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【概要】 「思想の押しつけはしません。ご安心ください。ただ、貴方も私の同志となりたいなら話は別ですよ？」 「必要とあらば『良さ』をお話ししますが、貴方がそれを聞いて何を思うかは自由です」 『私に加護を授けてくださっているあの方』を信仰しつつ、宇宙の真理を追い求めているおかしな女性。 その信仰は他者に求めるものではなく、自分自身にのみ適用されている。基本的には。 家族は存命だが、ある時を境に娘が意味不明な言動を繰り返すようになったため、彼女が高校を卒業した折に莫大な資金の一部を与えて家から追い出した。 精神病院などに行かせなかったのは、旧き家の体裁を保つためである。 本人は自由にできる環境ができたということで、さして気に留めていない。 ワラベが危険に身を浸すのは、金を稼ぐためではない。 金銭は副産物であり、目的は『私に加護を授けてくださっているあの方』の意志の代行だと言う。他者から見れば、金持ちの道楽にしか見えない。 好奇心のために命を落としかけたことも数知れず。だがまったく懲りない。 常人には理解しがたい独自の行動理念を持っているが、人間に危害を加えるつもりはないらしいのが救い……か？ 数年の付き合いがある心の広～い知人オーヴァードからは、冗談交じりに『十四歳のあの頃をこじらせ続けた女』と呼ばれている。 冗談を交えないと、いつか本当のジャームになりかねない彼女の相手などしていられないのだろう。 ワラベはかの有名な検索エンジンをもじり、彼のことを『ゴーグル』と呼んでいる。本名にもコードネームにも掠っていない。 戦闘においては、彼女の身を媒介にして『私に加護を授けてくださっているあの方』が現れ、神聖なる託宣を下す。……らしい。 召喚魔術の類ではなく、彼女に憑りつく『何か』の御業である。 それが決して神聖なる存在ではなく、いずれ彼女に破滅をもたらすとしても、彼女が飽くなき探究心を失うことはないだろう。 【経歴】 覚醒する前は、オカルトと絵を描くのが好きな（絵心はない）、ただ裕福なだけの少女だった。 転機は十年前。彼女が十四歳になった年に、不意に訪れた。 匿名掲示板にてある都市伝説の噂を目にした彼女は、導かれるようにして冒涜的な『何か』を描き出してしまう。 彼女の手により生み出された何かは、電子機器を通して具現化し、彼女に憑りついた。 まるで、彼女を操って自身を眠りから覚ますよう仕向けたかのように。 以来、彼女はオーヴァードとして覚醒し、『何か』への信仰を捧げながら、この世に隠された真理を追い求めるようになった。 『何か』は、彼女が完全なる狂気へと堕ち、自らの従僕へと成り果てる時を待っているのだろうか…… 【何か、について】 その姿は彼女にしか見えないし、その声は彼女にしか聞こえない。 『何か』の正体を判別する方法はない。彼女の言うことすら、虚偽に満ちているかもしれない。 真実は、神のみぞ知る。 幸いなことに（？）魔導書は持っていないが、自身の狂気的な信仰？妄想？を書き連ねたノートは持っている。ヤバい。 「あの方は素敵な赤い目をしている」「あの方は照れ屋さんでカワイイ」「あの方、人生の推し」等々…… いったい何が見えているんだ…… 備考：彼女が目にした都市伝説は、ヘビ人間に関するものだった可能性が高い。 　　　あの時いったい何の都市伝説を見たのか、どんな絵を描いたのか、彼女自身は記憶していない。 the Laughter：それは誰が笑っているのだろう。他者の嘲笑か、彼女自身の狂った笑みか、彼女の妄執で形を成す『何か』か。

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