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クトゥルフ PC作成ツール
八目 詠
ID:4595518
MD:44ee48d632d104fa552707970338bc74
八目 詠
タグ:
なまこ式
VTuber
可燃性呉越同舟
ワイルドハント
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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初期
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デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
キャンディー・ライオット 「まるで生きているかのように動くピニャータ人形。人間界では『地獄』という名前でよく知られている芸能事務所で活動するコメディアンだったが、とある大スキャンダルの結果クビを切られたせいで現世に顕現してしまった。それからあても無く過ごしていたところ、地上に満ち溢れている娯楽、特にスイーツを始めとした地上の食文化をいたく気に入り、人形であるにも関わらず食費を稼ぐために配信活動を始めた。普段は人間の姿を模して都会を歩き回っているらしい。」 Vtuberユニット「ワイルドハント」の一員である、地獄育ちのピニャータ(中にお菓子や玩具などを詰めた紙製のくす玉人形)。これと言った決まりの挨拶はないらしい。 キャラクターデザインを担当した人曰く、殆どの衣装差分で丈の長い服を着ているのは「元々ただの紙人形であり、それっぽく飾った頭部と手足以外に人間らしく見える部分がないため」。言及の通り、コンセプトアートには極彩色の体表や歪んだ関節などが描写されているが、しっかり描写すると生理的不安感を煽るという理由で、実際の2D/3Dモデルでも隠されている。 3Dモデルには「他のモデルがぶつかってきた時、その速度に応じて体がブッ壊れて中から飴玉が飛び出る」ギミックが仕込まれている。地面に転がった飴はすぐに消え、壊れた部分も元通りになるが、相手によってはその反応を面白がられて全身を粉微塵にされることも少なくない。なお、本人はそれを笑いながら仁王立ちで見ている。怖いわ。 配信者としての彼は、「説明しろと言われても困る」というのがリスナーの総意。配信回数と配信時間が業界全体で見ても上位に食い込むほど多く(それぞれ2.8回/日と180時間/月)、取り扱うコンテンツもその時の彼の思いつきに依存するので多岐に渡る。 寝起きに気が向いたら配信、移動中にやることが無かったら電話のノリで配信、同業者とのコラボ後になんか大丈夫そうだったら一緒に配信、料理するからなんとなく配信、新しく買ったゲームやるからどうせだし配信、同業者が配信している目の前で(直接)同時視聴配信……などなど、最早理由を問い質すのがバカらしいレベルで軽率に配信を始める。 中でも雑談配信の数が一番多い、というか配信中に何をしていようがずっと雑談配信と同じノリを突き通している。そのマイペースさ故にゲームなどを雑にプレイしているようにも見られがちだが、ストーリーの内容はしっかり把握しているし、難所に差し掛かれば真剣に攻略法を探し始める一面や、なんだかんだ殆どレベル不足に陥らない計画性など、意外な要領の良さを揶揄して「もっと無駄話に集中しろ」という無茶苦茶なコメントを書き込まれたことがある。 配信者同士のコラボに参加することが非常に多く、「電柱と同じくらいよく見かける」と評される。コラボ相手との面識の有無をそれほど気にしておらず、題材として取り扱うゲームをほぼ知らなくても平気で参加を申し出て、事前の30分ほどの予習だけでいつもしっかりと爪痕を残して帰ってくるなど、熟練した車上荒らしのようなスタイルによってあちこちで名前が知られている。 また、初対面かつ活動歴の浅い配信者を弄びまくる癖がある。リスナーからは度々「洗礼」と称されるものの、本人はこの呼ばれ方に笑いながら文句を言う。意外なことに、弄ばれる側の立場には「やってれば不思議と慣れてくる」という感想が多い。 軽く前述した通り、配信の回数・総時間においてはワイルドハントで最多。コラボ回数も相俟って交友関係の広さはワイルドハント内でも屈指で、その人脈が他メンバーを驚かせることも少なくない。一方、「自分あんまり友達いないんで」のような言葉を口癖のように放つところもあり、彼が実際にどういうつもりなのかは誰も知らない。 