タグ： 懐胎

幼い頃からサッカーが好きで小中とサッカー部でエースストライカーとして活躍してきた。 中学時代の彼は非常に仲間思いでどんな人間に対しても優しく誠実で正に好青年というに相応しい少年だった。 そんな彼は男女問わず学校中で人気者であった。幼馴染のサッカー部マネージャーと付き合っており、既に二人で将来を誓い合うほどの仲であった 彼は愛する彼女を、信頼する仲間達との絆を、一生大事に守っていきたいと思っていた そんな彼に悲劇が起きた… 彼女との下校中の出来事だった 突然歩道に突っ込んできた暴走トラックから彼女を庇うように突き放すと彼はそのままトラックに轢かれてしまった 目が覚めた時彼は絶望した 事故にあったあの日から10年の歳月が経っていた 即死してもおかしくない程の大事故に見舞われた 彼は奇跡的に一命はとりとめていたものの、脳へのダメージが大きく長い間植物人間状態であった それでも彼はもう一度目覚められたことに感謝してかつての仲間の元に会いにいくと 仲間達は涙を流し喜んでくれた だが少し様子がおかしかった 問いただしても中々口を割らない ふとあることにきづいた。 彼女の姿がいない 彼女の事を聞くと更なる彼は絶望に打ちひしがれた 彼女は2年前に他界していた 彼が意識不明の間も暫くは看病を続けていた彼女だが、次第に憔悴していった。 そんな彼女に一人の男が近づいてきた 彼女は次第にその男に惹かれていき愛し合う中になった そしていよいよ結婚を直前に控えたある日男は姿を消した 男は結婚詐欺師だった 彼女は裏切られた哀しみと憎しみ、裏切ってしまった後悔に耐えられなくなりそのまま自ら命を絶ってしまった。 彼は生きる道を見失ってしまった 何より自分が許せなかった、情けなかった そして大切な人を失うのが怖くなり、次第に人とのかかわりを拒むようになってしまった 昔の仲間でさえ信じられないようになってしまった 現在は地元を離れ都会のスーパーでアルバイトをしながら生活をしている 今は何に対しても無気力になってしまったが、今でも休みの日は一人でサッカーの練習をしている 彼がまた仲間を信じ笑いあいながらサッカーをする日はくるのだろうか…

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