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新クトゥルフ神話TRPG PC作成ツール
千念・流浪
ID:4774852
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千念・流浪
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CoC探索者
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生まれ・能力値
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能力値
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CON
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EDU
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SANと幸運値
現在
開始時
最大
SAN
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/
(不定の狂気:
)
幸運
/
/99
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技能
職業P
クイックスタート基準
STR
CON
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APP
POW
SIZ
INT
EDU
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(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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拡張ツール
技能の追加
リセット
全技能(現代)
全技能(1920年代)
戦闘系全部
探索系全部
踏破系全部
行動系全部
交渉系全部
知識系全部
芸術/制作
科学
サバイバル
運転
操縦
伝承
攻撃系技能の追加
斧
格闘
絞殺ひも
チェーンソー
刀剣
フレイル
むち
槍
火炎放射器
拳銃
サブマシンガン
重火器
マシンガン
弓
ライフル/ショットガン
ソート
技能名あいうえお順
サブ名称あいうえお順
カテゴリ順
よみがな
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タイプ
戦闘系技能
探索系技能
踏破系技能
行動系技能
交渉系技能
知識系技能
その他
初期値の技能を隠す
複数回成長モード
サーチ
リセット
サーチは完全一致。,や、などの区切り文字列で複数検索可能
成長
カテゴリ
名称
付記
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
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※CoC『新世界より』HO:信仰。HOの内容を一部引用している為、『新世界より』現行未通過PLは注意。 ※年齢によるEDU上達チェック(20~39歳):1d100=92(>85) →1d10=10 →EDU:95 ※職業「船乗り」で技能選定。EDU×2+POW×2で職業ポイント算出。 ―――――――――――――――――――――――――――――― その子供は寺に預けられた。不義の子であったが故に。 その青年は補陀落渡海に選ばれた。愛を拒んだが故に。 大海に流された青年は、そこで世界の広さを知る。 名前:千念・流浪(ちねん・りゅうろう) 28歳の日本人青年。朗らかで鷹揚な性格で、まぁ何事もなんとかなるっしょ!という楽天的な考えの持ち主。他人の事情も考慮するが、基本的には自分の考え・判断を大事にしている。若干の女難の相持ち。狭くて暗い場所が苦手。 数年前に補陀落渡海の行者として沖を小舟で漂っていたところ、通りがかった異国の船に拾われる。その船は帰国の途であったが故に日本には戻れず、そのままその船の宗主国に辿り着く。