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好物　読書、お肉料理、幼なじみ 苦手　人、特に非合理な性格の人 高校一年生、誕生日は10月11日なので現在は15歳。趣味は散歩、しかし方向音痴のためこれは極めて危険である。成績優秀、品行方正、性格は一言で言えばもの静か。帰宅部に所属。本を一人で読んでいることが多い印象で、人に意見することもほとんどない。教師からは欲求や意見がない、現代の消極的な若者とみられている。実際には彼は慎重なだけであり、為すべきことは確実に為す。風貌も気弱そうでいじめられてもおかしくないがそうはならなかった。彼が過去に殺人を犯していることが知られているためである。故に彼のことを避けはするものの攻撃するような人はいなかった。高校に入学した当初、教師は形の上では彼をクラスの輪に含めようと試みたが、その全ては煩わしいものだった。彼が教師に意見をしたのはこの時一度限りである。 殺人の原因は父から母への暴力であった。警察官であった父は正義を為すことの大切さ、そのことには一生を懸ける価値があるということを幼少期から説いていた。また、彼に武道を習わせていた。が、ある日酒に溺れた父は居酒屋の席で暴力を振るってしまった。義侠心からのものではあったが、手段が公正なものでなかった。所謂エリート街道にあった父の人生は途端に荒んだものとなり、彼は触れる物全てを傷つけるようになった。成功続きの人間が一皮剥ければ一気に転落するといったことはよくある話だが、彼も例外ではなかったようだ。母は紅を護ろうと懸命であった、そのために日に日に痣が増えていった。暴力もエスカレートするばかり、そして9歳の夏の日、彼は正義を為した。守ったはずの母は自分を捨てた。 しかし、幼なじみはそれでも彼を離さなかった。 今はお寺の住職さん(母からしばらく預かってくれと頼まれたらしい)のお家に住み込んでいる。朝は早いが、生活には困らない。見聞も随分と広まった。殺した父の遺した「正義」に執着し、幼なじみにすがり付き、それでも元気に生きている。 誰にでも忘れたいことはある。彼の場合は特にそうだった。記憶が消えている、思い出せない、それほど悪くない。弱冠にして道を得るか。 愛読書は坂口安吾の堕落論。

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