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少女が生まれたのは、まさに奇跡だった。 イグの祝福を唯一受けなかった少女は蛇人間たちに迫害され、一家郎党は生贄として捧げられた。しかし、少女と父親は煙草の匂いによって難を逃れ東京へと落ち延びた。 父親はイグの祝福によりその後すぐに死んでしまったが、少女は自らを戦士として生きる事を決めた。 故に、この少女の心には戦いと復讐しか無いのだ。 　　　　　　　　　────2017年9月6日。 少女に唯一寄り添った少年の死によって、少女の心はひび割れてしまった。少女にはもう、誰かを愛する事が出来なくなってしまった。 　　　　　　　　　────2018年1月7日。 異界からの帰還を果たした少女は胎に子を宿していた。しかしその子は孵化する事なく少女に吸収されたのだ。 少女は仔山羊の母にならずともそれらを操ることができた。 　　　　　　　　　────2018年4月24日。 「蛇狩り」作戦を終えた少女は身体に違和感を感じていた。吸収したはずの卵が孵り、少女は処女受胎を果たした。19歳の春の頃であった。だが、少女の仔は生まれ落ちる前に探偵『石垣高杉』の魔術によって存在を抹消された。 　　　　　　　　　────2019年8月20日。 六分儀市の怪異を討伐した少女は既に成人していた。処女受胎、消失の赤子、神秘の降臨という奇跡をその身に幾度も体感していた少女は、異形殺し専門の傭兵…表向きは用心棒として活動を始めた。 　　　　　　　　　────2020年1月10日。 蛇王教団を倒し、少女の旅は終わりを迎えたかに思えた。だが、それはほんの氷山の一角に過ぎなかったのである。少女は復讐を果たすため、再び『飛車角落』の元へかつての仲間達と共に集結するのだった。 　　　　　　　　　────2021年8月11日。

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