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シエルクロア神王国参謀総長（教授ベース） 　貴方が居なければ、戦争は3年早く終結しただろう。 　大罪人として衆人の前に引き出され、己の罪を突きつけられた男は、静かに微笑んでこう告げた。 「実に残念です。あと5年は愉しめると思っていたのに」 　その瞬間、人々はようやく悟ったのだ。祖国を守らんと死力を尽くし、その才ゆえに、結果として戦犯の汚名を被ることになった悲劇の青年――そう思っていたものの正体を。 　男にとって戦場とは一種の遊技盤であり、人命は盤上の駒にすぎなかった。祖国に被害が及ばぬよう立ち回っていたのも、この『遊戯』から早々に脱落してしまうのを避けたかっただけだった。 　そう、男は誰よりも愉しんでいたのだ。人類史上最悪と謳われた、この、勝者なき灰の戦争を。 　　　――シリル・カントループ著『灰の軍師』より引用 ◆セドリック・クリストフ・クレメンティ（Cédric Christophe Clementi） 王家の遠縁の貴族、クレメンティ家の次男。 隣国からの侵略戦争において活躍し「聖盾」と呼ばれた偉大な将軍を祖父に持つ。 祖父と同じ「セドリック」の名を与えられ、祖父のような軍人にと期待されて15歳で士官学校に入学。 七光もあって入学当初から注目を集めていたところ、軍略の才が軍上層部の目に止まり、18歳で参謀部に抜擢された。 その後順調に参謀部内での発言力を強めていき、当時の参謀総長に片腕として重用され、異例の若さで参謀副長の座に就任する。 直後、緊張関係にあった隣国の工作員によるテロ事件が勃発、不運にも巻き込まれた参謀総長が死亡。 空席を埋める形で21歳にしてシエルクロア軍参謀総長となり、第三次世界大戦においても「国土と国民を守る」ための謀略に奔走、「聖盾セドリックの再来」と称された。 祖父との区別のため、また「自分のような未熟者に偉大な祖父と同じ名は不相応だ」との意志から、特別に必要な場面を除いては「セド・クレメンティ」と名乗っている。 ――というのが、国内外に知られる彼の「対外的な」人物像。 家族でさえ知らない彼の本質は、倫理観や良心というものが欠落した、ある種の破綻者である。 先天的な障害とも言えるその欠落を彼は早いうちに自覚し、そうと気づかれないよう周到に振る舞った。 甲斐あって、周囲からは「愛国心に溢れる有能な若者」との評価を得ていたが、実際のところは欠片ほどの愛国心も信仰心も抱いてはいない。 彼の行動理念は常に「享楽」だった。 士官学校で「軍略」というものを知った彼は、それを「膨大なデータで複雑化されたチェスゲーム」として捉えた。そしてそれは彼にとって、これまでの人生で一度もなかったほどの知的興奮をもたらすものだった。 机上の座学だけでは物足りない。この「愉しい」という感覚をもっと味わってみたいと思った。 もっともっと膨大な、無限にも等しい種類の駒を並べ、用意されたパターンを超える状況変化やイレギュラーに彩られたより複雑なゲームを。後戻りやリセットの効かない現実の戦場を遊技盤として用いれば、それが叶うのではないだろうか。 様々な手を使って軍部でのし上がったのも、全ては策謀という名の遊戯に興じるため。思ったとおり、人命という駒を用いてのボードゲームは、これまで出会ったどのゲームよりも愉しく、そして可能性に満ちていた。 そして迎えた最後の大戦。少しでも長くゲームを愉しむために手を回したことが、結果的には祖国と民を守ることに繋がった。 けれど彼には、最後の最後まで祖国を守りきろうという意志などない。自国民がどれだけ死のうと、故郷が血染めの焦土に変わり果てようと、我が身が破滅へ向かうことすら、彼にとってはどうでもいいことだった。 それを哀しみや怒りに換えるための回路が、そもそも彼には備わっていないのだから。 ◆シエルクロア神王国（Cielcroix） クロア神教の信者を中心とした宗教国家。王位は世襲制によって継承される。 立憲君主制の形を取ってはいるが、議員を含めた国民のほとんどがクロア神教の信者であるために神王の顔色を窺う気風は残っており、完全なる議会主権とは言い難い歪な体制が押し通されている。 国内の資源が豊かなこともあり、領土拡大には消極的。 能動的に戦争行為を仕掛けない分、他国からの敵対姿勢には強気な態度を徹底し、侵略行為を牽制している。 侵略を目論む近隣国との小競り合いは何度か経験しているが、防衛に特化した体制と攻めにくい立地によって国土を維持してきた。 ◆クロア神教 前身であるシエルクロア帝国が国家として成立するにあたり、皇帝の威光と求心力を強めるための逸話を組み込んで体系化された神話が、のちに宗教化した。 ローマ神話を下敷きとした多神教で、初代皇帝の血族を「天空神カイルスの子孫であり、地上に唯一残された神の血統」と位置づけている。 どの神を主として信仰するかは自由であり、神により詳細な教義は異なるが、地上に血族が現存するとされる天空神カイルスは「地上にも力が行き届き、加護を受けやすい神」との認識が強く、最も信者が多い。 カイルス以外を信仰とする者の間でも「（各々の信仰する神）と、天空神カイルスの加護を」と並列して名前を挙げる祈り文句が定形となっている。 為政者に都合よく「作られた」宗教であるとの批判は多いが、多神教ゆえの懐の広さと多様な教義は人々にも受け入れられやすく、国策としての支援もあって、現代に至るまで根強く生き残ることとなった。 取得アーティファクト 【加工された時の時計】 『時の時計』を小型化・軽量化したイス人の発明品。 見た目は赤い宝石が散りばめられた銀色の勲章。 本来の”時の時計”は使用するための手順が存在するが、本勲章はイス人の手により加工され、「針を行きたい時代へ合わせ、MP5を消費する」と「所有者を望んだ時代へ肉体ごと転移させる」アーティファクトと変化している。 ※このアーティファクトを持った探索者が別の時代のシナリオへ行く際は、必ずKPに許可を貰ってください。 ※また、「本シナリオに参加した探索者は時間移動が可能となる」事は明言して大丈夫ですが、ネタバレを避ける為「イス人から貰った”銀の勲章（加工された時の時計）”によって行える」事は伏せてください。 【世界の鍵】⇔ジェイミー・カヴァル この鍵を持っている間、探索者達は奇妙な縁で結ばれる。 携帯電話などで互いに連絡が取れる、クローズドや、シナリオ背景に影響のない範囲でのシティシナリオで再開ができる。

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