タグ： 傀逅 ロスト

プロのピアニストを目指して音楽高校に通う高校1年生。年が二つ上の兄がいる。 幼少期に見たピアノのコンサートを見てから自分もその舞台に立ってピアノを弾き、その音を家族みんなに聞かせることが夢だった。母も父も兄も一家そろって彼の夢を応援し、ピアノを買ってあげて毎日練習する涼麻の演奏を家族で聞きながら団らんするのが日課なとても幸せな家族で会った。しかし一年前、彼が中学校3年生で兄が高校2年生の頃にその運命は激変する。涼麻の誕生日プレゼントを買いに父と母がそろって買い物に出かけたそのデパートを通り魔が襲い、彼の両親は命を落とした。まだ未成年であった彼らを誰が引き取るか親戚間で揉めていたが、その時に彼の兄は「自分が高校を辞めて仕事に就いて涼麻を養う」と宣言する。涼麻も中学校を卒業したらすぐにでも働くと兄に伝えたが、兄は「お前の夢が叶うところが見たいんだ」と言って音楽高校に通うことを勧めた。どうしても兄が譲らなかったので諦めたが、学業も優秀で将来を期待されていた兄のこれからの道を閉ざしてしまったことに対してひどく引け目を感じている。 そのため絶対にプロピアニストになりたい、ならなければいけないという強迫観念のようなものに襲われている。しかし、自分に絶対的な才能がないことも同時に理解しており、練習量は両親が亡くなってから何倍にも増えた。無理をしていそうな弟のことを兄は心配しているが、無理なんかしていないといつも突っぱねている。頑固な部分は兄譲りであるようだ。 兄に対しては感謝の気持ちももちろんあるが、一番大きいのは罪悪感である。 5/21生まれ

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