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〇花笠舟月(はながさ・ふなづき)/『孤独の密室』 【カルミア】＝「裏切り」「大望」「野心」 以下、『孤独の密室』のネタバレ有り。 ・若草色に染め上げた髪を、肩口のあたりでざんばらに切り揃え、その内側に淡いピンク色のインナーカラーを飾っている。瞳もまた、淡い桜にも似た桃色であり、何処か楽しげと気怠さが等分に混ぜこまれた色彩を静かに光らせている。  顔の右半分に大きな火傷の痕があり、普段は長く伸ばした前髪を垂らすことによって隠している。その為右目は、桃色では無く、濁った白銀の色をしており、視力はあまり残っていない。掛けている眼鏡は、そんな右目を補う為であり、左側のレンズには実は度は入っていない。 ・些か古風な話し方をする、真面目に思いきや、存外愉快犯気質な女性。 　思考はどちらかと言えば理論的ではあるが、理論的に行動することを意識はしているが、然し、自身の好奇心や興味が先行する事象、また或いは愉快が垣間見える出来事になると、思考と行動がそちらに傾きがちになってしまうところがある。 　話し方や初見の印象から、それなりに真面目な人間に見えてしまう為に、若干質が悪い。 　面白そうな結果や、自身の為になる結末を齎す為には、それなり無茶を行うことも屡々ではあるが、やはりそれは理論や理知に基づき、計算をされていることが多い為に、更に質が悪い。 ・それもあって、少々奇抜な色彩の髪色をしている節もあるが、その分ギャップとなっている、かもしれない。 　だが、ほら、まあ、野生生物は自身の身体の色を奇抜にすることによって、内在する毒を主張するだろう？　一応、危険色ということでな。……はは、なぁんて！ ・その思考ゆえに、それなりに倫理観が欠けている。倫理観そのものを理解してはいるが、場合によっては無視することも吝かではなく、それに伴って自身が望む結果になったのならば、まあよかったんじゃないか、と言えてしまう。 　けれど、その思考が大衆にとっては「打たれる釘」であることは理解している為に、さして表に出すことは少ない。別に自分から打たれたい訳じゃない。けれど、だからといって大人しく埋まっているつもりもあまりない。まあ、精々自分の好きにするさ。 ・生まれつき指先がかなり器用であり、その指先の器用さと、また自身の興味を惹いた事象に対して見せる執着を上手い具合に結び付け、人形師を生業としている。 　日本人形から西洋人形まで、他様々に幅広く手掛けてはいるが、些か人との付き合いに面倒臭さを感じている為、とある高名な人形職人の男性の元に弟子入りした後は、彼の技を盗みつつ、作業や仕事時はそのアトリエに籠っていることが多い。繊細でいて、また、硝子から瞳を作成する際に、硝子の継ぎ目に花弁のような文様が入る独特の手掛け方をするために、一部の界隈の人間には人気がある。だが、それと同じくらい、リアルな造形を作成させた際は、人によくよく似ているにも関わらず、全く温度を感じさせない、それこそ「谷」の表現が上手い為に、同時に不気味がられてもいる。 ・また、人形を作ることと同じくらいに、人形の服を作成することも好んでいる。 　生きている人間であれば、些細なきっかけや出来事によって体格や身体が変わってしまい、合致するデザインがすぐに崩れてしまうため好きではないが、人の手によって手掛けられた人形であれば、完璧な体格・理想な容貌として作成でき、自身の究極たる美しさや造形美を追求することが出来ないから。 　温度の感じることの無い美しい体躯が、自身が仕上げた理想の服を纏って、鮮やかに佇む、或いは座るその姿を目にするのが、至福の瞬間。 ・美しさ、に拘る瞬間を見せることもあり、その原因は、主に自身の顔の右側に存在する、大きな火傷痕である。 　原因は、幼少期に受けた花火の直撃によるもの。 　近所の悪ガキたちが公園で遊んでいたものが、偶然にも彼らの手が滑ってしまい、顔に直撃した。その際、顔の半分に酷い火傷を負い、現在まで消えることがない。手術によってある程度治すことも可能ではあるが、その経験をある種自分自身に刻みつける為に、そのままにしている。 　そうすれば、もっと美しいものを作れそうな気がするから。 　其れゆえに、些か、炎と熱、花火に軽いトラウマを覚えてもいた、 ・然し、その高校生、大学生時代は、そのトラウマを払拭したいと考え、些か歪んだ思考で、射撃部へと入部した。 　片目のハンデを背負ってはいたが、それゆえに左目が他者よりも明敏に反応し、周囲や自身の想像以上の実力を発揮。