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クトゥルフ PC作成ツール
C.R.C:レイター
ID:4469902
MD:6606cf0a2c4ead1d0f398a3f0711776b
C.R.C:レイター
タグ:
#し宅
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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SIZ
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初期
SAN
アイ
デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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非表示
簡易表示
通常表示
技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
表示
初期値の技能を隠す
複数回成長モード
非表示
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通常表示
<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
非表示
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通常表示
<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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簡易表示
通常表示
<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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簡易表示
通常表示
<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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通常表示
所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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通常表示
パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
dc143c △武器 ・拳銃 IMIデザート・イーグル(改良型) 既存のデザートイーグルを2丁持ちしやすいよう改良したもの。 (1D10+1D3+2)*2 射程15m / 攻撃回数1*2 / 弾薬数7*2 / 耐久力9*2 / 故障no.94 ▽不定の狂気 1,強迫観念に取りつかれた行動 3か月(スタート 2022/07/03) 2、心因性機能障害→右足 6ヶ月(スタート 2022/07/03) ▽本名 クリスチャン・ドリフター Christian Drifter ▽アルカナでのコードネーム C.R.C:レイター(Reiter) (C.R.Cと書いてレイターと読む) (独)reiterは騎手の意。黙示録の騎士がモチーフ。 しいて言えば白い馬、そして背負う色の赤い馬。そして何より、死を運ぶ青ざめた馬。 勝利の上のさらに勝利を、武器を手に取り勝利を、そして目的のために、己以外を犠牲にする勝利を。 ⚠アガサ・クリスティ著【蒼ざめた馬】のネタバレを含みます(すみません……) そもそも:蒼ざめた馬(The Pale Horse)は黙示録の第四の騎士ペイルライダーのことであり、死を司る騎士のこと。大アルカナ「死神」のモチーフ。 この推理小説の最終的なトリックはオカルトに隠れた毒殺であり、黒幕である製薬会社の名前は「C.R.C」であった。 →C.R.Cといえば:オカルトで真っ先に浮かぶのはかの薔薇十字団の創立者である同志C.R.C、すなわちクリスチャン・ローゼンクロイツ。 そのクリスチャンと死神をかけた、また獣の数字と黙示録つながりのコードネーム。 加えて、クリント・イーストウッドの映画「ペイルライダー」の前身となった映画「荒野のストレンジャー」の原題は、「High Plains Drifter」 >薔薇十字団は、始祖クリスチャン・ローゼンクロイツの遺志を継ぎ、錬金術や魔術などの古代の英知を駆使して、人知れず世の人々を救うとされる。(Wikipedia)(ジャスティスヒーロー要素)(薔薇十字団の思想は不老不死なので正しいかというと……ですが) ここまで凝って本人が考えられるかな?と思うので、もし可能ならシックスが名付けていてくれたら……うれしい…… →つけてもらった! うれしい たぶん名乗っている本人はここまで名前の意味を知らないです。 ▽デルタグリーンでのコードネーム エノク:חֲנוֹך(Enoch) 旧約聖書においてこの名を持つ人物は二人登場する。 人類初の殺人者であるカインの息子としてのエノク、そしてノアの曽祖父としてのエノクである。 後者はエノク書において、神によって天に連れていかれた後、天使メタトロンに変容したとされている。 メタトロンは36対の翼と無数の目を持つ炎の柱としてあらわされる。 嫌な名前! デルタグリーン時代はEだけどアルカナではCになった。エッヘン。 ----------------------------------------------- ▽CS作成 ・クトゥルフ神話技能 1d10→7 +HOボーナス 計17 ・HOボーナス技能値はデルタグリーン+アルカナでの経験も大きそうなので<成長>欄でとっています(※初期値バフは初期値なのでその他欄) わかりにくかったら右横に移動します! ・職業ベース 自衛官(陸上) EDU*10+STR*10 職業特記は割愛 かなり改変しています……! ・サバイバル→銃火器技能 ・隠れる→聞き耳 ・任意選択のうち一つ→目星 へ改変。 銃火器メインで訓練されていると想定。照準を定めるための視力、相手と己の位置関係を把握するための聴力。 ・任意の近接戦闘技能→オカルト 通常の軍務と違い、アルカナは対神組織のため…… ・応急手当→割愛 倒れる前に倒せばいい。自分にはそれが可能である。 ・任意選択うち一つ→割愛 銃火器特化のなごり。 ----------------------------------------------- ▽スマートデバイス「ノア」について AIのカスタマイズは、できる限り人格の感じられない機械音声として調整している。 