タグ： 冬霞

平穏な家庭で生まれ育った長子。父親は胡桃の会社で働いており、幼い頃から志駄家とは交流が深い。 縁は正義感が強く、動物や老人、年少者に優しくあるべきという考えを人一倍強く抱いていた。人を守れる人になろうと空手を習うも、途中で挫折している。武道の道を諦めた後も自宅で筋トレを続ける。 経済面で豊かな家柄ではなく、両親に苦労させたくないという思いから必死で勉学に励み高校卒業後は奨学生として大学へ進学。公務員になる目標を持っていた。それは、両親への恩返しと意中の相手である胡桃をいざとなった時に養えるように。 しかし縁は20歳になり、忽然と姿を消した。 津々浦々を飛び回り、喋り方、歩き方、表情の作り方、ついには顔まで変え、裏ルートで見ず知らずの人の戸籍を買い全くの別人として生きる。 元々は愛想の良い方ではなく、気を許した相手以外には「何を考えているかわからない」「近寄り難い」という印象を持たれることが多かったが、別人として人生を始めてからは真逆に思われている。 それなりに悪どい商売にも手を染めてきた。 現在在籍中のホストクラブのオーナーは半グレと繋がっている人物で、決して善人であるとは言えないが、得体の知れない縁の世話を焼いて面倒を見てくれるため彼にとっては恩人である。 胡桃への気持ちが友人へのそれとは異なっているという自覚はかなり早い段階で持っていた。男同士で生涯添いとげるビジョンはただの理想だと知りながらも、彼が大きな決断をする際は必ず胡桃という人間が関係している。 愛していると伝える資格はなくても、せめて彼を瞳に映したい。

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