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檀崎　大翔 古くから優秀な検事を多く輩出している檀崎家の次男として生まれる。10歳上の兄の優一とは異母兄弟。高学歴でないがゆえに親族に白い目で見られている母親のために、自分が兄よりも優秀であるということを周囲に認めさせたいという思いがある。 幼いころから、兄の存在は強大だった。そもそも10年のビハインドがあるのだ、自分が字を書く練習をしているころには兄は英語で日記をつけていたし、自分が小学校で学級委員長に選ばれたときには兄は高校の生徒会執行部の会長に推挙されていた。「大翔はすごいなあ」と兄が笑って自分の頭を撫でるたび、今に見ていろと心の中で喚いていた。大きくなって、検事になる。ただの検事じゃなくて、日本一の検事になってやるからな。お前には絶対に負けない。 ＿＿しかし兄は、検事にはならなかった。「困っている子供たちの助けになりたい」などと言って、大学を卒業してすぐに、日本から飛び出したのだ。当時中学生だった自分には兄が逃げたようにしか思えなかったが、年を追うごとに、兄の存在は自らを苦しめた。ひとつひとつ説明するまでもなく、兄は自分にはない圧倒的な才能を持っていた。そしてそれを、社会に還元しようという心までもを持ち合わせていた。……自分では兄に勝つことはできない。しかし、周囲の期待を無下にすることもできない。自分にできるのは、日本一の検事になって、自分が歩んできた道は正しかったと兄に証明することだけであった。 だから努力した。誰にも負けない。誰が見ても「日本一の検事」だと思われるまでになってやる。自分に才能はない。でも、努力を重ねることはできる。絶対に諦めない。それだけが、自分にできる唯一で、絶対で、兄にも負けない志なのだから。 本物の「天才」を知っているため、今自分が「天才検事」だともてはやされているのはなにも自分に才能があるからではなく、自分が環境や人に恵まれており、それに胡坐をかかずに努力を続けてきたからだということをきちんと理解している。自分の能力に自信を持たないのは自分を支えてくれている人たちに対して失礼だと考えているため、「天才検事」という賛辞を拒絶することはないものの、自分のことはあくまで「目的のために不断の努力を行える人間」でしかないと認識している。 「見てろよ。俺は、お前が捨てたこの世界で、トップに立ってやるからな」

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