物に感情は必要ないというデルタグリーン時代に培った価値観の影響。 ----------------------------------------------- ▽火に対するトラウマについて 以下に記する出来事と、母の声と、生き残る強迫観念を思い出すので、苦しそうです。 (PTSD) 右腕と右頬に火傷の痕があります。(隠しています) ----------------------------------------------- ⚠以下、神話生物に対する独自解釈を含みます。 ▽幼少期(~7歳、あの日まで) アメリカ、ニューイングランド地方、マサチューセッツ州のボストン。 そこに暮らしていた一家の長男として生まれる。 ボストン科学博物館に勤務する考古学者の父、彼を支える料理の上手い母親を両親に持つ。 父親はよく幼い息子を調査の見学に連れて行ってくれ、母親はそのためにバスケットいっぱいのサンドイッチを作ってくれた。 父親はこのマスタードたっぷりのサンドイッチが好きで、母親に増量をねだっては叱られていた。 自分は甘いものの方が好きだったので、母親は特別にフルーツサンドも作ってくれたのだった。 両親はとても仲の良い人で、聞けば大学時代からの付き合いであるという。 そのころから研究職を目指しており、不摂生で名をはせていた父親の噂に興味を持った母親が彼を訪ねたのがはじまりらしい。 研究のためなら平気で食事を抜く男に驚いた母親(料亭の長女)が差し入れに弁当を作るようになり、 父親のリクエストでマスタードたっぷりのサンドイッチを作ることが日課になっていったようだ。 そのうちに母親が「この人を支えていきたい」と思い始めたのがきっかけで、母親の方から結婚を持ち掛けたのだという。 父親ははじめ結婚にあまり興味もないひとだったが、母親の熱におされる形でそれを聞き入れた。 二人は大学内でも有名なカップルで、皆に祝福された幸せな夫婦になったという。 今でもしっかり者の母親に愛のある説教を受けている父親を見るたびに、説得力のあるエピソードだなあと思う息子であった。 父親は調査の傍ら、土着のインディアンの民俗も追っていたようだ。 彼の興味を引いたのはある部族に伝わる「悪魔」の存在で、彼らのみが伝えるその存在のルーツはどこなのか、いったい何を指しているのかということが彼の研究であったらしい。 詳しい研究の内容は理解することはできなかったが、父の興奮具合と目の輝きで研究が進んでいることはなんとなく理解していた。 どうやら「悪魔」とはキリスト教における堕天使やそういったものとは違うらしく、ルーツも全く別の土着的な属性を持っているものだということだった。 父は非常にこの事実に興奮し、空を飛ぶこの「悪魔」にのめりこんでいった。 また、この「悪魔」の存在を裏付けするような文献を高額で購入するなどの行動を見せ、母親が少し心配しているのも笑って一蹴していた。 その文献は「ニューイングランドにて為されし人間の姿にあらざるダイモーンの邪悪なる妖術について」、1800年ごろに書かれた文書だという。 また本業よりもこちらの調査にどんどん傾倒していくようになり、現地調査も増えていった。 気になって後をつけていったときは珍しく強い口調で叱られたが、父親は人差し指を口の前に置いて忠告すると、「とても興味深いものを見つけた」と言って息子を案内してくれた。 それは森の中に鎮座していた。灰色の花崗岩を矩形に切り出した大きな石で、長さ10フィートほど、高さと幅は3フィート半ほど。 上面上部には何かの形が刻まれており、それはまるでヒキガエルのような魔物に見えた。 それがとても恐ろしいものに思えたのだが、それよりも、それをぎらぎらとした目で見つめる父親の方がどこか恐ろしかった。 父親はことあるごとにペルセウス座β星であるアルゴルの話をするようになった。 どうやら近い、息子の7歳の誕生日が、アルゴルが地平線上に位置する時期と重なるらしかった。 父曰く、その「悪魔」が現れるのは決まってその一期間のみだと言う。 結局は伝承であるとはいえ、興味を持った事柄と愛する息子の記念日が奇跡的に重なったのが嬉しかったのだろう。 彼は今年の誕生日パーティーを本当に楽しみにしていた。 そんな父親を持つ自分もまた、とてもその日が楽しみだった。 父親のらんらんと光る眼はやはり、少し恐ろしかったけれども。 趣味はシューティングゲーム。 仕事や学会に出ることの多い父親が与えてくれた、少しレトロな宇宙もののシューティング。 通うスクールに友達もいる、至って平凡な少年。 好きな食べ物は母親の作ったフルーツサンドと、クリームたっぷりのドーナツ。 ----------------------------------------------- [CASE:2022-A521]関連資料 ・当時放映されていたニュース 【マサチューセッツ州で失踪・変死事件が相次ぐ】 ……今週に入ってから世間を恐怖で騒がせている事件ですが、早くも3件目の被害者が確認されました。 うち一件は失踪ですが、この度発見された遺体から失踪されていた——さん(28)と確認できたことから、 失踪事件と変死事件の明確な繋がりがあると警察が発表しています。 これらの事件に共通するものとして、死因が高所からの墜落死であることが挙げられていますが、 現在起きている二件とも、周囲にそのような高所が存在しないことから捜査は難航している模様です。…… ・当時のSNS(一部抜粋、名前やIDはプライバシー保護のため変更) たまご @default_Egg 最近起きてる変死事件だけどさ、実は警察が公表してない部分が大きいらしいんだよな ∟reply to @default_Egg 〇 @circle_0_circle え、何々?気になる てかなんでそんなこと知ってんの? ∟reply to @circle_0_circle 実は身内が関係者でさw なんか、言うには死因が墜落死だけとは言い切れないらしいんだよ 聞くには絞めつけられた痕?みたいなのと、きわめつけにはこれ! 何かに食われたみたいな痕がついてるらしいんだよ! でもどんな学者に聞いても当てはまるような動物がいない……っていう ∟reply to @default_Egg それ口外しちゃだめじゃんw でもそれがマジだったらいよいよわけわかんなくなるし、 警察の立場もヤバいなあこれ (補足) この一連のスレッドは公開アカウントで行われていたため、瞬く間に拡散されていった。 そのことに焦ったのか当人たちはアカウントを非公開にしたが、その後もスクリーンショットやまとめサイトなどでこの話は広まっていった。 警察はそれを受けて確かに死因にこれらの形跡が認められることを発表し、それがまた世間を騒がせた。 ・後日発見された音声データ(壊れかけのスマートフォンに入っていたもの。本体はマサチューセッツ州の森で発見された。) 