その国と中国(明)はシルクロードで結ばれていたから、時間はかかるだろうが日本に帰ろうと思えば帰れたかもしれない。それでも彼は外つ国たるその地に残ることを選び、その国の言葉・文化を学んだ。特に世界宗教は自分がこれまで学んできた仏教とはだいぶ異なっており、興味を惹かれた。時に改宗を勧められることもあったが、自分はあくまでも仏の教えに殉ずるものだと断ってその世界宗教を外側からじっくりと観察した。世界宗教側からしたら彼は異分子ではあるが、たったひとりの薄汚れた異邦人に何が出来るかと見くびられていたので特に迫害はされずに済んだ。そんなこんなで数年を過ごしてたら、この度何故か呼び出され、とある船に乗ることになったのだった。 ●世界宗教のイデオロギーに対して:そもそも仏教徒なので世界宗教側から見たら異教徒。なので完全には世界宗教のイデオロギーと同意してない。あれだけ自分達こそ世界の権威として振る舞ってるくせに、自分達が信じていた世界と違うものが見つかった程度で揺らぐとは面白いなと思っている。いわゆる愉悦の心。 部外者であるが故に世界宗教に対するある意味での公平さを買われて、コロンブスの発見に関する噂を確かめる為に船に乗ることになった。 →「信仰」そのものについて:仏という名の神を信仰しているという点では同じ。ただ仏は遍く全てに存在してるものなので、“その姿をしていなければ神ではない”という世界宗教での考え方は持ってない。 出会った船長の影響で宗派の垣根を越えて他者の「神/御仏のご加護」を祈る真摯な気持ちは持ち合わせている。 ●略歴:地方領主の父とその家の下女であった母の間に生まれる→不義の子として寺(浄土信仰系)に入れられる→僧として成長する→地方の有力者の娘に惚れられるがそれを拒絶。反感を買い、補陀落渡海の行者という体で処されることになる→異国船に拾われる→外国に辿り着く。異国の宗教を学ぶ→“新世界”に向かう船に乗ることになる 近畿のとある国に生まれる。父親はその国の地方領主であり、母はそこの下女であった。常ならば殿のお手付き故に側女として召し抱えられる筈だったが、正妻の悋気により母が側室になることはなかった。 その上、生まれたのが男の子であったが故に正妻の悋気は頂点に達し、このままでは妻子諸共殺されかねなかった。事を荒立てたくなかった父親の手によって母は尼寺に入れられ、子供は隣国の寺に入れられた。その寺で子供は「千念」の名を授かる。両親とは、それっきりであった。 寺に入れられた子供は物心つく頃には誰に言われずとも自分の境遇を実に冷静に把握していた。寺の外、俗世に戻ることはその厄介な立場に舞い戻ることであり、そうなればどれほどの人に迷惑がかかるのか、そういったことを子供は理解していた。寺に残り、立派な僧になることだけがただ一つ彼に許された道だった。 故に彼は泣き言一つ零さず、仏道の修行に専念した。元々何かを学ぶのは性に合っていたのだろう。“外”に居場所無く、動機こそ自発的なものではないにしろ、一を教えれば自ずと十に辿り着くその姿勢は傍から見れば俗を捨て仏の道に全てを捧げた高僧のそれであり、門跡(住職)からはいずれこの子は僧正となりもっと大きな寺で人々に仏の教えを説く立場となるであろうと評される程であった。 しかし運命は彼の歩む道をさらに捻じ曲げた。 年頃の青年となった千念のその面立ちは見目麗しく、説法する彼の顔を拝みに寺へと参る者が現れる程であった。 とある町へ勧進に赴いた折、辻に立ったその美顔を一目見た、ある娘が彼を見初めた。娘はその地方の領主の娘であった。家の者の手引きによって彼を屋敷に招くと彼女は彼を押し倒し、熱のこもった目で見詰め、荒い吐息混じりにお慕いしておりますと囁き、彼の僧衣を剥ごうとした。 しかし、寺に入ったばかりの幼い頃から稚児として先輩の僧から男色の手解きを受けていたからか、それともあるいは最初から彼は女人に情欲を抱かない生来の質であったが為か、ともかく千念の身体は女性に対して何の兆しも起こさなかった。彼は努めて冷静に彼女の手を払うとこのようなことはしてはならぬと懇々と人の理を説いた。しかし矜恃を傷つけられた彼女の耳に彼の言葉は届いていなかった。 女として、あるいは権力者の娘としての矜恃を酷く傷つけられた娘は、強引に事に及ぼうとしたのは自分であるというのに、それを棚に上げて自らの父親にあることないこと千念の罪状を吹き込んだ。