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とある傭兵組織でこき使われている女性。あまり自己主張をせず、危険な仕事であろうと上からの命令であれば殆ど躊躇いなく実行する。ただし実現性の低すぎるものや、無意味なものには提言する為に完全な人形とは言い難い。 名前も持っておらず、最初は「0092」と名乗っていたためにオオクニ、と呼ぶものも居る。何処かからやってきて数年、彼女はいつも「どうせ代わりは居ます」等と言って無味乾燥に過ぎる私生活を送りながら戦場を駆け巡る。 無感情などではないので、泣いている人が居れば励ますし、苦しむ人が居れば手を差し出す。ただし、その方法は酷く擦れたもので、彼女の生育環境がマトモでなかったのは五分喋っただけでも伝わってしまうかもしれない。 シナリオ「銀の弾丸」の後、彼女はそう長く経たない内にこの世を去った。元々体中に機能不全を起こし始めており、対処のしようもなかったこと。加えて、それでも戦場に立ち続けたことが原因と言える。病死ではなく、あくまで戦死だった。 最後まで彼女はそれほどのことはない傭兵だった。少し変わり者で、しかし真面目なだけ。 企業は彼女が自分達に利益をもたらし、そうあろうとしたことを評価した。生命に値段はつかないからこそ、信頼の崩れた世界での誠意は高値がつく。 彼女の身元を探し、報告だけでもしようとした。しかし、分からない。何をやっても見つからなかった、まるで彼女に出自など存在しないと言わんばかりに、全て何も残らなかった。 唯一手がかりらしきものとして、彼女が来るより更に4,5年ほど前。中東でそっくりな少女が見つかっていたと言うことだ。それだけである。 社員達は、誰も知らないその女の死後を想い、葬式をした。誰にでもしていたが、とりわけその祈りの時間は長かったように思える。 0092。彼らは葬式に当たって、数字で呼ぶことだけは拒否をしたそうだ。

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