録音日時は本件の、ボストン襲撃と一致している。 『(息の上がった若い男性の声)っはあ、はあ、なんなんだあれッ……気味が悪い……。 わけのわからない儀式みたいなものを目撃してしまったが、今は一刻も早く帰りたいし、メモを取っているより口で言ったほうが…… ——あっクソ、なんなんだこの森は、足場が悪すぎるだろ!——とにかく!あんなもの見ちまった以上、卒業論文のネタにでもするしかないっての! ええと。なんだ(草をかき分ける音)あそうそう、俺は研究のためにここ、マサチューセッツ州までやってきた。 ここの土着のインディアンがちょっと他では見ない特殊な——うわっ! なんだよ驚かすなよな……信仰を持ってるって聞いたからな。 だから来たわけなんだけど、それらしい話は全然聞けないし、さっさと追い返されちまった。 でも大人しく帰ったら損すぎるから、そこから隠れて様子を見てたんだ。そしたら…… やつら、なんか、変な儀式みたいなのを始めたんだ。夜なのに、火もたかないで、暗いから全然細部はわからなかったけど…… そしたら、そしたらさ、なんか、人のうめき声みたいなのが聞こえて。なんか、石?石柱みたいな…… そこにさ、なんか、裸の男が磔?みたいにされてたのが見えたんだ。暗かったけど、この辺、街灯がないから…… そこで雲がちょうど途切れてさ、月明かりでまるっと見えたんだ。 インディアンの、衣装?みたいなのを着た集団が、その裸の男に向けて……うう、気持ち悪くなって来た……でも録音しないと論文が…… っう、うう、そう、金槌、みたいな……先のとんがった金属のが、光って、そんで、……血が。 えぐかった。で、もうそろそろほんとにヤベえと思って今、逃げて……はあ、くそ、暗いから全然道もわかんねえ…… で、——……が、——んだ?(風と木々のざわめきの音で音声が乱れる)……あ、ぁぁ、あ、なんだ、あれ…… あんなの、——……えない、こんな、い、いやだ!来るなっ!い——だ!あ、あああ!!はな——せ、あ、ああ、あああああああ!!!!』 (絶叫ののち、鈍い金属音。その後録音は停止している。破損の具合からも、高所からスマートフォンが落下したものと思われる。) ----------------------------------------------- ▽あの日(7歳の誕生日当日) 誕生日パーティーは盛大に行われることになった。 最近やつれてきたが研究への熱心さは反比例するように増加傾向にあった父親も、この日はちゃんと家に帰ってきた。 母親はこの日のためにたくさんの息子の好物の料理と、とびっきりの誕生日ケーキを準備していた。 スクールの中のいい友人たちも6人ほど招き、その日は泊まりで過ごすということになっていた。 最近の父親の様子を若干心配しているところはあったが、この日の父親は自分がよく知る父親で安心していた。 近頃の父親と言えば、博物館の出勤を蔑ろにして研究に没頭しており、母親はもちろん同僚にもかなり心配されていた。 独り言をつぶやいていることが増え、やつれた頬にらんらんと輝く目には柔和な男の印象は薄れていた。 それでもちゃんと、彼は父親であったのだ。 父親からの誕生日プレゼントは一冊の手記だった。 父親は、それを来るべきが来たら読めと言って、笑った。 パーティーはとても盛り上がった。 幼い少年たちはよく食べ、よく騒ぎ、よく笑い、そうしてメインの誕生日ケーキに火をともす時が来た。 明かりを消した部屋の中、ゆらゆらと揺らめくやわらかな光、それを吹き消すために見つめたその先、 その先に、それを見た。 グロテスクなばけものじみたもので、大きくてでっぷりとしたヒキガエルのような形をしていて、いやらしいほどせりだした腹、外に向かって広がったかぎ爪のある脚を備えていたが、そのヒキガエルめいたものが備えていたかもしれない前脚はなかった……肩と思しき背中の一点から翼が生えていて、ばけものじみたコウモリの翼に似ていた……顔はないが、傾斜して突き出たいびつな頭部の前部から、ヘビのような触角がずるずるとのびていた。 ————————リン・カーター著『ヴァーモントの森で見いだされた謎の文書』 衝撃。轟音とともに強風が吹き荒れ、顔を上げた先に天井は存在していなかった。 崩れたケーキが、床に落ちたろうそくが、天井の瓦礫につぶれた友人が、目の前に落ちていて、何よりもなぜか、ケーキを元に戻さなくては、と、そう思った。 きっとそれは自分の日常の、幸福の象徴であったのだが、しかし、それはついぞ叶うことはなかった。 カーペットへと燃え広がり、大きくその身を躍らせた炎には、少年の誕生日を祝うあのゆるやかな灯りの面影はなく。 ただ暴力的に燃え盛るそれは、ケーキをじくじくと崩していき、またそれに手を伸ばした少年の腕も無慈悲に焼いた。 熱かった。 痛かった。 しかしそれが、やけどによるものなのか、もうわからなかった。 だけれど、その痛みで、周りを見ることができるようになったのは確かだった。 友人が倒れていた。——頭が潰れている。 母親が倒れていた。——足が潰れている。 彼女は言った。逃げなさい、と。 あなただけでも逃げなさいと。普段の彼女からは想像もできないほど、有無を言わさぬ口調で。 背後に熱が迫っていた。震える手でそれでも彼女の足元の瓦礫に寄ろうとする自分を、彼女は、思い切り平手で頬を叩いた。 ——いいから行きなさい! ——あなただけでも生きていないといけないの! ——あなただけでも行かせておかないと、生かせておかないと、私があなたを産んだ意味はどうなるの! 涙を湛えながらそう叫ぶ彼女の姿が炎に包まれるのを、見ないようにして走った。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 自分だけ生きているなんて…… 夜だというのに、空はどこか明るかった。 町が燃えていたからだ。 炎がその身を躍らす中、空の先。 そこに浮かんでいたのは、「悪魔」だった。 「悪魔」の腕に抱えられた哀れな犠牲者たちの中に、確かに、確かに父親を見た。 その顔がどこか恍惚と諦めに歪んでいるのを見て、自分の中の、何かが崩れていったような感覚があった。 轟音。 爆風とともに、煙の臭いが強く、濃くなった。 轟音、閃光。 「悪魔」の身体が揺らめいた。 そのまま音の出所へ降下していく「悪魔」のもとへ、震える脚で、真っ白になった頭で、走った。 怒号。悲鳴。泣き叫ぶ声。助けを求める声。 血。ひとのからだ。だったもの。 知っている人、の、知らない、すがた。 その道を、走って、走って、そして、——彼らを見た。 映画の中やゲームの中で見るような特殊部隊がそこにいた。ように思う。 それをもって、「悪魔」に立ち向かっていた。 「悪魔」はその触肢をもって、彼らすらも貪ろうとしていた。 そばに、誰が落としたのかわからない、短機関銃が落ちていて、 使い方も、詳しくはわからないのに、震える手で、手に取っていた。 酷く重く感じた。爛れた皮膚に金属がしみて、痛かった。 