貴方の愛娘を拐かしたのは彼奴だ、彼は強引に私と契ろうとした、止めようとしたお付きの者が彼に打たれて怪我をした云々……。娘を溺愛していたが故にそれらの嘘八百を鵜呑みにした父親は直ちに寺に部下を差し向け、千念の身柄を確保した。謂われのない罪に困惑しながらも、突然現れた兵士に戸惑う同僚・稚児に私は大丈夫だきっと話せば分かってくださると言って千念は微笑んだ。 白州の場に引きずり出された千念はしかし、誰も彼の話を聞いてくれなかった。いや、きっとその場にいた多くの人は彼が無実であることを知っていた。知っていても誰もその男と、その娘に逆らうことが出来なかった。違います、存じませぬと何度訴えても黙れと強い言葉で詰られ、有りもしない罪を認めろと棒で撲たれる。それでも千念は無実を訴え続けていたが、終いにはお前が罪を認めないのであればお前がいた寺を焼くぞと脅されて、ついに小さく頷いてしまった。 千念は罪人となったが、地方領主の男には彼を殺すことは出来ないでいた。あれだけ苛烈に責め立てたというのに、僧を殺して無間地獄に落ちるのは恐ろしいらしい。(実際、彼を棒で打ち据えながら涙を流す者もいた。千念は、彼らを許すつもりだ。)男は密かに千念がいた寺の門跡と話し合い、寺に伝わる浄土信仰、その極みである補陀落渡海に目を付けた。補陀落渡海とは補陀落、すなわち海の向こうの浄土を目指す捨身行である。本来であれば僧が自らその行を行いたいと申し、様々な準備と期間の後に船に乗り込み俗世と別れを告げるものであり、咎人を流刑に処すのに用いるものではない。門跡は難色を示したが、刃で脅されてしまえば領主の要求を呑まざるをえなかった。 急ごしらえで用意された船は小さく、食料も水も充分に積めなかった。格子の牢から船の形をした棺に移されるまでの間、千念は目を閉じ、両の手を合わせてずっと経を唱えていた。ただ一度だけ、舷梯に足をかけた時に振り向いて、いってまいりますと見送る人に別れを告げた時だけ経を止めた。 乗り込んだ渡海船の口は板と釘で厳重に閉じられ、真夏の日差しの下、暗闇の中に無実の人を孕んで船は沖へと押し出された。 漂流の最中、光の届かない暗闇の中で経を唱え続けている間も千念はずっと考えていた。自分の判断は正しかったのだろうか、間違ってやいやしなかったかと。自分の人生は、思考は常に自分以外の誰かの為にあった。もっと我を貫いていたら、何か変わっていただろうか。自分に罪を擦り付けたのは貴方の娘だと言えたなら、寺を抜け出して母を探し父とその正妻の前に立ち現れていたのなら。あの時下した決断のもしもを考えて、浮かんだ想像に我ながら苦笑する。もしもの選択肢を選び続けた自分はそれは果たしてこの自分と同じ存在だろうか。今の己は今の己を悔いるしかない。過去の自分を悔やんだところでしょうがない。そう思って千念は意識を経を唱える己の方に戻した。 あぁでも仏は笑うかもしれないが。もし再び、自分として今生を生きる機会があったならば。その時は今度はもう少し自分勝手に生きてみたいと思う。 小さな渡海船に積まれた食料と水はそうそうに尽きた。真夏の大海原を漂えば、光差さぬ闇でも船内は蒸し風呂のように暑くなる。もはや座っている姿勢すら耐えがたく、暗闇の中で千念は床に倒れ伏す。飢えと渇きと暑さに朦朧とする意識で、それでも最後まで口から経を捻り出し続けた彼の耳に、不意に音が届く。 なにかが甲板に降り立つ音がする。最初は海鳥かと思われたその音は次第にどやどやと数を増し、はっきりと歩き回る靴音へと変わった。甲板の彼らはやがて板と釘で打ち付けられた扉を見つけた。拳を打ち付ける音がして、それから、耳を劈くような破裂音がした。(後で知ったことだが、部下が手斧を持ってくるまで待ちきれなかった船長が火縄銃で扉の鎹をぶっ飛ばしたらしい。)轟音は朦朧としていた意識を目の前の現実に引き戻し、千念は萎えた己の身体を鞭打って開け放たれた扉の方を振り仰いだ。 眩しい程の青空の下に、見たこともない相貌の髭面の男が船内を覗き込んでいる。暗い船内にまだ息のある人間がいたことに男は驚き、何事か口走った。男の言葉を千念は理解することが出来なかったが、差し伸べられた手に、僅かな逡巡を経て彼は手を伸ばした。握り返した手はごつごつとしていて荒く、乾いた船乗りの手だった。