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職業:俳優 技能:言いくるめ、運転(自動車)、芸術(演劇)、心理学、説得、変装、個人的な関心の技能2つ(聞き耳、目星を選択) 失敗した劇団は劇団レディバグ 主催の演出家は天道治虫 容姿端麗で、幼い頃から母の経営するモデル事務所に所属していた。 高校生の頃に事務所の意向でとある大作映画にゲスト出演したことがきっかけで演技に目覚め、俳優業にシフトする。 遅咲きながらも少しずつ実力を身につけ、舞台や特撮に出演していくが、しかしその躍進には事務所の威光が大いに絡んでおり、嫉妬の声も少なくなかった 周囲の声に負けじと一層役者業に励めば「これみよがしのいい子ちゃんぶり」と鼻で笑われ、参加した作品の興行が振るわなければ「所詮は顔だけのゴリ押し俳優」と囃し立てられる。 湊はそれを跳ね除けるだけの芯の太さを持ち合わせていなかったが、そこで素直に逃げ出すほどの素直さも持っていなかった。 その弱さと強さが、自身の骨子に決定的な亀裂を生むことになる。 ある日、湊は著名な演出家とその主催劇団が手掛ける大作舞台の男優に抜擢される。 名前では仕事をしないと評判の気難しい男で、協賛にも湊の事務所名は加わっていなかった。自分は実力で勝ち取ったのだと思った。 その舞台はダブル主演の体裁をとっており、公開日ごとに主演がスイッチする仕組みになっていた。もう片方の主演には、同世代の天才と謳われる男優が採用された。 大躍進に湊は歓喜するが、程なくして主演男優や劇団員たちとの間に軋轢が生じる。 湊自身悪い役者ではなかったが、天才たちとの差は歴然だったのである。役者不足と見下されて、金で役を買ったと陰口され、湊は徐々に精神を病んでいく。 そして舞台初日のクライマックスで、湊は限界を迎え台詞を飛ばしてしまう。 その場は周囲のアドリブで何事もなく終わったが、劇団員たちの冷ややかな視線が突き刺さった。 そして演出家からも「一度立たせれば義理は通っただろう」と見限られ、1日スイッチの予定は徐々に変更されて、3日に1回、1週間に1回……公開3週から千秋楽までは、とうとう「体調不良」の名目で湊が舞台に上がることは無くなってしまう。 それでも、湊はまた一から出直そうと母である社長に直談判しに向かうが、そこで「湊を使うのであればペーパーカンパニーから出資する」という契約のもとで自分が起用されたことを知ってしまう。 スイッチからソロへの移行も当初から計画されていた。 初めから誰も湊のことなど見ていなかったのだ。 SNSに溢れる「最高だった」というファンの無邪気な賛美も、湊にとってはもはや自分を刺し穿つ無数の刃となってしまった。 それからの湊は、ただ求められる姿を演じる「人形」となることにした。 大手や実力派俳優から蔑まれる道化であればそれでいい。 容姿だけを求められる愛玩人形になれというなら演じてやろう、と。 悲劇なのは、湊本人がそういった割り切りができるほど強く無いことだった。 自分の思いと相反する生活の中、仲間など一人としていなく、湊は溢れる鬱憤を自分の命にぶつけるようになっていった。 度重なる自傷行為に自殺未遂、揉み消しも限界だと判断した事務所により、湊は無期限休養を言い渡された。 人生に抗えないのならいっそ演じてやろうと思ったのに、そんなことすら自分で決められないのかと絶望した湊は、毎日のように死ぬことを考え、実践するようになった。

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