「……あー、当ててみていい?」 「いや、この前入ってきたイリーガル生かな、って思ってさ。……当たり?やっぱりな、なんか歩き方とかがそれっぽくて。確か……ごめん名前出てこないわ、後で調べる」 「ま、差し当たってはそんな心配しなくていいよ、物理的にはそこそこ良い会社だから。ちゃんと空調効いてたり、タダで申請無しで寝泊まりできたりカップ麺勝手に食えたり、あと近くにカラオケある。社長の奢りで行くと鬱陶しいけど」 「アドバイス、って、特に俺が言えること無くない? あー、イリーガルの肩書き持っても、企業所属ってつもりで活動すると空振りしやすい、とはよく言われるかな。ワイルドハント入ってると俺みたいに変な活動する羽目になるけど、そうじゃないなら個人勢みたいなもんなんで」 「俺? あれあれ、キャンディーの中身。社内だと本名で呼んでくるやつも居る、八目とか詠さんとか。覚えといてもいいけど……覚えなくてもいい、芸名で呼ばれても反応できるし」 「あと、創業メンバーだったり社長と腐れ縁だったりで誤解されがちだが、本当に俺は何の権限もない。仲良くなっても特別良いことはない」 「……ま、どうせなら仲良くしようか。よろしく」 八目 詠(やつめ えい) 2015特徴表:大きな体、愛書家 中学時代からの友人が立ち上げたVR関連企業「VeryWise」で公式Vtuberとして活動している。なんか生まれつきのショートスリーパーらしい。 キャンディー・ライオットとしての振る舞いはキャラ付けでもなんでもなく、ほとんど彼がリアルでも素面のまま突き通している挙動である。とは言え、インターネットという場だからこそ抑止力が弱まっている点や、本人のエンターテイナー性格が敢えて過激さを楽しんでいるところもあるらしく、「面と向かって話してみると思ったより大丈夫だった」と評されることが多い。でもこいつ自身はそういう油断の脇腹にナイフぶっ刺すような性格の人間なのでくれぐれも油断しないように。 ワイルドハントのVtuberは不思議と社内でも何らかの仕事を並行していることが多いが、彼の場合はそんなこともない。英語がかなり出来ることを活かして、会社のホームページや発表のほか所屬タレントのプロフィールの翻訳を手伝ったりしているが、逆に言うとそれくらいである。 社内にいる時はそこら辺をうろうろしていることが多く、率先して諸々の買い出しに赴いたり、困っている様子の人の話を聞くだけ聞いたり、過集中のチームに菓子類を差し入れするなどの気まぐれな善行によって、意外にも従業員からの印象はそれなりに良好。彼自身は人の顔を覚えるのがあまり得意ではないが、そのせいか誰が相手でも平等にぞんざいな部分が、傍若さの割に憎まれない要因の一つなのかもしれない。 また、ネットで面識のある配信者が炎上した際、当人やその関係者が孤立しないようにそれとなくフォローするような動きを取ることが多い。しかし、擁護と同じくらい痛烈に揶揄したり容赦なくネタとして扱うらしいことから、強く信頼を寄せられているかというとそれほどでもないとか。 これらの振る舞いを総合して、周囲から「なんだかんだ優しい」と解釈されることがそこそこある。本人はその辺りがどうでもいいので、誰になんと言われようが的外れな受け答えを続けていて、彼の本意を汲み取ることは容易ではない。 「なあ、社長。あんたの関知するところか? この企画」 「えっなんですか急に。私は何も知らないけど」 CEOの顔は常にきょとんとしている。人の言葉を耳で聞くよりも、その場の雰囲気を鼻で嗅ぎながら喋ってるんじゃないかと俺は思っている。 「何の話か聞いてもない内に『知らない』って返すか? 普通。今RTした」 「すいません適当に返事しました……ちゃんと見ます……」 現役女子高生Vtuber"霞華サキ"。その卓越した企画力と物怖じしない立ち回りによって、デビュー後僅か3ヶ月から現在に至るまでワイルドハント内最高の稼ぎ頭として君臨し続けている。 「今が……午後の7時52分で、配信が始まるのが8時丁度。しかも告知されたのついさっきだよな。本当に、たった今知ったんだが」 「……あーーー、これか。今日やるんだね」 「俺に知らされてないのはいい、当事者締め出してサプライズでやるから面白いって理屈には俺も賛同する。ただ、お前が了承したかどうかで意味合いが変わってくる」 「んー……そうだねぇ……」 ほんの2秒間、それぞれのブラウザで同じツイートに顔を向けながら、視線だけで互いの表情を伺う。柄にも無くしかめっ面になっていて、続け様に笑う。 「良いんじゃないのー?とは言った。