タグ： 星へ至る棺

研究室を訪れるといつも本を読んでいる。 「持ってきましたか。……レポート。あるなら今日はそれを置いていって終了です。お疲れさまでした。……評価？読んだらメールで送ります」 ゼミの活動は消極的で、放置ぎみ。しかし意見を求められると的確な助言やその研究に有用な資料を提示してくれるため真面目な学生が集まりやすい。 宗教学を学ぶ准教授。若いながらも実績があり、学生にも教えている立場。しかし金銭感覚がおかしいため常に予算を使い切りがち。助手はいない。 宗教学を学び始めるきっかけとなったのは家族が宗教にはまり込んでしまったこと。「昔はこうじゃなかった。きっと父と母は騙されてるんだ」と思い、必死で宗教について勉強した。しかしいくら宗教学の知識を元にした説得を行っても家族は酔心したままで、やがて諦めるようになった。 家族のことに諦めを感じていても宗教学への興味は変わらず、宗教学の准教授にまで上がった。学ぶたびに家族のことが頭をちらつくが、見ないふりをしている。 しかし家族は晃久を放っておかず、何を吹き込まれたのかコールドスリープの大規模治験に家族全員分（父、母、妹）を勝手に申し込まれ、不幸なことに晃久だけが当選した。 「この治験に参加できるのは光栄なことよ。それに参加できたのは神のおかげ。だからバイト料も神にお返ししましょう」などと言われ、「ふざけるな」と言って絶交した。 しかしお金は欲しいので折角の機会だ、と治験自体は引き受けることにした。 同期の友人がおり、その友人にだけは詳細に伝えている。鷲田、という名前であることしか覚えていない。 友人は明久にいつも明るく声をかけてくれ、明久もその友人には心を開いていた。 小倉先生　数学者 坂本夏也　２２歳　土建屋 真島昭雄　２２　 ぶた、いぬ、ねずみ そして俺はライカと一つになり、セレネルの神になった。

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