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四ツ谷 心悟 海が奇麗な街で双子の弟と共に生まれる。弟は先天性の色盲であった。先天性の色盲は治療方法が存在していないため、小さい頃からの心悟の夢は医者になって色盲の治療方法を見つけること。そして弟と一緒に奇麗な青い海を見ることだった。 しかし、心悟が医大の受験を目前に塾に通っていたある日、両親と共に自身を迎えに来ていた弟が心悟の目の前で車に轢かれて亡くなる。心悟が最後に見た弟は鮮やかな赤色の中に沈む姿だった。青い海を見るたびに、亡き弟が生き返ったらどんなに良いだろうかと強く思うようになる。 その後医大に合格するも、本格的に医療を学ぶうちに「人が生き返ることは決してない」という事実を改めて目の当たりにするようになり、部屋に閉じこもるようになる。そして1年間の休学後、大学は中退することになる。 そんな心悟は大学休学中、ある宗教に出会う。その宗教の教えは、善行を積むこと、そして日々想い、願うことで死後の世界にいる大切な人たちが幸せになるというものだった。この宗教が今の心悟の心の支えになっている。 あのとき迎えに来ていなければ。あの塾に通っていなければ。 はやく家に帰っていれば。こんなことにはならなかったかもしれない。 弟を殺したのは自分。 ではせめて、あの世では幸せでありますように。奇麗な青が見られますように。 心悟は毎日毎日、願っている。 この青が、消えるまで。

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