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◆嗜好 好き:誰かに愛される事(どんなに歪んでいても切り捨てられない程度には)、自分と同じで立場と心が弱い人、守ってくれる人、甘いもの、弱い姉 嫌い:痛い事、愛されていないという感覚、苦いもの、優れた姉 ◆性格 朗らか且つ控えめだが、容姿に関してはある程度自覚がある。自信がある訳ではないが、自分の輪郭というカタチがヒトの惹かれるものである事は理解している。ちなみに、友人女性曰く姉に割と似ているらしい。 「あー、美波ね……あんま、関わらない方がいいと思うよ」 依存されるほどの好意を相手にちらつかせるが、それほど相手に執心してる訳ではない。ただ「愛されている」という証拠が欲しいのだ。それがどんな形であれ。愛される為なら焚き付けて、煽って、自分の方を向かせる上での手段は全く選ぼうとしない。 そして、最も悪辣な特徴として、「同一人物から注がれ続ける状態で美波が受け取る『愛されている』感覚は加速度的に減衰していく」という点だ。これこそが彼女の周囲環境を劣悪化させる原因であり、暴行事件などが絶えない所以である。 依存させるだけ依存させて、勝手に「愛が薄れてきた」だとか「嫌われている」だとか曲解し始める。 終いには新しい心の弱そうな相手を見付けたときに全ての事前情報を隠した上で、彼女は心の底から困ったようにこう言うのだ。 「最近、ストーカー……なのかな。ちょっと悩んでて……助けて欲しいの」 ─────ああ、自分が悪いという感覚が欠落しただけで人はこうも残酷になれるのか。 自分を「根暗のクズ」などと自嘲して表現することもあるが、それどころでない陰湿な行為に走る事もある。そして、そこには全くと言っていいほど悪意が込められていないのだ。周囲は彼女に魅了された人間ばかりが集まり、歪みを指摘できる正しい者などあっという間に排斥されていく。彼女は夥しい愛に溺れ、尚も恋への渇きを譫言のように訴え続けるのだ。 「ねえ、私と一緒に生きて？」 ■姉・美佳について 姉の美佳は勿論彼女の事を大事に思っているが、自分の言葉はもう奥底には届かない事を理解してしまっている。 淑やかで、可愛くて、女の子らしい妹を「この子が主人公なんだ」と、幼少期の内に認識していた。 そんな美佳も成長して、自分の居場所が出来て、友達も増えて、恋人だって何度かできた。 「姉さんの彼氏さん、かっこいいなあ。お兄ちゃんができたみたい」 「駄目だよ美佳、あの子ヤバいって」 「そんな事ないない！美波はホントにいい子だし、可愛い妹で～……」 「──────────美佳、ごめん。俺さ」 美佳は、何度かそれを繰り返していく内に涙を零さなくなった。それどころか笑って受け入れるようになった。 もう、小さな頃から刷り込まれていた事と重ねて慣れてしまったのだ。 摩耗した訳じゃない。擦り切れた訳でもない。ただ、疲れただけ。 そして美佳は、全てを深くまで、そして平等に慈しみ、愛せる人気者になった。 そして美佳は、誰か一人を選ぶ事を恐れるようになった。 家を離れた。家族の元に居る事を避けるようになった。 妹は陽だまりの姉を羨み、愛し、そして恐れ、嫌っていた。妹は姉を遠ざけるようになった。 姉は木漏れ日の妹を羨み、愛し、そして諦め、目を伏せた。姉は妹から逃げるようになった。 何も、これは珍しい事ではない。世の中のどこにでもありふれている、そんな姉妹の関係だ。 暗い過去という程でもない。現に二人は遠く離れた今も、幸せそうに過ごしている。 ただ、人格形成の中で最も大きく占める部分を綴っただけなので、必要以上にどちらかを憐れむ事もない。 実際、そこ以外はわりかし普通の人生を送った一般人なのだから。 ■今後エモで解決していきたい部分 美波は、姉(ないし姉との比較)に対する重度のコンプレックスがある。 姉さんはずるいなあ。いつも笑ってて、明るくて、楽しそうで。私はいつも暗いのに。 姉さんはずるいなあ。私の好きな人は、みんな姉さんが好きなんだ。 姉さんはずるいなあ。みんなが大好きだから、誰かを一番にしないんだって。 姉さんはずるいなあ。姉さんはずるいなあ。 姉さんの食べてるケーキ、とっても美味しそう。 そうやって、私は姉さんから全部全部奪ってきた。 悪気はなくとも、結果は同じ。だから私は、姉さんを避けたの。いつもにこにこしてる姉さんが、心底呆れた目で私を見てると思うと怖くて、その視界に映らないようにしていた。 助けて。私、姉さんに殺されちゃう。

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