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『唸れ！暁コメディーショー』HO2 職業：コメディアン(2015) ―――――――――――――――――――――――― 【設定】 どんなものでも、みんなみたいに一生懸命になんかなれなかった。 勉強に習い事に、遊びですらも、興味は持っても途中で頑張れなくなってしまう。めんどくさくなったり、嫌気がさしたり、急に冷めたり。いつも衝動的に行動するし、飽きたら中途半端なところで打ち止めにする。別に問題が起こることもなかったから、そんな自分を悪いと思ったこともない。 ただひとつ、得意と言えることがあった。人を笑顔にさせること。 家族や友達や先生と話していて、相手が笑う。それで自分も嬉しくなる。そんなささやかな幸福が、幼い頃から元喜の生活を彩っていた。 10歳のとき、違う学校のHO1と出会った。あまりに真面目な少年だ。自分はどうひっくり返ってもこうはなれないと思った。でも一緒にいて楽しかったから、仲良くなって何度も遊んだ。 そしてある日、彼はお笑いのネタを見せてくれた。それはもう、今までにない感動を覚えた。こんなに真剣に「笑い」を追求する人間がいること。そして「人を笑わせる」ことが、こんなに奥深いこと。 だから、一緒に観に行った舞台の記憶は今でも鮮明に思い出せるし、なによりの宝物だ。 現在は、ギャンブルに酒にと欲望のままに生きている。貧乏なくせに衝動的に金を使うし、後悔したのにまた使う。いつも気分的に振舞って、やっぱり何にでも適当に見切りをつける半端者のままだけど、それでも唯一お笑いにだけは真剣になれる。多分きっと、相方がそうしてくれているように。 ⚠️以下秘匿⚠️ お笑い好きの友人はひとりだけではない。HO1にネタを見せてもらう前の元喜は、人を笑わせるのも楽しいからなんとなくやっているに過ぎなかった。それに人生をかけることの良さが正直分からなかった。しかし、元喜もお笑いの世界に興味を持ってからは、芸人を目指す笑門を心から応援できるようになったし、尊敬していた。 いま彼は、鳴かず飛ばずの自分たちとはかけ離れた場所に行ってしまった。かつての親友の背中に早く追いつきたい。先を越されてしまったことに対して焦りもあるのだが、ただ一番の動機は、返して欲しいものがあるからだ。ポ○モンのトレーディングカードである。あの日貸したまま戻ってこなかったアレに、この前ネットで超高額の値段がついていた。カードゲームに興味はないけど、金は欲しい。返してくれと言えるような対等な関係に戻りたい。

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