潰れた友人の顔が、まだ瞼の裏にこびりついていた。 焼けながら叫ぶ母親の声が、まだ耳にこびりついていた。 自分は生きていかなければいけない。 それでも、もう自分には何もなかった。 何もないのなら、何もしないよりは、目の前の——「悪魔」を葬ることだけが、自分にできることだと思った。 ……夜が明けるころには、「悪魔」の姿は消えていた。 不定形の雲となって、存在がすっかり消え失せていた。 被害は大きく、町の一角は瓦礫と化していた。 明けゆく空に、煙とすすり泣く声だけが立ち上っていた。 穏やかな街並みも、毎朝挨拶をする顔見知りも、家族も、友人も、もうそこにはいなかった。 平和は、日常は、もう帰ってくることはなかった。 「悪魔」が居たところ、そこの下から運び出されていく袋の、その中の一つが自分の父親であろうことは理解できていた。 けれど、その死に顔を見たいとは思えなかった。 それが、その時でも、父親があの恍惚とした表情を浮かべていたとしたら、それを事実として知ってしまったら、きっと自分は耐えられないだろうと思った。 火傷に痛む手に、父親からもらい受けた手記の存在を思い出した。 そこには、彼がここしばらく「研究」を続けていた「悪魔」についてが記されていた。 ——つまり、あの「悪魔」は、神の子なんだ。 ——我らの想像を超える、かのキリストをも凌駕する、大いなる神の系譜に連なる存在なんだ。 ——ペルセウス座のアルゴルを周る暗黒星イラウトロムに棲み、アルゴルが上るときにだけ地球に呼ぶことが可能とされている。 ——私はそれを知ってしまった。いや、知るべくして知ったのだろう。 ——彼らはそれをズヴィルポグアと呼び、アルゴルに合わせて復活を願っているようだった。 ——ああ、それを、どうして否定することができようか? ——私はこの夜、神の存在をこの目にすることができるのだ。 ——それはきっと、お前にとっても素晴らしい日になるだろう。 ——クリスチャン。神の子を表す名を持つお前になら、理解できるだろう。 ——お誕生日おめでとう。 ——今宵を、お前へのプレゼントにしよう。 ——お前もこの饗宴に列するものとして。 ——ああ、星から来て饗宴に列するものよ! ——Ia!Ia! ——Ossadogowah! かつての父親の丁寧な字とは思えない、震えた、興奮したような殴り書きの文字列が表す言葉を理解することは、果たしてできたのかわからない。 ただ、ただ。 あのような存在が、神が、自分の父親を、家族を、友人を、平穏を、日常をすべて奪い去っていったことだけは理解していた。 そして、目の前の集団は、それに、対抗する力を持っているのだ、ということも。 年端のいかぬ少年を保護しようと近づいて生きた彼らに、かすれた喉から言葉を絞り出した。 爛れた右手に身体に大きすぎる短機関銃を、左手に父親の手記を、背に昇りくる朝日を受けて、瞳に……昏い闘志を燃やして。 ----------------------------------------------- [CASE:2022-A521]顛末 2022年、米国ニューイングランド地方マサチューセッツ州のボストンで大規模な襲撃が発生。 確認された神話生物は1体。詳細は以下。 ▽オサダゴワ/グレート・オールド・ワン ツァトゥグァの息子として伝わる一柱。 進行するカルトは非常に少なく、ニューイングランド地方の一部のインディアンの部族がこれにあたるとされている。 伝承だけなら「悪魔」ズヴィルポグアとして伝わる部族もあるようだが、信奉者となるとまた限られてくると思われる。 ペルセウス座β星であるアルゴルが上り、地平線上にあるときにのみ地球に招来できると伝わっている。 有効なのは火、電気、魔力を付与した物理的な攻撃。 事件当時、儀式を行っていたのはこの地方にある森の中のようで、当時から変死事件が見受けられていた場所と一致していた。 彼らは花崗岩の石柱(サイズは長さ10フィートほど、高さと幅は3フィート半)を儀式を行う場の目印にしていたようだ。 儀式は生贄を必要とするものであり、これには人間が用いられる。 この度用いられたのは不幸な旅行客であり、心臓を金属で貫かれたような形で絶命していた。 石にはヒキガエルのような模様が刻まれており、ここに犠牲者の血を流すことで生贄としていると思われる。 そこで招来されたオサダゴワはボストンの一部まで飛翔し、そこで狩りを開始した。 この行動はオサダゴワの気まぐれや偶然などではなく、この町側でオサダゴワを呼び寄せるような行動を行ったものがいると思われる。 以前よりこのインディアン部族に警戒をしていたデルタグリーンだが、到着したころには町は過半数が壊滅状態となっていた。 オサダゴワの破壊力のためでもあるが、それによる火災の二次災害の被害が大きかったと思われる。 この任務におけるデルタグリーン側の損害は隊員3名死亡、10名が重軽傷。 町側の死傷者は300人を超えた。 また、この際現地の少年が一名入隊を希望。保護にあたる。 彼の名前は—— ----------------------------------------------- ▽デルタグリーン時代(7~10歳) 問題の任務が起きるまでの間、3年ほどの期間だったが、至極勤勉に忠実に任務に当たっていた。 理解をしたからだ。ここにもどこにも、もうあの人たちはいない。 泣いても甘えても、帰ってくる温もりは存在しない。 それを切り捨てなければ、次に死ぬのは自分の方だ。 問題はなかった。自分の中にあるのは甘えではなく、神話的現象に対する憎しみと、怒りであるべきなのだから。 今までの自分では到底信じられないものを見た。知った。理解した。 それは悍ましく、恐ろしく、そしてどこまでも冒涜的で、——これが、自分の滅ぼすべきものなのだと理解した。 それは神そのものであり、それに対する信仰であり、その信仰心を持つカルティストであった。 人類の平和を脅かすものは、あの日自分のすべてを奪った「悪魔」だけではなかった。 それよりもっと多くの、多くの存在が、事例が、この世には存在していた。 全くこれまで認識の外にあった、ひどく冒涜的な毎日は、 自分が平穏だと思っていた毎日と紙一重のところにずっと存在していたことを知った。 平和というものは、平穏というものは、日常というものは、至極脆く、簡単に崩れ去るものであることを理解した。 狂気はいつだってそばにある。人間が、考える葦である限り。 狂気があるかぎり、やつらはやってくる。 邪神は人を脅かし、狂わし、そして破滅させる。 父親もその被害者であることはわかっている。 あの現地のインディアンが「悪魔」——『オサダゴワ』とデルタグリーンの資料に記されたグレート・オールド・ワンの信奉者たちであったのだろう。 きっとその話を聞くうちに感化され、そして利用されたのだ。 それでも父親を完全に許せるようにはなれなかった。 きっと父親がいなくても、カルティストたちはオサダゴワを召喚していただろう。 