タグ： 誰がロックを殺すのか

「お前ら全員着いて来れんのかァ！！」 石動　政（いするぎ　まつり） 24歳のミュージシャン。バンド｢Яain;drops｣の作詞作曲担当であり、ベース担当でもある。 口癖は「最高」であり、最高のものをつくるためには投資を惜しまないのが信条。 音楽というものが好きで、幼い頃から様々なジャンルの音楽を聴き漁っていた。音楽にのめり込み、小学生の時から楽器を練習し始め、遂には自ら作曲まで手掛けるようになった。「好き」の気持ちだけで音楽活動を続けてきたアーティストだ。 我が強く、自分が正しいと思ったことは曲げないため、バンド内でもしばしば衝突する。しかし頑固な性格ではないので、間違いを認めればすぐに正す一面も。 音楽に関しては妥協は許さないが、それ以外は妥協だらけ。特に私生活がひどく、エナジードリンクを主食と言ってのけたり、ゴミを放置したり、作曲が始まれば飲まず食わずでのめり込んだりもザラ。ただ本人に「ひどい」という自覚はあるようで、最低限死なないために、大学に入ってから5年ほどシェアハウス生活を続けている。迷惑？馬鹿野郎、俺という才能が死んだら誰が世界を盛り上げてくんだよ。おい陸、今日は中華がいい。頼むぜ。 3歳下に、現在一人暮らし中の香苗という妹がいる。音楽が好きなのは共通しているため、話は合うしよくセッションしたりもしている。ただ、政のだらしない私生活のことに関しては死ぬほど嫌いであり、顔なじみの陸にはいつも謝っているし兄をひっぱたいている。 相馬さん、いつもうちの兄がすみません……！ 兄さん！！ 分かったらちゃんと掃除して！！ 終わるまでベース没収だから！！ 偉そうにしている天才肌というイメージが強いが、客観的に見て音楽の才能は中の上といったところ。彼の「最高」を支えているのは、血のにじむようなトライアンドエラーの結晶。裏では死に物狂いで努力しているのだ。もちろんそれは表に出さず、今日も「一晩で書いた曲」等とうそぶいているのだが。 【過去】 相馬陸とは高校生の時に出会った。すれ違いざまにたまたま耳に入った彼の歌声は、音楽漬けであった政のハートを震わせたのだ！ 「おい、お前！！俺の曲を歌ってみろ！！」 どこの誰だか知らんが、俺の曲を歌えるのはこいつしかいない。政は直感でそう思った。 自分の作った最高の曲に、自分が最高の歌詞を添える。そして最高の歌声でもってそれを奏でさせ、最高の作品を創る。そういう設計。 完璧だ。何もかも。歌詞を書いたことはなかったが、なに。俺は自分で言うのもなんだが、筋がいい。最高のメロディーに合わせた歌詞だって書いて見せる。 「誰だよ、お前。知らねえし、お前の曲とか。じゃあな」 「あ？」 気付けば陸はいなくなっていた。政の最高の作品計画は、ピースを失ってしまったのだ。 だが、政は諦めなかった。 「待てやぁぁぁぁぁ！！俺の曲を聴いてみやがれぇぇぇぇ！！」 政は陸という最高の素材を逃したくなかった。そうして二人は初対面にも関わらずぶつかり始め、そして…… ーーその奇妙な出会いが、全ての始まりだった。 俺たち二人で始め。ぶつかり合い、高めあい、時には殴り合いながらも最高の音楽を目指し。 クソほど雨が降っている日のスタジオで、魂揺さぶるアイツのドラムに出会い。 これまたクソほど雨が降ってるっていうのに、ストリートでピアノなんか弾いてやがる、心躍るアイツのキーボードに出会い。 気付けばメンバーも増え、俺は相変わらず最高の曲を提供しまくってる。 ｢Яain;drops｣なんて名前も手に入っちまったし、毎日が興奮と歓喜でしょうがねぇ。 俺はーーそうだ。居心地がいいんだ。この仲間と一緒に、好きなことができるっていう時間が。 たまらねぇよ。いいのかよ、こんなに最高で。 できることなら、ずっと続いていってほしい。そう、これからもーー。 1.いつ頃から音楽を始めましたか。きっかけは何ですか。 A. 音楽にのめりこんでたのは親の腹ん中入ってた時からだ。Nilvanaの「Smells Like Teen Spirit」がエンドレスだった。 　小学生でも色んな音楽を聞きまくり、自分の気に入る音楽を作り出したのは中学生くらいからだ。 　特にロックにハマったきっかけはONE OK ROCKの「The Beginning」を聞いてから。 　まさに俺にとって最高の「The Beginning≪始まり≫」だったというわけだ。 2.担当楽器へのこだわりは何かありますか。 A.ベースって「縁の下の力持ち」って言われるだろ。音は低くて耳に残りづらいし、第一主旋律の引き立て役が多い、とかな。 　だが、「ふざけんな」。空も震える低音がなきゃ魂は揺さぶれねぇ。脇役なんかじゃねぇ。それを俺が最高に理解らせてやる。 　そう思ってベースを掴んだし、今でもそれに拘ってる。 　おっと、勘違いすんな。主役になりたいんじゃねぇ。 　ライブで立ってる楽器に何一つ「脇役なんていない」ってことだ。 3.あなたにとって「ロック」とはなんですか。 A.俺の目指している場所に連れてってくれる「最高の音楽」だ。 　もちろん世の中にはいくつも音楽のジャンルがある。ヘヴィメタとかジャズだって良いもんだと思うし、 　最近のエレクトロニカだって爆発的にノレる。心躍る音楽だ。 　でもその中で、俺が一番最高だって感じるのが「ロック」なんだ。 　その「ロック」が認められ、俺たちЯain;drops最高の作品だって思ってもらえるのが、 　この世で最高に幸福なことだと思ってる。それが俺の目指してる場所だ。 1.これからの活動についてどう考えていますか。 A.まさか活動が終わると思ったか？終わるわけねえだろ。これからもЯain;dropsは続いていく。 2.他メンバーたちに伝えたいことはありますか。 A.あるわけねえだろ。……と言いたいところだが、今からいうことはメモするなよ。 　沢山ある。メンバーはいつだって、俺の足りないところを補ってくれた。 　あいつらがいなきゃ、俺は今この場所に立ってねえ。 　いくらすごい曲を作曲しても、それを奏でる人間がいなきゃ、俺はずっと孤独なままだ。 　あいつらは、最高の仲間だ。今までも、これからも。 3.あなたにとって「ロック」とはなんですか。 A.そうだな……。俺にとって一番最高な音楽が「ロック」。 　Яain;dropsなんて名前も手に入っちまったし、毎日が興奮と歓喜でしょうがねぇ。 　俺はーーそうだ。居心地がいいんだ。この仲間と一緒に、好きなことができるっていう時間が。 　たまらねぇよ。いいのかよ、こんなに最高で。 　 　俺はロックを通じて幸せを手に入れた。次は、お前たちの番だな。

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