私は彼女に甘いところがあるかもしれないね」 「お前は誰にでも甘いだろうよ」 「それにさ、サキちゃんて配信に台本とかプロットを用意したがる子じゃないの知ってるから。だったら事前に釘を刺す意味はないかなって」 「なるほどなぁ。あの子は心配するようなやつじゃないぞと言いたいわけだ」 「それもあるけど。強いて言うなら、私は何も考えてないだけだよ」 「……へえ?」 「だって、君が考えるべきことだもの。無理強いしないけど、毎度触れにくいな~って思ってる私の気持ち、考えてくれてもいいんじゃない? そろそろさ」 「あー。なんか妙に気にしてるよな」 「私はなんにも口出ししないんで。好きにやっちゃっていいよ、それが一番後腐れなかろう」 それ以上は何の言葉もなかった。イヤホンの片方を耳に当てながら部屋を出て、歩き慣れたフローリングを自力で進む。くたびれたような素振りをしながら。 流されて「ありがとう」だとか言いかけたが、結果が出るまでは控えておく。追求しなきゃいけないことが後から無数に湧き上がってくるだろうし。 父親は新興宗教の開祖だった。 精神的な人集りの中から、俺は「天使」として生まれた。率先してこう呼んでいた母親は一応役者で、少なくとも俺を産んでからはあまりテレビに出ていなかった。純粋で、軽率で、夫婦仲は極めて良好で、その事で命を落としそうな気配すらあった。 信者たちは、まだ生まれて間もない教祖の子どもの存在をお年寄りの何倍も有り難がった。物心が付いてくると、自分のことを崇拝している大人が、そうでない大人が、どちらともなく不思議だった。初めてそう思った時のことを薄らと覚えている。 父親のやり方が少し嫌いだった。確かに嫌いだったんだが、父親の考え方をある程度知った時、自分がそれを嫌うことをむしろ望まれているかのように思えて、それもまた奇妙に感じた。 もっと奇妙だったのは、この宗教の目的がよく分からないことだった。悪どいと言うほどの金儲けに走ることはなく、教祖に集まる尊敬は殆ど放置されている。国に向かってクーデターが出来るほど組織構造は固くないし、地元の権力と腕を組んでいたことも無い。じゃあ一体何のために? 母親に尋ねてみたこともあったが、これがまるでお話にならない。内容が支離滅裂でいまいち覚えていない。ただ、喋っている本人はとても楽しそうだったので、この人はこれで良いんだなと思った。 母親のこともそうだが、自分はこの宗教に色々迷惑を掛けられながら生きてきた。人付き合いが大変だったし、友人と遊ぶのに人目を気にしなければいけないし、進路にも口出ししてくる。まあ、過度に不自由だった訳でもないし、文句を言うつもりはそんなに無いんだが、感謝しているということも一切なかった。 父親に一度だけ、事務的じゃない話を持ち掛けたことがある。「人間の考え方は思ったよりも簡単に変わる。それなら逆に、長い間全く変わらないままにしておくのは難しい、ってことになるのか」と。確かまだ十代の前半だった。 「仕事柄というのもあるが、私はそういうことについて書いてある本をよく買い集めて読んでいる。もしお前に興味があるなら、書斎から勝手に持っていくといい」 『お前』と呼ばれたのは初めてのことじゃなかったが、それが何故かやけに気になった。 書斎は一応誰にでも分かるような場所にあって、鍵も掛かっていない。ただ、誰かに見られると面倒なことになる予感があって、人気の無い朝の4時くらいに立ち入った。 これは後で知ったことだが、彼は振斗の大学で心理学の修士課程まで行っていたらしい。書斎の中はそういう内容ばかりで、意外にもカルトらしさは殆ど無い。 付箋が貼られている場所を追う内に、彼の興味の向き先が分かった気がした。大胆に意訳すると、『立場』とでも呼べるものだ。人から人に与えられ、思考や行動をコントロールする自己意識。 男が教団を立ち上げたのは、そこで学んだことを実験したり、その脳裏で養っていたアイデアを実践するためだと、俺は直感した。信者に権限と責任を与え、その経過を観察する。報酬と地位を与え、その反応を伺う。自分自身さえその例外では無く、妻子を作ったことまで含めて、俺の記憶にある父親は全てその為だけに行動している。 その心理の変化を、常に書き物机で佇んでいる日記帳が克明に語っている。壮大な人体実験の結果として見ると、かなり面白いような、ほんの少し悍ましいような感じがした。 蔑ろにしやがって、という気持ちは全く無かった。父親自身を除けば、この事実を知ることになったのは自分だけだが、どうにも活かしようが無いことの方が悩ましい。結局のところ、何を知ったとしても、この宗教は八目詠を生かすことも殺すこともない。その部分が全く変わっていなかった。 長い回り道の末、考えるのが面倒になった俺は、いっそのこと全てを無視することにした。