タグ： 麺麭生地家

愛されなかった子供。 ねむれるあたたかい場所をもとめて、自らを傷つける人間へ微笑みかける。 母子家庭 母親はよく家を空けていて、学校から帰っても世話を焼いてくれることはない。 だからあたたかい夕食を毎日用意してくれてるわけもないし、そもそも家の中に入れないことだってよくあった。 家は一戸建てだけれど、いちばんの居場所は庭にはみ出したテラスの下の隙間。 母が帰ってきている日は家の中にいて、静かに静かにしていた。 そして、機嫌の悪い時や気の向いた時には理不尽な罰を与えられた。 呼びつけられては血が出るほど叩かれる。 かと思えば、大人の機嫌の良い日には、気まぐれにケーキなんか食べさせてもらうこともあった。 この子供はそんな母に愛されたかった。 だから微笑みかけるし、側について回る。 それが機嫌を損ねて暴力で返ってくることをいつも、初めてのことのように悲しんだ。 シナリオ開始よりも少し前、ついに顔に傷を負わされた。 それからは家から出してもらえなくなり、学校へもいけなくなった。 誰も探しにきてはくれない。 母も帰ってはこない。 悲しくてがっかりして、ついに、夢見た不思議な世界を探すために、彼は家をこっそり脱走した。 一人でいるところを誘拐されてシナリオ冒頭の監禁状態となる。 愛されたい。夢見る場所へかえりたい。 母の愛は叶わないとわかってしまった。かなしかった。 だから夢見る場所へかえるため、愛してくれる人を探すため、子供は歩き出してしまった。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 前世　ラステュール 大魔法使い。 若々しい容貌を崩さないままに大層な長寿であった男性。 穏やかで落ち着きを払った性格で物腰やわらかく、やわらかな老人という感じの雰囲気の人であった。 その長い人生の果てに俗世とのかかわりを最低限に抑え、森の中で暮らしていた。 清らかな気配と息吹、あたたかなひだまりには花が咲くうつくしい森を終の住処とするべく、ひとり静かに暮らしていたが、そこへ美しい子供が現れた。 どんな事情かは知らないけれど、その子供は孤独であった。 だからうちへ招き入れたのだ、あたたかい食事、それから着るものを用意して、やわらかく火を炊いた暖炉の前で寄り添った。 行くあてのない子供を、彼は世話をしようと考えた。 長く家に置き、家のことをある程度手伝わせながら家族のように一緒に暮らした。 自らが持つ叡智を分け与えて弟子として教育を施した。 彼は、いつしか子供を愛するようになっていた。 "故郷"の古いことばを使う魔法。 そしてある時、故郷は滅んだ。 世界が壊れてゆくさなか、魔法使いは世界から目を離したことを悔やんだ。 愛しい子供の未来が閉じられていくことを嘆いた。 この子供の死は、彼にとって何よりも受け入れ難くて だから、最期の魔法をかけたのだ。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