大学を卒業するまでには、かなりの実力を得るようになっていた、 ・そしてまた、その学生時代。不可思議な縁が連なって、仲良くなった友人の幾人か。 　彼らは、類は友を呼ぶとでも言えばいいのか、自身と「同種」だった。世間から打たれる杭だと自身のことを認識し、水面下で密やかに、その欲求を隠す人々。そんな共感意識を抱く彼らが集えば、必然的に、その欲求を解消するために、人目に付かないよう様々な”遊び”をした。勿論、やっぱり水面下ではあったけれど。人目に付かぬ、闇の中ではあったけれど。 　中でも、何の因果か、その友人の代表格のひとりが、花火職人の家の孫であり、しかもなんと、爆弾魔の気質を持っているだなんていう、とんでもない代物だった。そんな彼が中心となって、時折、綿密に計画の元に、人気の無い山奥の廃墟を、自作の爆弾で爆破をする、なんてことが、一番過激で、然し、誰も止めなかった自身らの付き合いだった。 　なんやかんや、その友人たちと仲がよかったこと、そして、やはり変わらずに胸の内に燻る、火傷や炎へのトラウマを無くせないかという思考により、そんな彼らと戯れていた。元来の手先の器用さと相まって、時折おかしくなってしまった爆弾のコードを、その代表格の彼と共に、彼の指示に従って修復する、なんてこともしていた。我ながら、生き急いでいたな、とも思う。 ・そんな、つるんでいた友人らからは、「石楠花」と呼ばれていた。 　代表格の彼は、「鬼灯」と呼ばれていた。皆が、何か影を背負った花言葉を持った花の名前で呼ばれていた。 ・だが、あるとき、その中の中心人物たる友人、「鬼灯」がいなくなる。ある時を境に、ぱったりと連絡がつかなくなった。 　それが、酷く不思議で。尚且つ、なんやかんや、緩いながらもそれなりに仲がよく、また世間一般的な彼の姿は、「真面目な男」であったために、誰にも何も伝えずにどこかへと言ってしまうとは考え辛い。もし爆弾で何かしらをやらかしたのならば、流石に世間に情報が出るだろうし、あの頭が良かった彼が、という思いがあった。 　だから、失踪には何か訳があると思い、彼の行方不明前の動向や行き先、調べられることを様々に調べていった結果──────「たどり着いて」しまった。 ・それは、何の偶然だったのだろう。 　なんの因果だったのだろう。 ・辿り付いて、興味から内部へと侵入し、そんなことをすれば当然捕まって、けれども、その道中に「知って」。 　そして、惹かれた。 　こんなにも数多の「人形」があり、そんな「人形」が、実験の度に増えていく空間。 　彼らが生きているのかも死んでいるのかも認識しないまま、けれども生きるために必死に生き足掻いて、そうして、最後のたったひとりになって、或いは全員がボロボロになって、また修復されるそこ。 　こんなにも、こんなにもたくさんの「人形」が。 　――――それこそ、人形が作り放題で、服までも作り放題で、デザインだって考え放題で、─────最高、だった。 　だから、足を踏み入れることに、躊躇いはなった。 ・人形が増えれば、作れる洋服が増える。 　それが嬉しい。 　出来るならば自分の手でも作りたいけれど、まあ、おしおきされるのは嫌だし。下手なことはしない。 　けれども、自分の興味本位と、人形への執着で、様々に指示に従って行動している。 　昨日も今日も、また明日も、壊れた人形の関節を直し、解れた人形の服の糸を紡ぐ。 ・正しく、「裏で糸を引く」 ・花笠石楠花＝カルミア。 　舟月=原舟月。高名な、絵師にして根付師。 ・「鬼灯」：https://charasheet.vampire-blood.net/m38c4b553dc26233465841924f90a48f5 【特徴表】 ・21：手先が器用 ・64：実は生きていた(笑) 【花言葉】 17：グラジオラス 「密会」「用心」「勝利」「用意周到」 用心深い貴方は、他の誰も信じることはないだろう。敵も沢山作ってしまう。自分の正義のため、未来のため、貴方は一人戦う決意をしている。 89：冬珊瑚（ふゆさんご） 「神秘的」 貴方の全てが神秘的。誰も貴方の本質を見つけられない。風貌からすら近寄りがたさを感じるだろう。もしかすると、貴方自身も自分を見失っているのかもしれない。だからこその魅力なのかもしれないが。 85：ベゴニア 「親切」「片思い」「丁寧」「幸福な日々」 貴方は全てに自分でケリをつけるだろう。割り切った性格な人。サバサバした人に見られているかもしれないが、その裏で涙を流す日もあるのだろう。人並みに、弱いのが貴方。

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