タグ： 白夜 そうだ、温泉へ行こう

きりやま・こうき 人間不信のいじめられっ子なバイトくん　小柄で綺麗な顔をしているので人類からナメられやすい。 対人運がバグっているのかかわいそうな目に遭いがち。喧嘩っ早い輩に絡まれたりは日常茶飯事。 そのせいか仕事もあまり長続きせず、居辛くなって転職することが多い。今はコンビニバイトを頑張っている。 日ごろ見舞われる災難については慣れたものだが、最近はストーカー被害に頭を悩ませている。 【秘匿に関すること】 人が好きだった。 いつ生まれ出でて、いつ死んでゆくともわからぬ自分に比べたら短命な者たちの営み、 より良く生きようとするしぶとさ、諦めの悪さも彼らの美点だとずっと思っていた。 短い生涯の間にその命をさまざまな色で以て彩る人間が羨ましかった。 だから人の傍にいることにした。 同じようには生きられなくとも、一生の間のいくらかの時間を共に過ごすことは出来る。 姿を変え、人と働き、食事を共にし、話をした。何にも代えがたい幸福だった。 ただ、彼らと自分とは決定的に異なることを思い知らされる時間でもあった。 生きる時間が違うことで、見ている世界がこうも違うのかと。 価値観の相違を尊重しあえるならまだ良かった。 人にとって“ちがう”ことは排除するに足る十分すぎる理由となるらしい。 みなと連れだって出掛けた山でがけ崩れに遭い、仲間のなかでただ一人傷一つなく帰った時も 助けになるべく人並外れた行動に出てしまった時も 見目が変わらぬ者がひっそり暮らしていると噂になった時も いつでも、自らに向けられてきた視線は厳しいものだった。 いつの世も、今になっても人間の自分に対する態度は変わらない。 少しでもつつけるところがあれば簡単に軽んじられる。害される。貶められる。 信じる者は馬鹿を見る。他人と関わりながら生きる人間が言った言葉だ。 彼らは賢くしたたかであったが、ずるくて、排他的で、不寛容でもあった。 もはや誰かを信じることは出来ないくせに、未練がましく人に紛れて暮らしている自分を まだ何か期待しているのかと愚かしく思う。それでも人の傍に居るのをやめられずにいる。 おれは人間が嫌いだ。

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