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探偵はミュージック・バーにいる。 音楽とは何だろうか。 音楽とは体験であろう。 過去に演奏されたジャズの名盤を、十分にセットアップされた自室で聞くことに意味はあまりない。 何故なら、それはもう生きていない、汲みおかれた水だからだ。 ジャズは新鮮なものとしてその場その場の変化を楽しむものであり、汲み置かれたそれを繰り返し楽しむのであれば、クラシック音楽を嗜むべきであろう。 一作品としての完成度を楽しむのがクラシック音楽である為だ。 では、私の人生は。ジャズなんだろうか。クラシックなんだろうか。 --------------------------------- 獺ヶ口(おそがぐち) ドラマー→信用詐欺師→私立探偵 音楽大学に数年通い、交通事故で左手の腱を損なう。 その後大学を(長くドラムを叩けなくなってしまった為)退学するが、その際交際していた彼女から程よく金を巻き上げられてしまう。 別に事を荒立てるつもりはなかったが、周囲の友人からあまりにも心配され、簡易裁判所に行くことを進められるため ちょっと法律を勉強し「なるほど…こういう手口は立件しづらいな…」と学んでちょっとした信用詐欺で小金を稼ぐ。 コンフィデンスマンの世界へ、ようこそ。 しばらくそれでお金をいい具合に稼いでいたが、このままでは人として良くないな、と詐欺まがいの行為から手を引き、 堅実に預金していた濡れ手に粟の悪銭をもって探偵事務所をひらく。 コンフィデンスマンの世界へ、さよなら。 十分な預金なので、とりあえずしばらくはもつ。 図書館や地域の消防団の人と話す程度しか、人とのかかわりのない時間。 ぼんやり自分の人生とは、なんて考えだす現在。 お酒はいいちこ派。

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