タグ： 蹂躙するは我が手にて

職業サンプル：俳優 特徴 5−6：異物への耐性　POT対抗の際成功値に＋20％ 3−7：俊敏　回避の基本成功値がDEX＊5 特徴は採用なしでもOKです。 また、下記はシナリオ内容に抵触するようであればなかったことになるか、PC(の周辺)からみた主観的なものであり事実と異なるといった処理にしていただいて結構です。 芸術(閨技)は売春婦時代のテクニックから。場合によっては男性相手限定でもいいので、精神分析の代わりにごねられないかなと目論んでいます。 名前はPCのモデルであるフランスのとある少女から。 伏せるためにoを0に置き換えますが、英語にするとJ0an 0f Arcになるのだそうで、それととるに足らない小娘であるという意味を込めて、 名無しの代名詞たるジェーンドゥと混ぜた名前を付けています。 国名：アンサメタルジア社会主義共和国 首都：聖都カロリア 言語：世界標準語 没収された持ち物 自害用に渡されていた拳銃、修道女の制服、くたびれ果てた国教の聖典 全て悪意や嫌味を込めて渡されていたもの　本人は貰ったものだからと大事にしていた 片田舎の売春婦から生まれた女。 幼子とはいえ騒ぎ立てて母の仕事を邪魔すれば、こっぴどく叱られその日の飯がもらえぬことを早々に理解した。 それからはじっと息を潜めて朝を待つようになったが、そうしていれば閨の睦言はよく聞こえた。 母をとる客の客層はさまざまだった。 裕福な商家の主人、地方へ遠征に来た軍隊の将校、近所の貧しい農夫など。 それらの人間の言葉遣い、漏らす情報などを聞いていれば、それは学校にも通えない子供にはある意味で良い教育になった。 少女は育って娘になり、美人と噂だった母親に似てよく客をとれる娼婦になったが、 睦言で教養を身につけた彼女は母親よりもなお上流層に好まれた。 おまけに娘は演技がうまかった。 客に合わせて性格が変わったように接客方法を変えては固定客を増やしていく娘をみて、 娼館を取り仕切る女は「女優の方が向いているんじゃないのかい」などと冗談めかして笑った。　　 ある日そんな話をした客が、たまたま旅の演劇一座の座長だった。 「うちで演ってみるか」などとかけられた軽い言葉に、もう客を取らなくていいのならとうなずいたのが大きな分岐点だった。 客を娘に取られるようになり、徐々に酒浸りになって暴言だけを浴びせてくる母親から離れられるのもありがたかった。 最悪役者の芽がなくとも、そうなれば巡業についてまた春を鬻げばいい。 そう思い貰った端役で立った舞台で娘は頭角を表した。 どうやら天性の演技の才があったらしい。 主役を食う勢いで、初めての興行の後、客の口に上っていたのは彼女の名だった。 準主役、主役ともらう役がおおきくなるに連れて、一座が興行した道筋を辿るように彼女の名前は人口に膾炙していった。 やがて軍部の目に留まるようになり、かねてから自国を拡大するきっかけを探していた彼らは女に目をつけた。 女の母親を買ったことがあるという、女に目と髪の色がよく似た男が訪ねてきて父だと名乗り、女は首都に連れて行かれた。 そこからはあれよあれよという間にことが進む。 数日間の教育という名の洗脳プログラムを受けて、女は軍部の広告塔となった。 だがそんなものがなくとも、この女であれば筋書きひとつ渡されれば完璧に役目を果たしただろう。至極どうでもいいことだが。 究極の話、いい政治家とはうまい役者なのだから、彼女にその役目は天職と言ってもよかったのだ。 　 彼女は国境での小競り合いの跡に頻繁に赴き、民の傷や生活を憂い、自分に力があれば奴らをのさばらせはしないのにと涙をみせ、 時には実際に野営に加わる事さえあった。 このときすでに女の生い立ちは美化されて国中に広まっていたから、まるで女神のような扱いを受けていた女の行動は人心を買うのに容易いものだった。 軍部に支持された台本を完璧に演じ続ける彼女によって、次第に民衆の心は焚き付けられていく。 我らを、女神を苦しめるものがあってはならない。 この境遇は周辺諸国によってもたらされたものだ。迫害を受けている。尊厳を奪われている。 取り返せ。取り返せ。この手で平和を、豊かさを取り戻せ。 虐げる側となれ。我らが戴く女神もそれを望んでいる。 そうした機運にのって始まった世界大戦。彼女が火付け役と言って差し支えないだろう。 こうして世界は500万を下らない死者をだしたのだ。 終戦後、国内は彼女に掌を返した。 いつの間にか広まった出自を蔑み、女が魔術を使って人の心を操って戦争に追いやったと石を投げられた。 女に拒否権などなかったことや、言動に全て軍部の思惑が反映されていたことなどは関係ない。 それが事実として広まったところで、民衆の気持ちや彼女の処遇に何も変わりはなかっただろう。 結局のところ、売国奴の魔女に騙されたというそれだけが人々にとっての事実なのだから。 そして女にしてもそこは無頓着だった。 生まれてこの方、母に抱き上げられたこともやさしい言葉をかけてもらったこともない女はそれが当たり前だと思っている。 事実、貧しい農村部では子供が大事に育てられることも少ない。女は取り立てて哀れな境遇でもなかった。 加えて女はどこかネジが外れていた。 人生とはそういうもの。これが与えられた役。そう思って、自分を取り巻く環境が良くなっても悪くなっても一喜一憂すらしなかった。 役を演じていない時は、いつもどこかきょとんとした顔で全てわかっているのかいないのか、ほにゃほにゃと笑う。 そんな女を見て、人々は一層気味悪がり、唾棄すべきものとして扱った。 獄中でも女は何も変わらない。そして死刑執行の時が迫る──。

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