それでも、あの日が自分の誕生日と重なってさえいなければ。 ——お誕生日おめでとう。 あの言葉が、ずっと重荷になっている。 だから、あの日から誰にも誕生日を話したことはない。 コードネームはエノク。 デルタグリーンの、少年兵。 コードネームのことはあまり好きではなかった。聖書物語のことは多少知っているのがアメリカの子供だ。 褒め称え、祝福するような名前ではない、と思う。 カインの息子のエノクも、ノアの曾祖父のエノクも、悪い人ではないけれど。 炎の天使として天に坐することになる男の名は、自分には、一番向いていない名前だった。 デルタグリーンの兵士に人間らしい感情は不要だ。必要なのは実力と、努力と、それに耐えうる精神力だけだった。 失った家族の温もりをこの組織で取り戻すことはなかった。それよりずっと、遠いところにあった。 血と死と、硝煙のにおい。昨日まで顔を合わせていた仲間が、今日はもうどこにもいないことが当たり前の場所。 人が死ぬのを見ても、動く心はなかった。自分の家族が死んだあのときに比べれば、こんなもの、どうってこともどうでもよかった。 初めての任務の後は惨状に嘔吐したが、嘔吐するのもそれで最後にした。 人が死ぬのは、そこでは当たり前のことだった。 駒が消費されるのが、そこでは当たり前のことだった。 人類史において存在が肯定されるべきではない、神への抵抗を続ける組織。 邪神から人類を守り、そして存続を願う組織。 そこで戦う兵士は、とうに人間ではなかった。 そのほうが都合がよかったからだ。 守るべき人類のために人類を犠牲にしているという構図を、正当化するためにはそうするしかなかった。 だから道具には感情は不要だった。 感情は判断を鈍らせる。行動を阻害する。一瞬の迷いで死んでいく仲間を多数見てきた。 仲間を庇って死んだやつに、庇われたやつが簡単に死ぬことが当たり前の世界だった。 だから、私情も、感情も、友情も、愛情も、そういった人間みたいなものは全部、切り離してしまえばよかったのだ。 趣味も、ゲーム機なんてものも、もう瓦礫の下に葬られていた。 空いている時間はすべて、戦闘のための訓練と実戦経験に捧げた。 自分はただの子供だった。 戦場からも程遠い、平穏な生活に甘んじているだけの子供だった。 でも、ここでは、それだけじゃ、生き残ることはできない。 生き残らなくてはならなかった。母の願い通り。 生き残って、自分の思う正義を貫くためには、どこまでも力が必要だった。 それは敵を打ち倒す力であったし、敵に打ち倒されない力でもあった。 限界まで肉体を酷使し、デルタグリーンの増強剤などの薬物摂取等を続けることで、同年代の中でも秀でた体力を手に入れた。 任務に出動することも積極的に行っていた。 一人の静かな時間があればあるほど、天井か床を眺めるだけの時間があればあるほど、自分の存在する意味を見失いそうで怖かった。 任務に当たり、命を賭して、憎むべき邪神やその派閥に存在する教団、カルティスト、人間ではない種族、そういったものを否定し続けている方が楽だった。 ——どこかで、これらの任務の中で功績をあげて死ぬのなら悪くないのかもしれないと考えかけたこともあった。 だが、しかし。それでも自分は止まるわけにはいかなかったし、そんなほんの一部に勝ったところで正義の証明には程遠かった。 それに、自ずから鍛え上げた身体は、そう簡単に死ぬことを許さなかった。 だから、何があっても、這いつくばってでも、生き延び続けた。 デルタグリーンでは、同年代の子供も決して珍しくなかった。 生まれてから組織で兵士として戦っているやつもいた。 だから自分だけが「かわいそうな子供」ではなかったのだ。 そんなポジションは、このデルタグリーンに守られる人間に与えられる称号であって、あの日銃を取った自分には不適切なものだった。 皆一様に自分の立場を理解しているようだった。 中には珍しく、この組織においても感情的で、コミュニケーションなんかをとっているようなやつもいたが、本当に少数派ではあった。 そして、そういうやつほど、自分の感情が原因で死んでいった。 それらを見て感じるべきは悲しみとか、喪失感とかいったものではなく、自分はああはなるべきではないという学習だった。 だから、そう思うようにしていた。 デルタグリーンは抗神組織だ。 人類の存続と安全のために戦う、砦であり、要塞だ。 そこでの自分の立ち位置は兵士であり、駒だった。 その在り方に疑問を抱いたことが——なかった。と、思うようにしていた。 そうでもしなければ、正義は成しえないからだ。 自分が正義を行わなければ、自分のような人間が増えてしまうからだ。 自分が失ったものは、数に入れてはいけなかった。 自分はこれからの他者の未来のために戦うのであって、自分の私利私欲のために戦うのではないのだから。 そうでなければ、正義ではなかった。 守る相手の、かつて失った己の光景によく似た、そのかたちを、決して、羨ましいだなんて、思うことは。 不必要で、不適切だった。 ----------------------------------------------- ▽アルカナ時代(10~15歳) シックスに手を差し伸べてもらえたのは本当に幸運だった。 多大な犠牲を出した任務の、唯一の生き残りの、年端も行かぬ子どもの立場は決して輝かしいものではない。 そこに居場所を、意味を、存在意義を与えてくれたのが彼、シックスだ。 彼は人を犠牲にして生き延びたような形の自分を肯定してくれた。必要だといってくれた。 共に世界を守る任務にあたろうと誘いかけてくれた。 その手を取らない理由も、心の余裕もどこにもなかった。 駒としてではなく個人として見てくれる人を、きっと求めていたことから、ずっと逃げていた。 シックスは優しかった。 久しぶりに、人間として扱われていたような気がした。 最初はそうは言ってもこの男も自分のことは兵士として見ているだけであり、理想のために都合がいいから引き抜いたのだと思っていた。 だから警戒もしたし、感情表現もできるだけ出さないように努めていた。 それでもシックスは誠実だった。 呼ぶ声は柔らかく、番号を呼ぶ機械的な音声とは全く違っていた。 視線はまっすぐで、モノを見る目とも全く違っていた。 冷酷な支配者というわけでもなく、息をして、温度を持った人間の大人の手が自分の前には差し出されていた。 アルカナのメンバーとしてシックスについていくうちに、心の底からこの大人を信じてついていこうという気持ちが生まれていた。 それは久方ぶりの、己で自覚して認めた、人間らしい感情だった。 シックスのおかげで、なんだって耐えることができた。 任務自体はデルタグリーンにいたころと大差はない。戦闘用の兵士として、戦う。 ただそこにある意味が違っていた。自分の存在を、結果を、功績を認めて、見てくれている人がいた。 それだけでなんだってできた。 