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春隣：寒さが厳しい中にも春の兆しを感じる時期のこと 透：透き通るような純粋な愛情という意味を込めて いつでも、僕だけはきみの隣で、春の日差しのように暖かく透き通った愛を贈るよ。 人見知りだが、一度懐に入れた人はとくべつ優しくなるタイプの人の良いアラフォー。 自然が好きで、漂流物を用いた作品にしたり、写真・絵画にしている。 お金はあるが、あまり使わず、作品で細々と暮らしている。 上記以外の趣味としては、紅茶・読書(漫画・小説等ジャンル問わず) 物心ついた時から孤児院暮らしだった。親もわからず、ただ孤児院で、静かに過ごしていた。要領がよく、多少のミスはすれど、なんでも器用にこなすような子だった。自分より幼い子供に優しく、分け隔てなく接し、動植物や自然を愛する子供だった。 中学校2年の時、見知らぬ老夫婦が透を引き取りにきた。 曰く、「お前は私たちの亡き息子の隠し子であり、大財閥の令息なのだ」確かに最近、大きな会社の社長が亡くなったニュースがやっていたが。透は断ることもできず、そのまま老夫婦へと引き取られた。 それから、透の人生は変わった。孤児から大財閥の令息へ。自分を蔑んでいた人からごまをすられ、友人からは距離を置かれ、少しでもミスをすればたちまち噂が広まる。そんなとても窮屈な日々を過ごしていた。老夫婦は透をひどく可愛がり、「そんな言葉は気にするな、お前の好きなようにやりなさい」と育てられたが、繊細な透には難しい話だった。透の中で、ふつふつと希死念慮が蓄積されていった。 名門高を卒業後、名門大学にて博物学の勉強をしていた。大学でも、令息だともてはやされ、運を妬まれ、地位や金目当てに近づいてくる人もいた。 そんなある日。ふと思ってしまった。 「ああ、窮屈だ。死んでしまえば、楽になれるのかな」と。 漠然とした思い。だが、希死念慮を抱いていた透の背中を押すには十分すぎた。 ……大学の4階から、身を投げたのである。 すぐに病院に運ばれ、一命をとりとめたが、足に障害が残ってしまい、走るのが困難になってしまった。 「ああ、死ねなかった。でも、死ぬのは怖いんだな。」 その程度にしか思わなかった。思えなかった。 透が自殺未遂をしたことに心を痛めた老夫婦は心を病み、透に莫大な財産を残す形で程なくして死亡してしまった。 透もその事実に心を病み、財閥を信頼する老夫婦の親類に引渡し、知り合いの誰にも場所を教えず、携帯の番号も変え、遠い港町で一人暮らしを始めた。現在、その地で細々と暮らしている。 彼の過去を知る人は、時間の風化と住んでいる場所もあり、もうどこにもいない。

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