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こひなた　なを 昼間はとある屋敷の女中として、夜はカフェーで男性客に接客するウェイトレスとして働く「モダンガール」。 今は自分の服飾店を立ち上げようとしている。おしゃれや化粧が好き。 基本的な性格は明るいしっかり者。隠し事が上手。タバコを吸っている。大人っぽい見た目だが、たまに無邪気でいたずらっぽいところもある。 昭和七年六月十日、屋敷の令嬢の首を絞めて殺害する。何もかも持っているのに、何もかもを奪おうとしたあの女を、殺したくて殺したくてたまらなかった。 〇出生 明治39年、軍人である父のもとに生まれる。広い庭、上等な服、何人もの女中に囲まれた裕福な幼少期を送る。 しかし第一次大戦後、シベリアに出征した父は帰ってこず、代わりに「敵前逃亡、部下をむざむざ見殺しにした売国奴」として現地で行方をくらましたとの報せを受け取る。 その後周囲からの風当たりは一変、故郷の土地も家も追われ、遠く離れた都市のボロ家で隠れるように暮らす最低の生活が始まった。 生まれながらの令嬢だった母は酷な環境に耐え切れず自害するように死んだ。 国を捨て家族を破滅に追いやった父に対しては嫌悪を抱いているが最近はもはやどうでもいい。 しかし「つい昨日まで優しかった人間たちが向けてくる侮蔑の目の色」を忘れることは、一生無い。 〇現在 家族との縁を切りかつての名前を捨て、今は一人で暮らしている。自分で稼いだ金とコネを元手に、いつか自分の反物屋─もといレディースブランドを持つのが夢であり、その為に必死に働いている。 昼間はとある名家の屋敷で女中として働き、夜はカフェーで男性客に接客（チップをもらってサービス）するウェイトレスとして働く。器量よしなので人気はそこそこ。また、屋敷には夜の仕事は隠している。（しかし正直女中としては色っぽすぎる時がある。） そしてこれまでの数年間の功が奏し、とうとう服飾店立ち上げのパトロンがついてくれる話がまとまった。 ああ、転落した人生からやっと抜け出せる。自分だけの新しい人生を始められる。父も母も　自分をこき使う主人も　汚い手で触れてくる男もいない。過去を捨てて。広い庭、素敵な服、何人もの女中…幸せな暮らし。もう一度あの幸せを手に入れる。 そのように新しい人生に心躍るなか、六月十日を迎える。ひとは過去を捨てることはできない。 〇殺した女、殺害方法 屋敷の主人には一人娘がいた。ひどく背の高い娘である。 家には広い庭があるのに日差しを嫌い、いつも家にこもっていた。そして何より我儘だった。甘やかされて育ったのである。いつも上等な着物や最先端の洋服を着て、女中たちはそれを誉めそやす。自分もその一人だった。ああ…色が気に入らないと言って捨てた帯紐は、私が何度男に触れられれば買えるものだったか。年に似合わず、いつも麝香の甘ったるい匂いをさせていたのを覚えている。 六月十日。彼女に声をかけられ夜中に呼び出される。それは驚くべき内容だった。 それは売国奴の娘という自分の出生を調べたこと、そしてそれをパトロンに告げ口してやるということ。どうやら彼女がひそかに好意を寄せていた庭師の男が自分に気があったことが理由だったようだった。卑しい生まれの娘はやはり卑しい、と憎々しげに言い放った後に、美しい寝間着をひらりとさせて彼女はその場を去った。 ──全てを持っているのに、気まぐれ一つで私の全てを破滅させようとするこの女が許せなかった。泥水をすすって手に入れた新しい人生を、もう誰にも奪わせるわけにはいかなかった。 体は嘘のように迷わず動いてその場にあった紐を手にし、階段を下る背の高い彼女の首を後ろから締め上げた。力は無いが持久力はある。彼女は直に絶命しぐったりとなった。手にしていたのは、この女が要らないと捨てた帯紐だった。 その後、大きな荷車に死体を詰んで以前自分が住んでいたボロ家の付近の空き地に埋める。 売国奴の父も勝手に死んだ母も、汚い手で触れてくる男も。みんなみんなこの女と一緒に泥に埋めた。過去が、これが掘り返されることは無い。それは許されない。私はもう自分だけの人生を歩むのだから。 本名：影山直子 大切なもの…帯紐についていた梅の飾り 凶器である帯紐は捨てたがそれについていたかわいらしい梅の飾りは、どこか自分のようだと親近感を持ってしまい捨てられなかった。それに、あの女は捨てたが自分はその色が可愛くて好きだったから。 帽子についた飾りがこれ。 ○通過シナリオ 「ファタールモルガナ」 ロスト

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