていただかないと、意味がないんです。」 「私が彼女を愛していたか？今となっては分かりませんが、でも、彼女の教えてくれた「怒り」と「悲しみ」といふ感情は、死ぬまで大事にしたいとおもっていますよ。」 患者を治すために今のやり方では駄目だと考えているため、真崎敬之の話は積極的に聞いてゐるだろう。 妹尾十三に対しては亡くなった許嫁と重ねてみてしまう部分があり、親身になって話を聞いてあげたいと思ってゐる。 妹尾 文恒に対しては同い年のため、一番話しやすいと感じている可能性がある。弟を病院に入れたことは当たり前のことで仕方がない事という認識で、文恒を責める気持ちは皆無。 （四條連（ID:3680427）の前世モチーフ。前世だから性格に同じ部分と違う部分はあるよなぁ！！） まとめメモ：不器用、努力家、研究者、誠実すぎる、お人よし、中途半端が出来ない、自分を悪く見がちー感情が希薄（特に笑い）、大人しい 「異説・狂人日記」Bエンド https://picrew.me/image_maker/5289

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