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橙木　満　(とうのき　みつる) 25歳　男性　消防士 正義感が強いと自分を偽っている消防士。 幼い頃から両親に「良い子」として育てられていたため、認知が歪み、良い人でない自分には価値がないと思い込んでいる。実際の性格はとても臆病で利己的、ポーズとしては困った人を助けたいフリをしているが実際はなるべく面倒なことや危険なことは避けたい。 周りには隠しているが潔癖症のきらいがあり、小中高とバレンタインデーには、相手の前では嬉しそうにチョコを受け取るが家に帰ったらこっそり捨てるということを繰り返していた。 誰にもバレていないと思っているが妹の天(そら)には気づかれている。 高校の卒業式でクラスメイトの柾まどか(まさきまどか) に告白される。まどかはクラスでは有力なグループのNo.2であり、男子からの人気も高かった。満自身は対してまどかに気持ちも無かったのだが、告白されたなら付き合ってあげるべきだ。という考えのもと交際が始まる。しかし付き合って1ヶ月してもてすら握ってくれないことを怪しんだまどかに潔癖症であることがバレてしまう。満はフられるのではと考えたが、それでも交際を続けるまどか。どうやら満への気持ちは本物らしい。そうやってダラダラと3年間交際を続けてきた。しかしそれでも満はまどかに知り合い以上の感情を見つけることはできなかったり。そんな中、去年の4月、まどかに「満、私に興味ないでしょ。気づいてたからね」と言われて別れを告げられる。 そんなこととっくに気づいていただろうに何故今になってそんなことを言い出したのかは不明だが、彼女を失って満は少し悲しい気持ちになっている自分に驚いた。 彼にはトラウマがある。それは2年前の夏、とある一軒家の消火活動の時におったものだ。通報を受け、満たちが到着した頃にはその家にはもうだいぶ火の手が回っていた。外には取り乱す男性と女性。どうやらこの家の主人らしい。すると妻の方が「家に子供がまだいんです！」と満に助けを求める。なるべく危険なことはしたくない満だが、沢山の人が見ている手前逃げる訳にはいかない。家の中に突入する満。廊下を進み、子供部屋に入るとそこには火に包まれてもがいている幼い女の子がいた。こちらを見る潤んだ目。すぐに助けようとする満。しかしそこで今触れたら自分もただでは済まないだろうと気づく。助かるか分からないこの子の命と自分の命を天秤にかける満。そんな間も少女の声にならない絶叫が当たりに響いている。しかし、「きっとこの子はもう手遅れだろう」そう自分に言い聞かせて、少女を見捨てて建物を出る満。玄関を出て、子供は見つからなかったと報告する。泣き崩れる夫婦。真実を知らない彼らは満を責めない。むしろ感謝さえしてくれる。そんな彼らに重い罪悪感を感じる満。それから何時間か経ち、家の火は消え、中から原型が分からないほど焦げた、小さな遺体が見つかった。それから2年と何ヶ月かが経つが満は未だにその時のことを思い出す。あの日、その判断をした自分が消防士を続けていて良いのだろうか。もしかしたらこれからも自分はそうやって沢山の人を殺し続けるのではないか。そう考えると震えが止まらない。満の中では未だ、あの家は燃え続けたままなのだ。 満の両親は善良な人々である。普通の会社員と普通の主婦。世間の目を人よりも気にしがちな点を除けば普通の人達だ。しかし妹の天は違う。天は幼少の頃から乱暴でヤンチャで他人に迷惑をかけまくってきた。中高では地元の半グレたちと連んで町中の公共施設の窓を破壊して回ったり、暴走族的な行為を繰り返してきた。しかし高校3年になると一点、美術の道を目指すと言い出し、親に大きな負担をかけながら美大に入学。そこで社会的美術と称して仲間たちとつるみながら、また中高でやっていたような迷惑行為を繰り返している。アートが何なのかは分からないが、少なくとも彼らのやっていることはロクでもない。天の仲間たちは既に何人か逮捕されているらしい。満は天が逮捕される日も近いと思っている。そんな妹と満が仲が良いわけもなく、生まれた時からずーっといがみあっており、疎遠になった今もその感情は抱き続けている。しかしその妹への悪感情が、自分と違って自由な妹への憧れを含んでいることにも満はなんとなく気づいるのだ。

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