その後は友人が立ち上げた会社の従業員になって今に至る。両親と一切連絡を取らないまま。 『え、そっか。キャンディーさんにも子供時代みたいなのがあるんですよね。ちょっと失礼だけど全然想像できないな……www』 『ははは。彼が小さい頃はですね、とりあえず甘い物に目が無かったですよ。あと、問題児みたいに言われることが何回かありました。僕はいたって普通の子だと……いえ、頭の良い子だとは思いつつ、性格に文句を言われる理由はないだろ、と思ってましたが』 『やっぱり???あのひと大人になっても仕事中にカップケーキとか持ってきて食べてますよ。たくさん問題行動しますし』 『ご迷惑をお掛けしているようで。代わりに詫びておきますか?』 『いやぁ全然ですよ。本人に無断でお父さん呼び付けるのに比べたら全然』 非常に和気藹々とした会話を左耳のイヤホンで聞きながら、扉の前で風鈴のように揺れる。見立て通り霞華とうちの父親はかなり相性がいいので、横槍を刺すタイミングが難しい。なんでこんなことになっちまったかねえ。 フリが効きすぎてて逆に最適解が見つからない。配信のチャット欄はというと、「まるで結婚しているかのようなお父さん呼び」というカス指摘が徹底的に無視されている。やっぱ割と民度悪いんだよなワイルドハント。 『……あ。お父さん、ここでちょっとしたサプライズのお時間がやってまいりました。いいですか?』 『おお、そんなものがあるんですか? なんでしょう』 『今そこのドアの前にいるの、息子さんだと思います。十中八九。さっき足音が止まったんですよ』 おっと。そうきたか…… 『………………おっと? 大丈夫ですか、それは』 『やー、私が出るとたぶんブッ殺されちゃうんですよ。ちょっとね、お父さんに追っ払ってもらいたいな~、って』 『……ははあ、なるほど、わかりました。失礼します』 その男は肝が据わり過ぎていて、何の躊躇いも無く立ち上がって扉を開ける。 軽くマイクを向ければ難なく拾えるだろう声量で、およそ2分ほど話していたが、イヤホンから俺と親父の声は聞こえなかった。代わりに、たった今『けっこう話してましたねー』と霞華が喋り始める。 イヤホンを外して、Youtubeを閉じて各種SNSの通知をミュートしておく。とりあえず翌朝くらいまで。配信はそこから5分くらいで終わったらしく、アーカイブはその12時間後から非公開となった。 聞いてみると、俺と親父で話している部分はどれだけボリュームを上げても無音で、おそらく全てのマイクがミュートされていた。俺が直接凸に来ることを見透かした上で、「父子が会話している間の何もない無音」を企画の山場にすることを最初から決めてたんだろう。現にすぐ配信閉じてるし。 霞華サキは刺激的なコンテンツを好む。それで何回か炎上しているし、今回だって「名目上バーチャルな存在のプライベートに踏み入る」という文脈によって興味を惹く狙いだろう。しかし、俺のプライベートをどこまで話すかは親父に委ねていたし、あいつが家族のコミュニケーションを邪魔することは一切なく、むしろ助けていると言っていい。 とはいえ、アーカイブが消えたことによって不思議とあいつの「炎上キャラ」は守られていて、誰が見ても善意はあまり感じられない。かくいう俺も、普通だったら感謝すべきなのかもしれないが、してやられたなぁ、という感情の方が強い。 「なるほどねえ。それを私に言ってどうするのよ」 「いや、何も。社長がこの話を聞いて、サキちゃん怖いな~とか思うかもしれないな、と思って言っただけ」 「えっ、いいよ。別にクーデターとかしないでしょあの子」 「そうかねえ。今回の一件で、あいつ面白の為ならなんでもしそうだなって思ったわけよ俺は。それもかなり際どいところまで」 「そんなの君も同じだし、君だって同じくらいヤバい企画持ってくるじゃん。とっくに制御不能だよウチは」 「否定はしない。じゃあなんでもいいか、俺だって自由にやりたいし」 「で、結局お父さんとはどんなこと話したの?」 「知らねえのかよ。いや、そうか、知らないか」 「様子を見るに、ちょっと良い感じっぽいよね。一言目気になるなぁ、なんて言ったのさ」 「……え、滅茶苦茶老けてるなって……」 「ひどすぎない?」
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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の著作物です。
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