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｢うん、ロマンさ！分かるかい？｣ ｢ボクはね、世界中の人間の心に残るようなコンテンツになりたいのさ｣ 3-7 俊敏 1-6 強固な意志 本名 ＊＊＊＊ 目立ちたがりの怪盗。予告状は必ずね。 *☼*―――――*☼*――――― 別段、ひもじい思いとか、辛い悲しい過去とか、そういうモノがあったわけではない。 中学の進路相談で本気で色々考えた結果、仕事して社会の歯車になって誰にも見られず死んでいくなんてシャムスにはごめんだった。幼い頃から注目されることが好きだった。少し勉強したり、少し早く走ってみせたりすればちやほやされていた小学生と比べ、大人になればそんなものも｢没個性｣である。 シャムスの目立ちたがりは次第にエスカレートし、手品をしてみたり、物を盗ってみたり、奇妙な言動ではしゃいでみたりと、一般人じゃ収まらない域まで達していた。 そんな中、友達の妹が火事の家に閉じ込められたらしい。これ幸いと認められたいシャムスは防火服もなしに炎の中へと飛び込み、気づけば身体中を包帯でぐるぐるにされていた。冷やせど冷やせどズキズキ痛む顔の跡は二度と消えず、目立ちたいどころか逆に疎まれる始末。なんてこった。 きっかけは何かのアニメだったと思う。 世界を飛び回って予告状を出し、全人類に注目されているその人を見て、(これじゃね！？)となったシャムスは、善は急げと怪盗ネームを決めた。 ピッキングにパルクールに変装に、とにかく怪盗になるためのものはなんでも覚えた。これがシャムスの生きる道だった。屋根を飛び回ってマントを翻して、ステッキで邪魔な追手を退けて、地元のニュースがジャムスを報道して。そんな世界がたまらなく良くて、天職に付けたと思った。 ……それが、ボクの偽物。偽物、偽物！？世間に認められるためのボクの名前を使って、世間で勝手に飛び回るふざけた野郎。絶対にとっちめて1発殴ってやる。 *☼*―――――*☼*――――― ま、でも、偽物が付くなんて。ちょっと注目されてきちゃった感じぃ？

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