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初めて人を殺したのは、9歳の時だった。 7歳の時に母さんが家を出て行った。元々親父との仲は宜しくなかったらしく、アタシが物心着いた時には家の中は冷えきっていたわ。 理由は親父の酒癖の悪さと、親父いわく「円(アタシ)が俺に似ていない」「男のくせに女みたいな顔してやがるし、実際女が好きそうなもんにばかり興味を持つ」からだそうよ。笑っちゃうわよね、ほんと。 親父は酒が入るとアタシと母さんを殴ってきた。それに耐えられなかった母さんは外に男を作って出て行った。 アタシを置いて。 それからというもの、親父の捌け口はアタシに全部向いてきた。 母さんがいなくなってから、どうやってこの男を殺そうかずっと考えていた。耐えて耐えて、アタシが殺したってバレないようにどうやって殺そうか、ずっと…。 そうして9歳の時に寝てる親父を、用意していたファイティングナイフで刺し殺した。 強盗が入ったように見せ掛けるために細工をして、アタシが殺したと思われないように外に締め出されてるフリをして、近所の人に印象付けまで行ったわ。 そして最後に家に火をつけた。 轟々と燃える家を前に、アタシは泣いた。 あぁ、これでやっとあの男から解放されたんだ、って嬉しくて嬉しくて…。 周りの大人はアタシが親父を心配して不安で泣いているように見えたでしょうけれどね。 警察から事情聴取を受けたけれど、警察もアタシが殺したなんて思う訳もなく。 アタシは早々に施設に引き取られることになったわ。 本来なら母親が引き取るものなんでしょうけど、母さんはアタシを引き取ることを拒絶した。 「あの男の事を思い出したくないから。それに、私には今新しい家族と家庭があるから。」 そう言ってあっさりとアタシを手放した。 この時改めて思ったのは、「あぁ、あの家に愛なんて存在しなかったんだな」ってね。 そう思った時、アタシは母さんも殺そうと決めたの。 アタシを置いて出ていった女を、母親としての責任と女としての幸せを天秤にかけて、女としての幸せを取ったあの女を。 あの女を殺したのは15の時。 念入りに調べていく内に、あの女は新しい家庭を持ったにも関わらず男漁りを繰り返していることを知ったの。 年下で見目のいい背の高い男。それがあの女の好みだと知って、アタシは変装して近づいた。 自分の産んだ子とも気づかずに、あの女はホイホイと付いてきた。 あの日は10/31、ハロウィンの日。 アタシはそこで「魔女」の仮装をしてあの女を刺し殺したわ。 一息に刺したつもりだったけれど、まだ息があったあの女にこう言ってやったの。 「実の息子に殺される気持ちはどう、母さん。俺…いえ、アタシはあんたを母親と思った日は、あんたがアタシを置いて出ていった日から一度たりともないけれどね！」 って。 心底驚いた顔してたわぁ…あの時のあの女の顔が今でも忘れられない…。 …それからというもの、アタシは人を殺すことに一層躊躇がなくなって行ったわ。むしろ、殺すことに快楽を感じるくらいには溺れていった自覚がある。 ナイフを突き刺した時の手に伝わってくる、ずぶりとした感触とナイフからつぅ、と垂れてくる鮮血…痛みと苦しさで歪む苦悶の表情…、アタシに刺されたって知った時の何故？って訴えてくる瞳…どれを取っても素晴らしくアタシを昂らせてくれるの…。 それでもアタシが痕跡は残しても証拠を消しているのは、あの二人と共に過ごす時間をかけがえのないものに感じていたからかしらね…。殺したくて殺したくてたまらない、あの二人と一緒にいる時にそんな風に思っても、2人だけにはその欲求が向かなかったのよね……。 高校時代も傷だらけのアタシに事情を何も聞かずにそばに居てくれて、よく放課後は一緒に遊んだりもしたわね……懐かしいわ。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 初めての殺しは9歳の時の父親。その後15で母親も手にかけており、両親ともに手にかけたことでリミッターが解除、倫理観が壊れてしまい快楽殺人鬼となった。 犯行時の「魔女」の仮装は母親の時から。 魔女の仮装を選んだのは、「魔女のように冷酷で、人に害を成すことを躊躇わず、無慈悲になるため」。本人曰く「殺しの時に着る制服みたいなものかしらね」とのこと。 高校時代によく怪我をしていたのは良くも悪くも目立っていた事もあり、よく喧嘩を吹っ掛けられていた為。 部活はバスケ部。 人を殺す時は必ずナイフを使う拘りがある。 というのも、人を刺した時の感触や手に伝ってくる鮮血の温度やぬめりを感じたいから。 誕生日：2/23

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