タグ： つな探索者

【設定】 「…ああ、いらっしゃいませ。どんな本をお探しですか？」 少しぼんやりした小さな書店の店員。たまーに気が強い。 大学を文学部で卒業。小説家や編集者より書店員がやりたいと在学中に気づき、バイト先に就職。通学路の書店なので学生の知り合いが多い。 1ＤＫに一人暮らし。部屋は本で散らかっている。栞を集めるのが趣味。栞を作っては店頭に置いている。 ファンタジー小説が好き。本以外だと、辛い物が好き。 一人称:わたし　二人称:きみ 【鼠谷との思い出】 正義感が特別強いわけでも、喧嘩が強いわけでもない。そんな莵原がいじめられっ子の鼠谷と親しくなったのは、昼休みに図書館棟で彼と二人きりになった時だ。図書委員だった莵原が昼休みに図書館棟に鍵を開けに行くと、建物と植木の間に隠れるようにして彼はいた。遠くから彼を探す声が聞こえ、彼がびくりと身を震わせたのを見て、咄嗟に「おいで」と手を引いて図書館棟に入った。戸惑う彼をカウンターの中に押し込み、しーっとひとさし指を口に当てた。カウンターの椅子に座り、窓の外を駆けていくいじめっ子たちが遠くに行ったのを確認してから、「行っちゃったよ」と彼に言った。それから、たまに彼を図書室に匿うようになったのだ。 学校で莵原に出来るのは図書当番の日に彼を匿って一緒に本を読むだけ。それでも彼が笑ってくれたから、放課後も一緒に遊ぶようになった。こっそり少し遠くの公園に行って、好きな本の話をして、好きなお菓子を食べて遊んだ。仲良くなるにつれて、もっと彼に出来ることがないか考えるようになった。そして勇気を出して、教室で彼の手を取った。いじめっ子も、彼も、クラスメイトもとても驚いていた。その視線をすべて無視して、「おいで」と二人で教室から逃げ出した。それからは図書当番じゃなくても彼と一緒にいた。クラスメイトからの仕打ちも、友人へのいじめを見て見ぬふりをしていた時の心のもやもやと比べて何も感じなかった。 彼と作った栞もアルバムにしまってある。

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