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生まれた時から父はおらず売りをやっている母との二人暮らしだった。田舎の外れにあるこの家には卵を産む鶏が二匹いて決して裕福ではなかったが幸せな生活であった。だが冬の寒い日、母が病に倒れた。手を尽くす間も無く死んでしまった。その後身寄りがなかったため自ら訓練兵となりなんとか生きて行く決意をした。鶏は茹でて食べた。中々食べれない肉だったのに味を感じなかった。毎日少ない食事と厳しい訓練で気が滅入ってしまいそうだったがある日操縦の才を認められ航空機のパイロットを任せられるようになる。操縦機で空から爆弾を落とす行為に初めは気が滅入ってしまいそうだったが日に日に慣れて行く。そしてある日気がつくのだ。「俺は鶏と同じなのかもしれない」と。あのボロボロの網の檻にいた二匹のように。体から黒い卵を産む。その卵が落ちて割れてしまう。その落ちた場所にたまたま他国の人間がいる。それだけ。もしかしたらこのまま俺は茹でられて食われるのかもしれない。でもそれでもいいとさえ思えた。幸せだった。これに気がついてからはもう何も感じることはなかった。頭はあまりよくなかったから言われるままに卵を産んだ。気がつけば将軍となり、３１になる年になっていた。 もともと農業が盛んで技術的な発展が遅れていたこの国では体付きが他の国と比べてたくましい。 「取り戻そう、森を」

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