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御廉枋響 母から「神聖な蛇の毒」と教えこまれ幼少期より毒を摂取して生きてきた。 母はそんな毒を注ぎ続けた枋響を神聖なものとしてそれは大層慈しみ育てていたため、枋響はそれが常識で考えたらおかしなことだと理解しながらも、母を否定することは出来ずに育つ。 母の方針から他者と関わる機会もほとんどなかったが、枋響がようやく幼稚園に通うといった頃、隣の家に同じくシングルマザーの家族が越してきた。 母は普段通り枋響と他人を関わらせないようにしたが、向こうの母親が枋響と枋響の母親の美しさに心酔し、度々家に招かれるようになったことから向こうの子供と交流が出来た。 枋響が初めて親しいと呼べる間柄になった相手であった。 名前は○。いつも笑っていて、歳に見合わぬ落ち着いた態度と母親から教えこまれた枋響の知識にすごいすごいと無邪気に笑っていた。 その状態で数年の時を過ごし、6歳になった頃。珍しく母が許し、枋響は初めて○を家に招いた。 枋響の家に遊びに来た○は終始楽しそうで、枋響も嬉しかった。 舞い上がっていたのか、それとも普段から家族とそうしているのか分からないが、おやつの時間に○は至極当たり前とでも言うように「枋響のも一口くれよ」と、枋響の使っていた食器を自分の口に運んだ。 美味しいと綻んでいた顔が苦痛に歪むのは一瞬だった。 枋響は始め、喉に詰まらせたのだと思った。だから、心配しながら水を差し出した。 苦しそうに首を抑えていた○は、顔を真っ青にし、口から泡と吐瀉物を吐いて床に倒れ込んだ。 数回震えて動かなくなった○を見て、枋響は「死んだ」と理解した。 それが、ドラマや漫画で見る毒殺された被害者と同じような光景で、咄嗟に思ったのは「どうして」だった。 まさか母も○に毒を飲ませたりはしない。そもそも、今日のおやつには毒は入っていない。だって、母がそう言っていたから。今日は夜に飲みましょうね、と。 ならば、○の口にした毒は、どこに、 固まる枋響を、駆けつけた母親が発見した。 母は床に倒れた○を一瞥し、優しく枋響を抱きしめた。 「大丈夫」「お母さんがなんとかするわ」「枋響が毒に祝福された。貴方はあの方に……」最後は何を言っているか分からなかったが、母の言葉を聞いて枋響は○の口にした毒の出処が自分だと察した。

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