タグ： かりゅうばね あいみ

ある誕生日の夜に両親が殺された。 その日は人生で最高の日になるはずたった。 夕食には好きなものがたくさん並べられ、誕生日プレゼント渡されケーキを食べきれないほどに食べ幸福に眠り明日の朝を迎えるはずだった。 誕生日プレゼントはメイク道具だった。 少しは女の子っぽいことも覚えなきゃねと両親が選んでくれた物で翌朝になればプレゼントされたメイク道具を使って人生で初めてメイクをしてもらう予定だった。 母に教えて貰い、父にお披露目する。 少し恥ずかしい気もするけどとても楽しみだった。 楽しみなことはもうひとつ、産まれてくるらしい赤ちゃんだ。 いつからか欲しい物を聞かれたら弟か妹と答えるようになっていたらしい。 だから、母に赤ちゃんができたという話をして貰ったのが一番嬉しかった。 活発で男子に混じり男の子みたいだった自分がお姉ちゃんになるのだ。 なら少しは女の子らしくして自慢できるお姉ちゃんにならなくちゃいけないという意味もありメイク道具というプレゼントは合致していた。 特になんのことはない幸せな一般家庭だろう。 しかしすべてが奪われた。 自分にできることなど、何もなくただ怯えて震えるだけ。 事が終わったあとに自分だけが生きていることを理解した。 そして逃げた。 力があれば守れたかもしれない。 力があれば救えたかもしれない。 全ては力のない自分が悪い。 そんな中で出会った組織の人間に助けられ仕事を紹介された。 仕事内容はスパイや暗殺らしい。 自分のような人間がちょうどいいのだろう。 もう普通の幸福を受け入れられないであろうそんな自分には。 仕事をして力を付けて復讐する。 それにそういった仕事であれば親の仇の情報も得られるだろうという思いもあった。 だから誘いに乗った。 必ず殺してやる。 復讐にいきる意味を見いだした自分を家族たちはどう思うだろうか。 しかしもう止まることは出来ない。 なんとか持って逃げたメイク道具を片手に復讐を誓った。 これを見るたびに過去の出来事を思い出す。 復讐の火は消えない。 仕事を始めてからは努力を惜しまない。 かつての何もできなかった私ではない。 すべてを私の手で終わらせる。 世界のどこに居ようとも私の手で引導を渡そう。

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