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言聖(ｺﾄﾐﾅ) 人とは異なるものを人は聖と崇める。 「信仰の対象は美しく在らねばならないなどと誰が宣ったのだろう」 一人目は私の父親だった。 私に救いを見たと言う。 だから私は微笑んで、父の言う救いを与え続けた。 暫く後に父は言う。共に死んではくれないか？ 柔く微笑み受け入れて、沈み死んだは父のみだった。 父は救いを得たのだろうか。 二人目はクラスの担任だった。 私に愛を見たと言う。 だから私は微笑んで、彼の言う愛を与え続けた。 暫く後に彼は言う。共に死んではくれないか？ 柔く微笑み受け入れて、首を吊ったは彼のみだった。 彼は愛を得たのだろうか。 何時しか言われた死の女神。 だとして私がやることは、何ひとつとして変わらない。 三人目は相談所の職員だった。 私に無垢を見たと言う。 だから私は微笑んで、彼女の言う無垢を与え続けた。 暫く後に彼女は言う。共に死んではくれないか？ 柔く微笑み受け入れて、血を流したは彼女のみ。 彼女は無垢に満たされたろう。 四人目は引き取り手の女。 私に性を見たと言う。 だから私は微笑んで、彼女の言う性を与え続けた。 暫く後に彼女は死んだ。与え続けたが故の末路か。 しかし彼女も満たされたろう。 遺された家に独り住む。 窓辺に咲く花を見た。 哀しみに沈む彼を見た。 これは、救いだ。 気が付けば彼は我が手にあった。 消えた表情のその中に、救いを、愛を、無垢を、性を。 おいで、おいで、全部忘れて私の元へ。 彼を誰も探さない。傷は癒えない。 幼い彼に皆、何を見ているのだろう。 今はただ、この天幕で眠れば良い。 それが、救いであるとして。 幼い頃、目に苗木が突き刺さった。 視力はどうにか無事だったが、左目は白目が赤く染ったまま元に戻ることは無かった。 その瞳を抱えた彼女が無邪気に笑う。 彼女をそうしてしまったと責を負う父親は彼女のその笑顔に救いを見てしまった。 全てはそこから崩れていった。 赤い瞳は人から忌み嫌われた。 その代わりに、奇妙さを惹き寄せて。 彼女自身もまたそれに順応し、神のように、望まれるように振舞い、行動した。 その少年は彼女にとっての意思だった。 彼女から行動した、願い。 少年。君は幸せだろうか。 人は神様になれないというのに。 職業について 彼女は元々泳ぐことが好きで得意であった。 父親と共に海に沈んだ時も、彼女は海に愛されたと言えるような奇跡と泳ぎで、自身の命を繋いでいた。 何処にいても、水と共に有った。泳いでいたかった。 願えばその才を伸ばすことが出来、彼女は兎角幸せであった。 さあ、表舞台へ。 「同情だろう」 ひとりの女が言った。 違う。実力であった。 だがその一言は彼女を表から引きずり下ろすには十分であった。 彼女は何時だって誰かの救いで、絶望であった。 妬みも、謗りも、嘲りも知っている。 それでも未だ、泳ぐことは止められない。 彼女は時折潜る海で何を思うのだろうか。 本名 桂月灯楼(ｶｹﾞﾂ ﾄｳﾛｳ) 特徴表 5-8 大酒飲み 酒にはめっぽう強く、酔いにくい。アルコールを毒のように扱う場合、探索者はすべてのアルコール関連のPOTを2分の1(端数切り上げ)にする。

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