タグ： きつねもふもふ裏

物心がつく前から、世界は広く、自分は一人であった。 『天涯孤独』 児童養護施設・コロナス乳児院で育つが、どこか周囲の子に馴染めず、一人遊びが得意な子供だった。 地に足がついていないという表現がぴったり当てはまるような彼女を心配してか、3歳の時に現院長である烏橋陽輝に引き取られる。 烏橋家に引き取られた後も変わらず、幼少期のほとんどの時間を一人で本を読んで過ごす。 彼女は生まれつき『人の生死を判断できる目』を持っている。それは見た人が、生きているのか、死んでいるのかがわかるわかるというもの。寿命が見えるとか、未来が見えるようなものではない。 小学生の頃、トラックと乗用車が追突する事故を目撃してしまう。ぐしゃぐしゃに潰れた鉄の塊に、どちらの運転手ももう死んでしまっていると皆が諦めている中、彼女だけは見えていた。まだ、生きているということを。そう主張しても近づこうとしても、小学生の言葉を信用する者はおらず、危ないからと遠ざけられてしまう。目の前で、命が失われる瞬間を彼女は見たのだった。 幼い彼女はしばらくの間、無力感に苛まれることとなるが、烏橋邸の蔵書を読み漁る内に医者を志すようになる。 あの時、自分が大人であれば。医者であれば。あの命を助けられたのかもしれないのに。 力を持たない者の言葉がどれだけ響かないかを知った彼女は、生と死を見分ける自分の目を人の命を救うために使うことを選ぶ。 人を救うため、忙しさに追われる日々。 ある時、電子カルテのキャッシュを確認していた最中に、自分に『父』と『きょうだい』がいることを知る。 今まで他人を見ることしかしてこなかった。自分を顧みる余裕なんてなく、むしろ知ろうとすらしてこなかった。 突如として降ってきた自身の生い立ち、過去、記録。 空っぽの瓶の中で反響するだけだった、小さな魂が震えた瞬間だった。 もしかしたら、自分は一人でないのかもしれない。 この広い世界のどこかに、生きているのかもしれない。 誰にも言えない能力を抱えて、奇妙に浮いていた自身の存在が、地に足をつけた感覚がした。 ああ、自分の名前は。 遠く“彼方”にいる、家族に“響く”ための叫びなのだ。 身長が小さく、幼く見えることを気にしている。 そのため、表情をキリッと引き締めている（本人談） 人と接するのは得意ではないが、その圧倒的な技術の高さで周囲を黙らせてきた。 見た目に反して激辛料理が好き。 懐かない小型犬みたいなイメージ。 烏橋とポメラニアンと同居中。

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