四肢が吹き飛びかけても、真横で仲間の首が消えても、眼前の自分と同じく小さな背中に見通せるほどの穴が開いても、昨日まで笑っていた仲間が人の形を失っても、一部以外見つかることのない仲間がいても、背中を任せた相手が厚さ1mmに圧し潰されて表面積を増やしても、どれほど仲間の血を、臓物を、悲鳴を、命を、助けを求める声を浴びても、それでも、それでもたった一人で立っていることができた。 たった一人で帰還することが当然になったとしても、自分さえ帰ってきていれば。 どれだけの犠牲を出しても、自分さえ生きて、任務を遂行できるならば。 それでシックスの期待に応えることができるのだから。それが正しく、義をなすことなのだから。 動くことが到底できないような損傷の状態であったとしても、笑顔を浮かべて彼を見あげることができた。 シックスはそれでいて、親しみやすい人だった。 組織のトップだからといって驕ることもなく、優しく誠実でまっすぐで、そして人間らしいように思えた。 時には子供の自分より危なっかしいような部分を見せることがあったりもして、それに対して心配して注意をすることもできるようになっていた。 そんなときでも彼は困ったように微笑んで自分を肯定するものだから、それが温かく、そして嬉しいと感じている自分がいた。 そんな対話ができることが嬉しかった。 それに彼は——自分の勘違いかもしれなかったが——それでもやっぱり、自分には殊更優しいように感じた。 許容されていて、受容されていると感じることができた。承認されていた。——心地よかった。 この感覚を、この気持ちを、自分は知っていた。そうだ、知っていたのだ。 ——小さい自分を包み込むように抱えてくれた、おおきなおとなの、あたたかさ—— それはまるでかつて自分に存在していた父親のものによく似ていた。そのことに気づいたとき、思わず涙があふれて、止まらなくなった。 シックスと二人でいるときで良かったと、思う。彼はそれを嘲笑することはなかったから。 およそ3年、4年ぶりの涙だった。まだ流せる涙があったのかと思った。 シックスには様々なものをもらっていた。 甘いチョコレート、色とりどりのキャンディー、そして特別いい日にはとびっきりのチーズケーキを。 それをもらう側だけではなく、彼自身も嬉しそうにしているのがなんだか嬉しかった。 そんな娯楽を甘いと感じる舌が、まだ自分にあったことが嬉しかった。 料理も彼が作ってくれていた。子供だらけのこの部隊で、彼はいつだって皆の世話を焼いていた。 シックスがくれるのは物だけではなかった。 アルカナでの毎日は、戦闘だけではなかった。まるで、あの頃のような、平和な、日常と呼べそうな時間がそこには存在していた。 自分にはもう縁のないものだと感じていたものだった。 その時間に足を踏み入れるということが、うまく信じることができなくて、足を止めていた自分の手を引いたのもシックス、彼だった。 彼につれられた先には、いつだって自分の居場所があった。 まるで自分が失っていたと思っていたものが、まだ存在しているかのように。 シックスはたくさんのものを自分に与えてくれた。 だから、だから一つだけ、自分の方から彼に頼んだものがあった。 ——あんたのその、ネクタイを良かったら俺に……おれにくれたり、しないか? ——それがあったら、きっと、もっと、頑張れる……気がするから ——だから……お願い、その、よければ。 自分から何かを与えられることを望むなんて、替えの弾薬と所持品、任務の消耗品と生命維持に必要なエネルギー以外では、およそ6年ぶり以上のことだった。 だからそんな権利が自分にあるのかどうかを理解することが怖くて、声は若干震えていたように思う。情けないことに。 彼はそんな自分を笑い飛ばすこともなく、身の程知らずと罵ることもなく、否定することも、拒絶することもなく。 そっとネクタイをほどいて、丁寧な手つきで、自分の首に巻いてくれた。 きっとその時のことを、自分は一生忘れることはないと思う。 これさえあれば、もう、何も怖いものはないと、本気で思った。 チームのメンバーが毎度死ぬことになろうと、単独で任務にでることになっても、これさえ自分の首に巻いてあるならば、この首が落ちることはない! 自分がいつかシックスのような大人になるまで生きていた時に、その胸にあるのが変わらずこのネクタイであろうと思った。 ----------------------------------------------- ▽アルカナやその仲間に対して アルカナのメンバーとしての働きに誇りも責任も持っている。 シックスからの扱いを驕る気はないが、他より特別な扱いをされているような気がするのは素直に嬉しい。 尊敬する上司であり、指揮官であり、リーダーであり、そして父親を見る目で見ている。 抜けているところを見るたび自分がしっかりしないと……!!にはなっている。 でもそういう人間らしいシックスが見れるのは少し嬉しい。 C.R.C(レイター)というコードネームについて。シックスに名付けてもらったこともありかなり好いている。 詳しいところまでよくわかっていないが、少なくともクリスチャン・ローゼンクロイツという人物の関わる表記であることだけは理解した。 デルタグリーンの兵士として、クリスチャン・ドリフターという名を一度捨てた自分に、新しい形で「クリスチャン」の名を与えてくれたのがシックスであったことにとても感謝している。 今ではクリスチャンの名で呼ぶのはシックスだけだが、それも彼一人で良かったと思っている。 シックスが自分のことをクリスチャンと呼んでくれるかぎり、自分はただの道具ではなく血と感情の通う人間でいることができている気がしている。 自分とチームになる仲間に対しては、もちろん仲間としての信頼も友好な感情も存在しているが、 自分と組むということはいずれ自分が犠牲にするものなのだろうと感じていることが多かった。 それは必要なことであって、仕方のないことである。 正義のために犠牲は避けることはできない。 そのせいでたまにぎこちなくなることがあるが、基本的には悟られて士気に影響が出ることがないように笑っていた。 皆、様々な反応をした。 まだ何も知らない、自分の最初のセルの仲間。自分と一緒に戦うことに誇りをもって、覚悟をしていた、ように、思う。 皆、死んでいった。 自分とセルを組むことはあまり快く受け入れられることではないというような印象が漂っているような気がした。 そしてそれは、あながち間違いではない。 自分のことをよく思わないメンバーが少なくないことは理解している。 自分のような犠牲を出して結果を出すことが常に受け入れられるものではないことも理解している。 だからといって自分の在り方を正すつもりもないし、正しいのはこちらの方だ。 別に、仲間を犠牲にしたくてしているわけではないのだから。 叶うならば自分とセルを組んだ仲間にも生還してほしいと思っている。 