タグ： あなたはわたしの殺人鬼

ホシカゲ アヤト 一人称は僕、二人称は君。 基本的には人当たりが良く、優しい。 いつもニコニコと笑顔を絶やすことはない。 人を殺す時でさえ。 殺しもカニバも楽しんでいる。 死ぬ瞬間の絶望する顔、苦しそうな顔、救われたような顔、悟った顔、何もかも全部が美しい。 殺すことに喜びを見出してしまったので、もう元には戻れないなと自分のどこかにある理性が自嘲する。 そんなこと僕が一番よくわかってるよ。 昔、高校生の頃、双子の弟が人を救って川で溺れるのを目の当たりにした。 その時はとっさに助けようとしたのに、周りに止められて助けられなかった。 思えば、その時から何かが狂ってしまったのかもしれない。 溺れて、苦しみもがく片割れを見た時、それなのに、上がった死体は後悔はないと言わんばかりの穏やかな顔を見た時。 美しいと思った。 人の命が散るその瞬間が、この世のものとは思えないくらい美しく見えて。 もう一度見たいと思った。 そんな時に出会ったのが物体Xだった。 初めて人を手にかけた時、ゾクゾクと感じたことのない感覚が体を走った。 泣きながら命乞いをしてくるその姿が、とても美しくて、もっと、もっと見たい。 21g軽くなった体を口にした時は、今まで食べたことがないくらい美味しく感じた。 いつも人々が食べる牛肉と比べれば、まずい部類に入るのだろう。 だけど、綾斗にとってはこれ以上ないくらい耽美で、甘美なもので。 こんな美しい光景を自分の手で生み出し、その亡骸を自分の一部にすることだって出来る。 こんなの、こんなの、これ以上ないくらいの幸せじゃないか！ ああ、なんて自分は幸せ者なのだろうか？ 違う！俺は、こんなことしたくない！ もういやだ、もう殺したくない、もう食べたくない、もうこんなことを続けるのは嫌だ！ 俺はただ、平和に、これからも暁斗と一緒に、ただ、普通に暮らしていたかっただけなのに！ もうやめようよ、こんなことやめよう？ これ以上奪うのも、生きるのもやめよう？ だから、お願いだから、止まってよ！ 大丈夫、僕に任せて君は寝てなよ。 殺したくないなんてそんな建前で理性を守ってるつもりかもしれないけどさ。 僕が感じたことは君が感じたことだよ？ 諦めて受け入れろよ。 そうすれば楽になる。 違う、違う、ちがうちがうちがう！ 俺はアレを綺麗だなんて思わない！ 俺はアレを愛しいだなんて思わない！ 俺は、俺はア　レを　暁斗　を 切っ掛けは物体Xだったものの、自分の境遇を楽しんでいる。 なのに、あの女が邪魔をした。 (あの人が止めてくれた。) 僕を閉じ込めて、飼い慣らそうとしている。 (俺を閉じ込めて、飼い慣らそうとしてくれてる。) やめてくれよ、僕はもっとあの美しい光景を見たいんだ、もっと自分のものにしたいんだ。 (お願い、ここに俺を繋ぎ止めて。もうあんな光景は見たくない、殺したくないんだ。) だから邪魔しないでくれよ、もうお前の顔は見飽きたんだよ。 (ここにいれば、もう殺さずに済む、奪わずに済む。) …どうして、こいつの顔だけなんだろう。 どうせなら、片割れの顔を覚えさせていてくれよ。 あの姿を忘れるのが何より辛いのに。 なんとか顔以外の姿と声を忘れないように記憶を手繰って繋ぎ止めているけど、でもどうしても顔が思い出せない。 あの子は、暁斗は、どんな顔で笑っていたっけ…？ ダメだ、思い出せない。 なぁ、暁斗、君は今どこで。 イメージソング オルターエゴ

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