彼はよろめく千念を支えてやり、甲板で待つ他の船員にまた何か分からぬ言葉で指示を飛ばした。空は青く、日差しは容赦なく肌を焼く。それでもまだ生きている己に、千念は手の平を合わせて合掌した。 千念が唱えていた経を聞いて、船員達は彼が何かしらの宗教に属している人間だと判断したらしい。彼らは幾分か真面目な調子で自分に話しかけてくるが、生憎と言葉が分からない。千念が事情を説明しようにも彼らも千念の言葉が分からないのだ。なんとか身振り手振り、乾いた板の上に水で絵を描きながら話し合って、千念は彼らが異国の船の乗組員であること、そしてその国に帰る途中であることを理解した。船員達は千念の事情(何故あんな棺桶みたいな船に閉じ込められていたのか)は言葉が難しく理解できなかったが、風の都合で君を乗せた船が流れてきた方角に戻るのは難しいと伝えた時に彼が然程顔色を変えなかったことに驚いた。千念としてもこうして命助かった後、国に帰りたいという気持ちが己の中に湧かなかったことに驚いた。それよりも彼は、自分を助けてくれた彼らに興味を持ち始めていた。 広い海で、彼らがこの渡海船を見つけなければ自分は死んでいただろう。もう一度繋がった生、自分の思うままに生きてみよう。骨と皮ばかりに痩せた身体で、目だけはそんな意思で爛々としていた。 船員達の故郷に着いてからはなかなか目まぐるしかった。最初は奴隷と間違われ、値札と首輪を付けられそうになったのを船長が慌てて止めに入った。時折船長に手助けしてもらいながら、船上で覚えた彼らの言葉を片言ながらも必死で繰って、千念は自分の現状とこの国に残り何かしらを学びたい自分の意思を伝えた。役人はあからさまに怪訝な顔をしていたが、最終的には滞在の許可が下りた。この国が明やジャワ島との貿易経験があることが幸いした。彼らにとっては自分は見慣れないが初めて見る人種ではなかったことと、その教えを理解することは出来ずとも仏教というものを名前だけでも知っていたのだ。陸路であればシルクロードを通って明を経由して、あるいは海路であればジャワ島を経由して君の国に帰ることが出来るがいいのかね?と役人は念を押すように尋ねてきた。構わない。もとより故郷に帰る気持ちは毛頭ない。何度も繰り返し伝えた自分に役人は呆れたように笑って在留許可証に判を押した。 許可証に書かれた名はチネン・リュウロウ。リュウロウとは流浪。流離って、彷徨って、今の自分はここにいる。これからの自分の行く先は、自らの手で決める。そんな皮肉な決意を千念は己の名字に定めた。 在留の許可は下りたが自由に行動していいわけではない。ひとまずのところ千念は世界宗教の教会預かりの身となった。 彼を拾った船長は、次の交易へと旅立たねばならなかった。彼は自分の命を助けたのみならず、様々な世話を焼いてくれた。その恩を千念は未だに返せないでいる。船出の前日、千念が思い詰めた顔でそう切り出すと船長は鷹揚に笑って言った。 あれは神のご加護だった。君のところでは神はホトケというのだったか?ともかく、君を助けたのは神の御意志であって、私はその為に遣わされたにすぎない。報いるのであれば、神の恩に報いるべきだ。 そう言って今度は豪快に笑った船長に、千念は涙混じりの声ででは貴方に、御仏の加護がありますようにと祈った。 ¡Dios te bendiga!(≒God bless you!)と手を振る船長を乗せた船が水平線の向こうに見えなくなるまで、千念はずっと港に立っていた。 さて教会である。世界宗教である。教え方も違えば教義も違う。とりあえずこれを覚えなさいと渡された聖書は、言葉を覚えるのに大変役に立った。言葉を覚えるついでに世界宗教について学ぶ内に、彼らの在り方について学ぶ内に千念は船長はむしろ稀有な例だったことに気付いた。異教徒である自分に向けられる彼らの視線は不信と蔑みに満ちている。しかし彼らが自分を害してこないのは、自分達の信仰こそこの世界で唯一正しいものだと思っているからだ。異教徒は取るに足らないもの。そうやって己を律しながら、それでもその内側に人間らしい淀んだ感情を抱いている。その有様は傍から見ている分には面白いが、突いたら藪蛇になりそうだ。千念は彼らの教義を学びながらもある一定以上は踏み込まず、彼らにとって異分子であり続けることを決めた。時に改宗を勧められたが、千念は微笑んで自分の信ずるカミサマは仏の姿をしているんだと言った。