その方がアルカナの戦力も保たれるからだ。 しかし、助けても無駄な状態の仲間を助けることは無駄だからやらない。 自分と仲間を天秤にかけて、自分を取った方がアルカナにとって有益であることも理解している。 だから助けられない、助けるメリットのない仲間は、助けない。 とはいえ、そういうふうに行動する自分を責める人間がいることは否定しない。 それでも自分はそういうふうに戦うだけだ。 理解はしても、その通りにすることはない。 メリットのある時は助けるし、無駄死にはできる限り防ぎたいと思う。 でも、ダメなときは、ダメだ。 一人で任務に当たるようになってからはどこかほっとしている部分もあった。 他人を気にしないで戦えるというのは大きいのかもしれなかった。 構える。照準を合わせる。撃つ。構える。スコープを覗き込まなくても命中させることができるようになっている。 右手に握ったアサルトライフルで前方のターゲットをなぎ倒しながら、左手に握った拳銃で後方より迫りくる敵を打ち倒す。 一瞬でも判断が遅れれば命取りの、ゲームには程遠い命がけのシューティング。 ハイスコアを取ってもそれを称えるファンファーレはなく、自機は常に残り1体、難易度調整なんてものも存在しない。 それでも会話もなく、ただひたすらに機械のように、しかし明確な殺意を抱いて、任務にあたっているときが一番楽だった。 本部にいるときより、ずっと。 無傷で帰れることは少ない。大怪我を負って帰還することもある。 それでも自分は生きている。生きていなければならない。 一人であたるのは到底無謀な任務であっても、自分に回ってきたら出動していた。 自暴自棄になっていたわけじゃない。無茶をしたかったわけではない。 けれど、どこか……一人でできる、ということを、シックスに証明したかったのかもしれない。 それも決して、完璧ではなかったけれど。 仲間がいればカバーできたような局面だって少なからずある。 それでもそのすべてを自分の責任で行える、一人だけの任務は、とても、楽だった。 仲間は誰も死なせなくて済むから。 ……仲間以外が、巻き込まれて死ぬことは防げなくても、敵を打ち倒せれば、自分は。 それが正義だと、思っている。 ……だから新しくセルを組むことが決定したことを聞いたとき、複雑な感情が浮かんでいた。 確かに、そのほうが任務の効率は良くなるのだろう。シックスがそう判断するならなおさらだ。 シックスの指示に間違いはない。それはよくわかっている。 一人で任務にあたることは自分では楽なことだったが、シックスがあまり歓迎していないことも薄々気づいていた。 それが心配からのものであるようなことも、なんとなくは。 だからリスクを減らしたいと思うのは当然のことだ。シックスはこの組織のトップであり、指揮官なのだから、常に最善策を実行する責任がある。 そして自分はその組織の兵士なのだから、シックスの指示に従うことが最善であることを理解している。 シックスが連れてくるやつなら、きっと有能だろう。きっとよく、アルカナのメンバーとして活躍してくれるだろう。 きっと、どんな理由でここに来たとはいえ、才能にあふれる、人材であることだろう。 とはいえ、……何回目だ。 その才能を食い潰すのは。 自分とセルを組んだ仲間が散っていくのを見るのにも、もういい加減慣れていた。 あまりにも多すぎた。 それは例外なく、必ずと言っていいほど。 ——自分はアルカナの死神だ。 犠牲を出してでも正義と勝利を貫く、死を運ぶものだ。 その在り方はきっと変わらないし、自分の戦い方はそれで完成している。 だから新しい仲間も、いずれきっと死ぬ。 それはもう諦めている。 デルタグリーン時代に比べたら表情が豊かになったし、それより前に比べたら表情が硬い。 コミュニケーションはとれる、とるようにしている。 流石に、自分を遠ざける相手にまで親しくしようとはしないけれど。 でも、自分がふさぎ込んでいて、シックスに余計な心配をかけさせたくないというのが大きい。 ----------------------------------------------- 各個人に対して(事前導入を経て) ▽シックスに対して もうかなり本当に心を許している。尊敬しているし、大事に思っている。 数少ない、心の装備を外して会話ができる相手。 だからこそ逆にぎこちなく見えるところもあるが、本性というか素の部分が普通の少年→デルタグリーンの兵士→アルカナの仲間という形で遷移しているため、多少ぎこちなくてコミュニケーションが若干苦手なくらいが一番偽りなくクリスチャン・ドリフターの姿だと言えるだろう。 チェスは毎回勝たせてもらっているように思えてならないので、次こそは本気で戦わせてほしいと対戦するたび思っている。 本気で戦ったらシックスが余裕で勝つのだろうなということはなんとなく理解している。 自分が本気のシックスに、本当に勝ちたいのかどうかはよくわかっていない。 シックスの前で(デレデレしている)過ごしている自分はアルカナの他の仲間に見られたくないし知られたくない。 単純に恥ずかしい部分もあるが、死神として功績だけでなく犠牲を出している自分をシックスが贔屓しているように思われるのはなんだかもやもやするからだ。 自分はシックスに実力を買ってもらっているのだし、必要だからここにいる。 確かにそこに情とか感情とか、そういうものが存在していることはわかるし、自分からシックスに対しても家族のように思う気持ちがある。 だからこそ……だからこそ、あの日差し伸べられた手を第三者に穢してほしくないのだ。 ▽フリップとドールに対して 数少ない、仲良く、と言えるくらいにはコミュニケーションの取れる相手。 彼らに対してはアルカナの古参という顔を向けている方が多い。先輩というか、同僚というか…… 同い年なのもあるだろう。シックスに対してとはまた種類が違うが、軽口を叩ける(ぶっちゃけレイターもセンスはない)くらいの仲であるのは確かだ。 自分のアルカナでの在り方を疑問に思ったこともないし後悔もしていないが、シックスとは別の目線で、まだ自分と関わってくれる存在のありがたみ、というものは、まあ、わかっている。 彼らが任務でもし散ったとしても、その犠牲は先へ続くためのものであったのだろうと割り切れるとは思うが、彼ら2人が自分とセルを組むことのなかったことにどこか安堵している部分はあるかもしれない。 フリップのセンスは本当にないと思っている。(棚上げ?) ドールはそんな彼によく長い間つきあっていられるなと感心の目で見ているところはある。素直に凄いと思う。自分には縁のないタイプの人間なので。 二人ともに対し、そこそこかなり好感度は高い。本当に。 でも二人が自分のせいで他からバッシングを受けるようなことがあるなら、それはほんとうに無益なことなので、自分を切り捨ててくれてもいいと思っている。 ▽スレイに対して 第一印象「俺にはやっぱり無理だよ……」 ちょっと……よくわからない。