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３８歳　 彼は生まれたときから憑いてないといえば憑いていなかった。 彼は貧しい母子家庭の一人目の子として生まれまだ遊びのない子宮で生命を授かったために小さくなる事は自然の摂理として定まっており、さらに加速因として早産であった。 未熟児として生まれた彼は生後しばらく保育器から離れることが出来ず、母親は出産直後にもかかわらず焦燥に焦燥を重ねる毎日となったことだろう。 母子家庭・体が小さく・早生まれの生年月日であり、一回り大きな学級に入った彼に用意されていた席は 抵抗も、声を上げることも許されぬ席であった。 生物として雄として劣っている彼は学級にたった１つの席に着席せざるを得なかった。 凄惨極まる暴行から彼を守ったのは皮肉にも、彼の小さな体ゆえ、弱い体ゆえに、生き残るため身に憑いた反感を買わない程度に身を守る技術であった。 彼は耐えた。耐えに耐えた。そして努力した。這い上がる努力を。母を助ける努力を。 彼に栄光の扉は開かれた。彼は今日も手術室に向かう。栄誉ある麻酔医として。

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