そんな彼を世界宗教の信徒は時に不気味に思いながらも、自分達の神の優位性を勝手に見出して安堵した。 そんな矢先、とある噂が教会内部で密やかに囁かれるようになった。コロンブスが発見したのはインドではなく、“新大陸”だったのではないか。世界宗教においてこの世界に存在する大地は「神の創りたもうた世界は三大陸」であり、“新大陸”などありえない。信仰に疑義を差し挟むその噂に、あるいはそれを流布する者の存在に、教会は上から下まで蜂の巣を突いたかのような大騒ぎだ。ただひとり、千念だけがその騒動を横目に内心密かに笑っていた。あれだけ強固に見えていたものが、新たな土地が一つ見つかったかもしれない程度でその足下を大きく揺るがされている。それを笑わずになんとしよう。 千念は仏教が教える世界観、すなわち三千大千世界が必ずしもこの世の地理と一致していないことを知っている。海原を漂い、船長に拾われて異国に辿り着いて、仏典にはない唐国以外の世界を知ったからだ。だからなおさら“新大陸”発見の可能性に存亡の危機かと言わんばかりに揺らぎ荒れる世界宗教の有様は非常に面白い。この騒動が収束したら彼らは喉元を過ぎ去った熱さを忘れてまた元の自分達の宗教こそ盤石で強固だが?という体に戻るだろう。もしかしたら記録に残さないことで、この恥さらしな騒ぎの存在を無かったことにするかもしれない。それは少々つまらないなと、なら自分が筆を執ってあらましを書き付けようかと千念が思ったところに、さる密命を帯びた使いの者が現れた。 その者曰く、自分にある船に乗ってくれという。コロンブスが発見したものが、実際如何なるものだったのかを調べてきてほしいと。世界宗教の正式な信徒ではない自分が何故選ばれたのかと訊けば、彼の方は“公平”を求めておられるという解が返ってくる。我々のイデオロギーに与するものでは、その眼は真実を直視しえないのだと。誰が自分を推したのかと問えば、様々な人物の名前が告げられる。その中に、千念が滞在する教会の司教の名があった。司教はとりわけ信仰篤く、故に“新大陸”の噂に関しては苛烈な態度をとっており、そのような噂を流す者は世界宗教の信徒ではない!と言って憚らない。日頃彼が自分に向ける眼差しを思い返して、あぁまた自分は厄介払いされるのかと嘆息する。しかし、此度は船に乗る乗らないの判断は千念自身に委ねられている。しばらく考えて、海を越えた先にある“新大陸”という未知、世界宗教の根幹を揺るがすその存在への興味が、また追い払われた悲しみを上回った。お引き受けしましょうと言うと、使者は鷹揚に頷いてその言葉を彼の方へ伝えにと足早に消え去った。手慰みに繰った数珠が、ちゃりと鳴った。 こうして、千念・流浪は新大陸へ旅立つ船に乗る。世界宗教の代表として、あるいは強くも脆い世界宗教の今後を見定める観測者として。旅路の先に何が待つのか。少なくとも千念はそれを後悔しない。何故なら今度こそそれは、自分の意思で決めたことだからだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ※CoC『新世界より』HO:信仰引用 「◆HO:信仰 ・専門技能:芸術、医学、対人関係技能ひとつ 君は世界宗教の敬虔な信徒だ。君の役割は神の教えを世界に説くことである。未開の民に正しき神の教え(信念・イデオロギー)を布教すること、それが教会から課せられた使命だ。」 HO:信仰秘密引用 「秘密 コロンブスがたどり着いたのはインドではなく新大陸ではないか、という噂が流れている。 世迷い言に違いない。「神の創りたもうた世界は三大陸である」というのが教会の世界観(イデオロギー/信念)だ。 君の真の目的は、そこが新大陸ではないという証拠を得ること……あるいは、真実を見極め、どうすべきか答えを出すことだ。 なぜあなたは信心深くなったのか。あなたにとって信仰とはどういうものか。もし信じていたものに裏切られたらどうなってしまうのか。 あなたなりの設定を考えておくと、セッションをより楽しめるだろう。 ▽あなたがセッション中に調べることができる【未知】 「新大陸仮説」 /調査技能:オカルト、聞き耳 ※セッション中この未知を調べる際には、KPに「秘密の【未知】を調べます」と宣言すること。」
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