自分の苦手なタイプかもしれない、と思う。 声に出さないで、内心で何か考えてそうなあたりがそうなのかもしれない。 ブーメランになりかねない印象ではあるが、自分はアルカナのメンバー(のうち、まだ、話しても返事が返ってくる相手)とはコミュニケーションをとっている方だ。 というか、死神として嫌われているといってもいい自分ならまだしも、新しく入ってきただけなのにそうやって周囲と壁を作っている理由がよくわからない、と思う。 損をしているのではないか? それはそれとしてやっぱりまともに仲良くできるような印象ではなかったので、早々に諦めてはいる。 ----------------------------------------------- ▽プレイリスト ♪憧憬と屍の道 / Linked Horizon 動画 https://www.youtube.com/watch?v=czJHHta2vz8 歌詞 http://mamesound.web.fc2.com/sinjitu/sinjitu01.html ♪m/es / ピノキオピー 動画 https://youtu.be/mIyFIenBlzg 歌詞 https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/23916.html ♪ナイフ、ナイフ、ナイフ / きくお 動画 https://www.youtube.com/watch?v=h4WrL4wLp3M 歌詞 https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/47949.html ♪銃の部品 / PEOPLE 1 動画 https://www.youtube.com/watch?v=uwhDmk-aPP0 ♪神々が愛した楽園~Belle Isle~ / Sound Horizon 動画 https://www.youtube.com/watch?v=5ErrgPz88DM 歌詞 http://mamesound.web.fc2.com/shounen/shounen03.html ♪聖者の行進 / キタニタツヤ 動画 https://www.youtube.com/watch?v=e9RVh2bXA8M 歌詞 https://www.uta-net.com/song/305349/ ♪アメリカ / People In The Box 歌詞 https://j-lyric.net/artist/a04efc1/l022ddb.html https://linkco.re/S78FTNq7/songs/1952414/lyrics?lang=en <PL参考資料> リン・カーター著『ヴァーモントの森で見いだされた謎の文書』 ▽HO ------------------------------------------- 01 正義のヒーロー ------------------------------------------- ARCANAの死神 /// 【正義】JUSTICE - 正 君は『アルカナ』最古参メンバーの1人だ。 小さいころに神話的現象に巻き込まれ家族を失って以来、君は正義に基づき神から人を救うことを決意した。 アルカナ発足前は一時期『デルタグリーン』に所属していたが、ある任務中に1日で20人もの隊員が死ぬ事件が起こった。同じ任務にいて生き残ったのは君だけだ。その際にデルタグリーンを見限り、「一緒に新しい組織を作り世界を守ろう」と手を差し伸べてくれたのが今のアルカナトップ、【666(シックス)】である。君はシックスのことをとても慕っている。 アルカナが出来てから5年間、君はシックスの期待を裏切らないよう任務に励んでいる。しかし、君とチームを組む隊員は必ず任務で戦死してしまう。それも惨たらしい方法で。何度も何度も仲間の無残な死を見届けてきたが、どれだけ仲間から「死神」と恐れられようと、いくら人間性を犠牲にしようとも、君は正しく「正義のヒーロー」なのだ。 ------------------------------------------- 君の家族は全員死んでおり、頼れる親戚もいない。現在はアルカナ本部で生活をしている。 ここ暫くは単独で任務をこなしていたが、数日前、シックスから新しいチームを組んでほしいとの連絡があった。 また、君は「火」に関する何らかのトラウマを持っている。 詳細は自由に決めてもらって構わない。 ------------------------------------------- CS作成 指定職業:なし 推奨技能:銃火器技能、心理学、オカルト HOボーナス ● CON18固定(他技能16以下) ● 任意の戦闘技能に合計+100P ● 銃火器技能の初期値が全て50 ● クトゥルフ神話技能に+10P HOデメリット ● 狂気発症時▬▬▬▬▬▬【削除済み】 ------------------------------------------- ▽シナリオ概要 ARCANA ● 2030年アメリカ/シティ ● 想定プレイ時間20時間程度 ● ロスト率中~高 ● PvPの可能性 ------------------------------------------- 【「アルカナ」とは】 5年前に発足した、超常現象・未確認生物・神話的事象を調査、対処する非公的秘密組織。 アメリカの抗神組織「デルタグリーン」から派生した組織だが、「アルカナ」のトップは元「デルタグリーン」の隊員であり、形態としては非公認のゲリラ組織に近い。人員は主に成人前の子供で構成されており、多国籍かつ少数精鋭だ。大人と比べても遜色ない能力の持ち主が揃っている。隊員は基本3人チームで動き、呼び名には細胞に基づいたコードネームが用いられる。 ------------------------------------------- 2030年、アメリカ。 君たちは新しくチームを組む「アルカナ」のメンバーとして、顔合わせの為に訪れていた。 みな年端もいかない子供であるが、君たちには果たすべき義務があり、生きるべき理由がある。 __しかし、その場に集まった子供は3人ではなく「4人」であった。 ------------------------------------------- 公開HO 01 正義のヒーロー 推奨:「銃火器技能」 02 サイエンティスト 推奨:「科学」「医学」 03 トリックスター 推奨:「コンピューター」「機械修理」 04 幻の4人目 推奨:「???」 ------------------------------------------- 全能者は、自分が持ち上げることができないほど重い石を作る事ができるか?
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