タグ： かなきみ

　とある山間部に位置する有名温泉地帯。その一角にひっそりとたたずむ小さな旅館。周囲が栄え賑わっている一方で、そこはどうも外観ではパッとしない雰囲気の場所である。予約なしで宿泊することは不可であり、大変高額なその旅館には宿泊する者も少ない。しかしそれでも旅館を利用した宿泊者たちは皆口をそろえて一言「すべてにおいて至上の体験だった」と述べているという。 　ただ不思議な点として、前述以外の評価や感想がなぜか見受けられない。「すべてにおいて至上の体験」ということは極めて上質なサービスかつ内装なども素晴らしいものであったのではと推測するのだが、それについて言及された文章(評価や感想)は一切見つかっていない。これほどの表現をするのであれば、評価の一つや二つがどこかに存在してもおかしくはないと考えるのだが......。 　この旅館には何か秘密が隠されているに違いないと筆者は考えている。この先もさらなる追及をしていくつもりである。続報を待たれよ。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　--月刊 スクープCHU 8月号 下書き原稿-- 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【元データ削除済み】 　「まったく、三流記事の三流記者でもこんな調べがつくものなのねぇ。いえ、むしろ三流記者だからこそこんなネタにでも喰いつかないとやってけないのかしら？どちらにしたってこのデータも没収よ～残念でした♡」 　伊野瀬 茉莉は小さな旅館の若女将である............というのは表の顔。裏の顔はSCP財団日本支部の構成員である。つまりはこの旅館も表向きには高級旅館として存在しながらも、裏では財団の拠点として使用しているのである。 　17歳から財団の構成員として所属し、銃や格闘戦術などの基礎的訓練も受けてきた。しかし女性であることや体力的な面で戦闘向きではないと判断され、サポート側として支援をする活動が主であった。結果としてその判断は正しく、情報処理・統制、救護支援などで多大な活躍と貢献をした。 　学習能力が高く、若女将としての所作には何も欠点がない。美人でもあるため、客はもちろん財団内での評判も高い。が、観察眼が鋭く不用意に彼女に近づけば自らの特徴をすべて読まれることになるので注意が必要である。 #98fb98

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