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梔子 彰（くちなし あきら) 　幼いころから少しだけ他人とは異なる感性を持っていた。他人が綺麗だと褒め称えるものに、彰は関心を持てなかった。他人が面白いと言ったものを、彰が十分に楽しめることはなかった。そんな時彼の心に根差したのは「なぜ？」だった。 　「何故自分は他人とは違うのか。何故だろう？きっと理由があるはずだ。そうでなければ、こんな不公平な事はない。」彼は必至に理由を探した。その過程で、様々な人の言葉や行動を精査し、人の内面を覗き見るコツを掴んでいった。 　彼は人の人生を小説のようなものだと感じた。なによりもリアルで、今尚書き綴られていく未完の小説が、いたるところに転がっていると考えるとワクワクした。彼は「面白い」と心の底から感じた。 　その時、「あぁ、自分が本当に楽しめる事はコレだったんだ」と彼は確信を得た。 　彼は自分の欲求を満たすために美術教師を目指す事にした。学生という生き物は、正に人生の絶頂期にあり、もっとも揺れ動く多感な心をもっている生き物だ。そんな最高に面白い「小説」が自分の目の前で描かれていく、彼にとってはまさに「最高の職場」だった。幸い美術的な素養は常人よりも持っていたし、なにより全ての教科を見比べた時に一番関心を持てそうなのがこれだった。 　彼は今日も清々しい朝日を望みながら支度をし、学校に向かうのだろう。今日はどんな物語が読めるだろうか？そんな事を考えながら。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 〇変な趣味 ・「特定の期日の間、無作為に選んだ生徒の事を観察し記録する。」 例えば５日間と決めれば５日間、一人の生徒の事をつぶさに観察し記録する。その言動、行動、何をした時、された時どういう表情を浮かべるのか。どんな食べ物を食べるのか。どんな飲み物を飲むのか。友達は多い方なのか。等々、目についた様々な行動とそこから推測される人格を記録する。そして決めた期間が来たらその生徒がどういう人間で、おそらくこのように生きてきたのだろうというその生徒の「物語」の大筋を纏めて、また次の生徒を見繕う。（ずっとは観察していないのでバレてない）家には今まで観察してきた生徒達の記録がノートに纏められて何冊も本棚に並んでいる。 〇性格 ・人をよく見る為にちゃんとした話術は身に着けている。ただ、いつも張り付けたような笑みばっかりしているのでなんか謎。 ・誰に対してもフレンドリーに接する。嫌いとかはあまりない。ただ生徒の内情に結構入っていこうとするので偶に引かれる。 ・感性がずれてたのもあって人と一緒に遊ぶみたいなことをあまりしてきていない。だから今その反動で遊びたい盛り。友達募集中。まあ趣味が趣味なのでできないが。 ・妹が入ってきたときは驚いたが、その様子が昔と比べてかなり変わっていたので、心配半分好奇の目半分で見ていた。冷たくされたのは素直にしょげた。

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