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24歳大手企業に勤めるサラリーマン 現在ルームシェアをしているなかあつとは小学生の頃からの幼馴染で親友である。きっかけは家が近所だとか、親同士の仲がいいだとか、ごくありふれたものであった。それからは同じサッカーチームに入り、チームメイトとしてお互いを信頼してプレーをしていた。将来はサッカー選手になりたいだとか、そんな子供じみた夢を語り合うほどに亀渕はサッカーにのめり込んだ。 ふたりは中高と同じ進路を辿った。もちろん高校はサッカーの強豪校へ進学し、なかあつと2人でIHに出場するべくともに練習の日々に明け暮れた。そんな高校一年の夏、悲劇は起きた。無理な練習を重ねた結果なかあつは膝を故障した。なかあつはもうサッカーを続けることができなくなってしまった。IH出場の目標はあくまで「ふたりで」考えていた亀渕はなかあつがサッカーをやめるなら自分も一緒にやめようと考えていた。うまくいっていたはずだった。ふたりは、同学年ではサッカーの技術はぬきんでていたし、来年には二年生ながらIHで活躍している自分を容易に想像できた。しかし、相棒を失った亀渕は前に進むことを諦め始めていた。しかし、やめようと思っていた矢先になかあつに叱咤激励をうけた。それが折れかけていた亀渕の心を繋ぎ止めた。どこかで自分だけサッカーを続けることに後ろめたさを感じながら、亀渕はなかあつの想いを背負って一人で練習をかさね、二年三年とIH出場を果たし、好成績を残す。 思えばなかあつがサッカー部を去ったその時期からだろうか、亀渕は人生を打算的に考えてしまう癖ができた。元来、成績が良かった亀渕は有名大学に進学し、本気で打ち込んでいたサッカーも趣味程度のものになっていた。これが一番効率がいいはずであると打算的に生活をしてきた。楽しいキャンパスライフを送り、大手企業に内定が決まった。一般的には彼は成功者であるはずだ。そんな中で進路を違えてしまった親友のなかあつと再開する。話を聞くと彼はミュージシャンを目指しいた。何度も会って話をするうちに収入の少ないなかあつは住居を、仕事の忙しい亀渕は身の回りの家事をとお互いの利益のために共同生活を始める。 なかあつは小さい頃からの親友である。互いに認め合い、尊敬している。しかし心のどこかで嫉妬をしてしまっている。成功者の人生、会社でも新卒二年目にしてはすばらしい待遇である。しかし、心にぽっかり穴が空いたかのようなそんな感覚に苛まれることが度々ある。夢を追いかけるなかあつを見ていると自分の人生がひどく薄っぺらいものに感じる。リスクのない安定した人生、亀渕の計算ではそれが自分の送る幸せな人生なはずであった。しかし、たまに考えてしまうことがある。自分にも他に道があったのではないかと。自分にも夢があったのではないかと。しかし、あるいは自分で記憶に蓋をしてしまったかもしれない、自分の夢を思い出すことはできない。自分の現状に不満はない、そのはずだ。しかし何故か現状に疑問を持ち眠れない夜がある。いっそのこと仕事を辞めてしまおうかと考えたこともある。だからこそ夢を追いかけ、自由に人生を生きるなかあつに嫉妬しまっているかもしれない。

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