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長期狂気不眠症(2023／8月まで) 夢見沢眠子の怠惰なる罪障(HO３：庭師) ”師”のつくブルーワーカーは、金にはなるが突き詰めて言えば『金にしかならない』と師匠は言っていた。 漁師に猟師、罠師なんてのもあるし、全くもってホワイトカラーじゃない”庭師”も勿論その括りだ。 何か夢や憧れがあって庭師になったわけじゃない、スーツを着る仕事やれる気がしなかったし、かといって工場勤務もピンと来なかったし、大工や鳶より楽そうだったから、その程度の気持ちで高卒で地元にあった元気なジジイが一人でやってる造園屋に入った。 やってみたら意外に性に合っていたのだろう、庭木の剪定や林道の間伐や造園など進捗や成果が目に見えるし、給料もそれなりに高い、何より仕事柄外での作業しかないので日が落ちれば仕事は終わるし、風が吹く日は遅刻して・雨が降る日は出てこない♪そんなハメハメハ大王の歌詞(３番)みたいなライフワークバランスがとても気に入っていた、働き始めて５年が経ち、元気なジジイがポックリ死んで独立を余儀なくされるその日までは。 この５年で新入社員は０だった、そりゃそうだ思い立って「あ、庭師になろう」って思うやつなんてこの世にはきっと探索者しかいない、なんせ営業も施工管理も施行も全部自分一人でやるのだ、輝かしい職業でもないし若くして目指す奴なんかまずいない。 急に一人親方として独立を余儀なくされ、仕事が取れるかどうかとか不安はあったが、予想に反して仕事は鬼のようにあった。 シンプルに庭師だとか造園業者なんて町にいくつもあるもんじゃないし、年寄りは引退するし若い奴は入ってこないしで客数に対して業者が壊滅的に少ないのだ。 不安を吹き飛ばすほど仕事が舞い込んでくる、断っても断っても単価を上げても予約が二年待ちでもどんどんくる、予約した側は「予約したから」って理由で半年とか１年とか２年とか放置した庭の手入れを発注してくる、雑草くらい刈れよ死ねばいいのに。 師匠が言っていた言葉を思い出す、『庭師は金にはなるが、金にしかならない』なるほどその通りだ、２人でやっていたものが１人でやることになり仕事仕事アンド仕事で駆け抜けて気づけば３０歳、このままじゃ俺は予約に殺されるか予約客の大腸を庭木の大鋏でジョキンと切ってクロックタワーに住み始めるしか道が残されていない…そう思っていた折に新規でふと舞い込んだ予約で夢見沢家の造園を行うことになる、腕を買われて住み込みで働かないかとスカウトされる、答えはもちろんイエスだ、”毎日違う現場で毎日半年ぶりに訪れる違う庭”より、”毎日自分が好きにできる同じ庭”のほうが圧倒的に楽だからだ。 こうして彼は今から６年前、30歳の時にSoftbankに3240円(税込み/当時の価格)を支払って携帯電話の番号を変え、抱えていた大量の予約を全部トんで夢見沢邸の専属庭師になったのだった。 ▼出身地 　子玄市内の郊外にある町の生まれ育ち ▼家族構成 　２つ下に弟がいる、両親は定年退職を機にもっと都会の高齢者専用マンションを買ってそこで過ごしている。 ▼交友関係 　あまり多くはない。 ▼演奏できる楽器 　アコースティックギター ▼お嬢様に対して 　自分はメイドでもなければ執事でもないし、自分は平々凡々より若干バカ寄りの偏差値41の商業高校卒だし正直関わり方や接し方はどうしたもんかと悩むところではあるけれど、今の自分がクロックタワー在住にならなくて済んだのはこの家があったお陰様だ。 庭師という自分の仕事を通して花や草木に触れることで何某か人生の豊かさ的なアレをアレしてあげれたらいいなという気持ちはある。

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